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2026 FIM世界耐久選手権 鈴鹿8時間耐久ロードレース 第47回大会
2026年7月5日(日)
決勝レポート
チームスズキCNチャレンジがチームベストを更新の7番手でフィニッシュ。
ヨシムラSERT Motulは6番手を獲得し、最終戦でのチャンピオン獲得に望みをつなぐ。
2026FIM世界耐久選手権"コカ・コーラ”鈴鹿8時間耐久ロードレース第47回大会決勝日の鈴鹿サーキットは昨日からの雨が降り続いている。例年よりも約1ヶ月早い7月上旬の開催となった今年の鈴鹿8耐。気温は低いものの、梅雨明け前の不安定な天候がレースにどんな影響を与えるのか。

8時30分から45分間のフリープラクティスはレース前の最後の調整時間でもあり、慎重かつ有意義なテストが求められる。ウェットコンディションから始まったセッションは、時間とともに雨量が増えたこともあり、序盤に出したタイムを更新するのが難しい状況で転倒する車両も多く、そのなかにヨシムラSERT Motulのグレッグ・ブラックも含まれるが、ライダーに怪我はなく、決勝に向けて準備を進める。GSX-R1000Rを駆るスズキ勢では、ヨシムラSERT Motul(以下ヨシムラ)が6番手、実験的クラス「エクスペリメンタルクラス」に参戦するチームスズキCNチャレンジ(以下CNチャレンジ)が8番手、S-PULSE DREAM RACING SUZUKI(以下エスパルス)が19番手となり、最終調整を終え、スタートの時を待つ。

11時30分のスタートに向け、10時40分からスタート進行がはじまる。雨はやんでいるものの、路面は変わらずウェットコンディション。しかし水の量はあきらかに少なくなっている。スズキ勢のスタートライダーはCNチャレンジが津田拓也、ヨシムラがグレッグ・ブラック、エスパルスはジョナス・フォルガーがつとめる。

11時30分。メインストレートピット側グリッドに整列されたマシンにライダーが駆け寄り、50台のマシンが1コーナーに向けていっせいにスタートする。ここでホールショットを奪ったのがヨシムラのグレッグ・ブラック。EWCではおなじみの光景でもあるが、ここ鈴鹿での2023年の再現をみせスズキファンを沸かせる。オープニングラップ中にも順位の変動があり、CNチャレンジの津田が13番手。エスパルスのフォルガーが16番手。ヨシムラのグレッグが6番手でコントロールラインを通過する。

難しいコンディションでのスタートだが、大きな混乱もなくスムーズな立ち上がり。しかし周回が進むにつれて転倒やマシントラブルが増えてくる。スタートから30分ほどが経過したところで、130Rでオイルを吹いたマシンに起因した転倒が発生。これによりセーフティーカーが介入される。セーフティーカーが13番手と14番手の間に入ったことで、8番手だったヨシムラと10番手だったCNチャレンジはトップとの差が縮まり、レースは振り出しに戻った。オイル処理に時間がかかり、30分以上セーフティーカーの後ろで周回を続ける。その間に雨が再び降り始め、非常に難しいコンディションのなか、レースが再開される。

スタートから1時間10分を過ぎた頃、CNチャレンジの津田が最初のピットイン。水野涼にライダー交代する。100%サステナブル燃料を使うCNチャレンジは、他のチームと比較して現状では燃費が厳しいため、早めのピットインが必要となる。しかしセーフティーカーが入ったことでそのタイミングを遅らせることが可能となった。

一方でヨシムラはピットインのタイミングをギリギリまで伸ばし、スタートから1時間30分ほどでダン・リンフットに交代。エスパルスはさらに伸ばしてからジェレミー・ガルノニに交代した。

しかしその直後、今度はS字で転倒が発生し、本日2度目のセーフティーカーが入る。この際、タイミング悪くセーフティーカーがCNチャレンジの目の前に入ってしまい、前の車両との差が大きく広がってしまう。ここまでベストラップを叩き出しながら好走を見せていた水野であるが、水を差されるかたちとなってしまう。ここでも再開までは時間がかかるが、再スタート後、水野は猛ダッシュ。トップグループよりも速いペースで走行し、前とのタイム差をぐんぐん詰めていく。また、ヨシムラのダンも好ペースを維持。前との差を詰めた水野は開始から2時間40分ほどを経過したところでピットイン。エティエンヌ・マッソンに代わるかと思われたが、給油とタイヤ交換を終えると、そのまま水野がダブルスティントを走るという作戦をとった。その期待に応えるように水野は好ペースを刻んでいく。

スタートから3時間を経過した頃。ヨシムラに給油手順のペナルティにより、10秒間のストップ&ゴーペナルティが課された。水野同様、ダブルスティントをおこなっていたダンであるが、余分なピットインをする必要があり、順位を落とすこととなった。ヨシムラがペナルティを消化した3時間10分を経過した時点で、CNチャレンジが6番手。ヨシムラが8番手。エスパルスが15番手。

ダブルスティントという過酷な状況にもかかわらず、トップと遜色ないタイムを刻んでいく水野とダンは、着実に前との差を詰めていく。エスパルスはピットイン回数を少なくする作戦で、第3スティントで西村硝にバトンを渡す。

15時17分 CNチャレンジがピットインし、水野からエティエンヌ・マッソンにライダーチェンジ。またその頃、ヨシムラは前を走るEWCのライバル、#5 F.C.C. TSR Honda Franceをパスすることに成功。その勢いは留まらず、数周後にはさらに前を行く#1 YART Yamaha Official EWC Teamをパスして5番手に順位を上げていく。

レース折り返し4時間経過時点。ピットインのタイミング等で順位の変動はあるもののCNチャレンジが7番手。ヨシムラが6番手。エスパルスが12番手を走行。ヨシムラは第4スティントで渥美心が登場。

経過から5時間が近づいた頃、CNチャレンジは4回目のピット作業を迎え、エティエンヌから津田にライダー交代。雨は小康状態となり、路面の状況の変化と同時にタイヤマネージメントも必要となる難しい状況のなか、レースは大きなアクシデントもなく淡々と進んでいく。

残り2時間に近づくタイミングでCNチャレンジは津田から水野にライダー変更。そして残り1時間となるころ、水野からエティエンヌに、最終スティントを託される。そしてその頃、コース上にまた雨が降り始める。暗くなるにつれて雨脚は次第に強くなり、残りが30分になろうとした頃、逆バンクでクラッシュが発生。3度目のセーフティーカーが入る。セーフティーカーが解除されない状況で周回を重ね、徐々に残り時間が少なくなっていく。雨脚が弱まることはなく、セーフティーカーに先導されたままスタートから8時間が経過し、全車にチェッカーフラッグが振られた。

最終リザルトはCNチャレンジがこれまでのチームベストを超える7番手を獲得。目標に掲げた表彰台には届かなかったものの、確かな進化とそれに携わった方々の素晴らしいチームワークというかけがえのない財産を手にし、チャレンジの手応えを感じる結果となった。一方、ヨシムラが6番手となり、最終戦でのチャンピオン獲得に望みをつないだ。また、昨年ライダーを引退した生形秀之が初監督をつとめたエスパルスは11番手を獲得した。
PHOTO GALLERY
チームスズキCNチャレンジ 田村 耕二 チームマネージャーのコメント
「今年の8耐は、とにかく天候に翻弄され続けた一週間でした。そんな中で完走できたのは、応援してくださったファンの皆様、協力してくださった関係者の皆様のおかげです。本当にありがとうございました。7位という結果は正直悔しいですが、3人のライダーは本当に素晴らしい仕事をしてくれましたし、チーム員もこれまでの練習の成果を十二分に発揮してくれた結果ですので満足しています。我々より上位のチームは世界耐久選手権での強豪チームばかりです。サステナブルアイテムを搭載したマシンが、しっかりと世界と渡り合えるということが証明できたと思います。また今回はヨシムラSERTモチュールさんと共に新型エンジンを投入しました。ウィークを通じて大きなトラブルもなく完走できたことで、このエンジンのポテンシャルと耐久性の高さを証明できたと思っています。一方で、トップ集団と真っ向から争うためには、まだ改善しなければならない事が多いことをも痛感させられました。今回のデータをしっかり検証し、環境性能と走行性能を高いレベルで両立させるべく挑戦を続けていきますので、これからも応援をよろしくお願いします。」
チームスズキCNチャレンジ 津田 拓也選手のコメント
「スタートしてすぐにあちこちの路面にオイルが出ていたんです。それで何度も転倒しそうになりながら、次にバトンを繋げなければとひたすら耐えながらの走行でしたね。もう、これまでの鈴鹿8耐人生で一番怖かったスティントでした。 2回目のスティントも、しばらくはうまくリズムが掴めず、やや消化不良な面もあります。今日のレースはこれまであまり経験したことがなかったことがたくさんありましたが、これもいい経験だったとプラスに考えたいと思います。7位という結果は、順位だけ見るとあまり良くないようにも思われますが、自分たちより上の順位のチームをみれば、ヨシムラがひとつ上の6位ですし、純粋に自分たちよりも実力があったのだと思います。チームとしてミスなくしっかり力を出し切ったうえでの結果ですから納得していますし、これからさらに上を目指すための学びがありました。たくさんの方々にサポートしてもらい、無事完走出来ました。有難うございました。全日本の後半戦も頑張りますので応援よろしくお願いします。」
チームスズキCNチャレンジ 水野 涼選手のコメント
「津田さんからバトンを受け取って割とすぐにセーフティーカーが入ったんです。セーフティーカーが解除されてから、状況を見つつも割とハイペースで走ることが出来ていました。ピットボードでダブルスティント行けるか? というサインが出たので、体力的にも大丈夫そうだったので、そのまま行くことにしました。ここでもペースをキープできたので良かったです。7位という順位だけをみれば悔しい思いもありますが、ミスなく持てる力を出し切った結果なので、今はやり切った感があります。今回でこのチームとは一旦お別れなのですが、メーカーによってその雰囲気だけでなく、携わる企業とか応援してくれる方々もガラッと変わるんだということを実感しました。スズキは最初からアットホームで居心地が良かったですし、それが今日のペースアップにも繋がった気もします。本当にこのチームで走ることが出来て良かったと思います。たくさんの応援とサポート、有難うございました。」
チームスズキCNチャレンジ エティエンヌ・マッソン選手のコメント
「簡単なレースじゃなかったよ。難しいコンディションでなんとか走り切ることが出来てホッとしているよ。チームメイトが素晴らしい走りをしてくれたから助かったけど、同じように自分もプッシュしなければならなかったからすごくハードだった。でもチームワークも良かったし、ピットストップもすごく早かった。最後のスティントのコース上は本当に危ない状況だったよ。どこでもホイールスピンするような状況だったから、レースディレクションは正しい判断をしたと思うよ。ただ、コンディションは別として、バイクは本当に良く走ってくれたね。ここまでの進化をすごく感じられたことは成功と言えるんじゃないかな。次はヨシムラに戻って最終戦。今回の経験も活かしてチャンピオンシップを取りたいね。」
ヨシムラ SERT Motulのレースレポートはこちら
RESULT
2026 FIM 世界耐久選手権 鈴鹿8時間耐久ロードレース 決勝結果
順位ゼッケンクラスチーム名ライダーマシン周回数
1#30EWCHonda HRCTAKAHASHI Takumi
REA Jonathan
CHANTRA Somkiat
HONDA188
2#21EWCYAMAHA FACTORY RACING TEAMNAKASUGA Katsuyuki
MILLER Jack
LOCATELLI Andrea
YAMAHA188
3#37EWCBMW MOTORRAD WORLD ENDURANCE TEAMREITERBERGER Markus
ODENDAAL Steven
VAN DER MARK Michael
BMW188
4#1EWCYART Yamaha Official EWC TeamHANIKA Karel
FRITZ Marvin
MERCADO Leandro denis
YAMAHA188
5#76EWCAutoRace Ube Racing TeamURAMOTO Naomichi
GUINTOLI Sylvain
PONSSON Christophe
BMW188
6#12EWCヨシムラ SERT Motulグレッグ・ブラック
ダン・リンフット
渥美 心
SUZUKI
GSX-R1000R
186
7#0EXPチームスズキCNチャレンジ津田 拓也
水野 涼
エティエンヌ・マッソン
SUZUKI
GSX-R1000R
186
8#73EWCSDG Team HARC-PRO. HondaKUNII Yuki
NAGOE Teppei
ABE Keito
HONDA185
9#88EWCHonda Asia-Dream Racing with AstemoATIRATPHUVAPAT Nakarin
PAWI Khairul idham
PUTRA Mohammad adenanta
HONDA185
10#40EWCTeam ATJ with NTT docomo BusinessIWATA Satoru
SUZUKI Koki
KUNIMINE Takuma
HONDA184
11#95EWCS-PULSE DREAM RACING SUZUKI西村 硝
ジョナス・フォルガー
ジェレミー・ガルノニ
SUZUKI
GSX-R1000R
183
NC#29EWCDOG HOUSE&TRIPOINT FUCHS SilkoleneIWATANI Keita
SAMURA Eisuke
OOSUKA Toshiharu
SUZUKI
GSX-R1000R
126