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2025 FIM世界耐久選手権 鈴鹿8時間耐久ロードレース 第46回大会
2025年8月1日(金)
予選レポート
チームスズキCNチャレンジは3人が2分6秒台に入れるが、惜しくもトップ10を逃す。
ヨシムラ SERT Motulが4番手を獲得してトップ10トライアルに挑む。
2025 FIM世界耐久選手権 "コカ·コーラ" 鈴鹿8時間耐久ロードレース 第46回大会が開幕した。金曜日は午前中に行われる2時間のフリープラクティスに続き、午後からは暫定の決勝グリットを決める公式予選が行われた。公式予選はブルー、イエロー、レッドの順番に、各ライダー20分のタイムアタックが2回。チーム内の上位2名のベストタイムの平均ラップタイム順に暫定グリッドが決定する。しかしタイムアタックは潤沢に新品タイヤを使えるのではなく、3人のライダーで7本という規制があり、どのライダーがどのタイミングで使うかといったチームの力も問われるところも見どころである。なお、予選でグリッドが確定するのは10番手以降であり、それよりも前の順位のチームは土曜日のトップ10トライアルに出場して、そこで最終グリッドが確定する。

GSX-R1000Rを駆るスズキ勢は、実験的クラス「エクスペリメンタルクラス」に参戦するチームスズキCNチャレンジ(以下CNチャレンジ)からはエティエンヌ・マッソン、アルベルト・アレナス、津田拓也がチームを組む。普段はヨシムラ SERT Motulのレギュラーライダーを務めるエティエンヌだが、鈴鹿8耐では昨年に続きCNチャレンジからの参戦。昨年はヨシムラから参戦した2020年のFIMロードレース世界選手権Moto3クラスのチャンピオンにして現Moto2クラスのトップライダー、アレナスはこのウィークに初めてマシンに乗ることとなった。また、長年スズキのMotoGPマシンのテストライダーをつとめた津田は昨年からチームを移籍。今年は開発の中心人物としてチームに加わる。

EWCクラスでゼッケン#1を付けるディフェンディングチャンピオン、ヨシムラ SERT Motul(以下ヨシムラ)からはレギュラーライダーのグレッグ・ブラック、ダン・リンフットに加え、チームの第4ライダーである渥美心が今年も参戦する。

また、長年スズキのプライベーターとして活躍する生形秀之は今年限りでの引退を発表。同時にエスパルスドリームレーシングチーム(以下エスパルス)としての鈴鹿8耐も最後になるという。有終の美を飾るべく、チームは元MotoGPライダーのジョナス・フォルガーを招聘して、濱原颯道と3人で決勝に挑む。

照りつける日差しは強く、気温は30℃を優に超えるなか、CNチャレンジは1回目の予選でエティエンヌ、アレナスともに2分6秒台を記録し仕上がりの良さを感じさせる。津田は気温のやや下がった2回目で、狙いすましたかのようにタイムアップして同じく2分6秒台を記録し、エクスペリメンタルクラスながら総合でトップ10に入るかと思われたが、惜しくもコンマ05秒足りず、2分6秒673で総合12番手。

ヨシムラは3人のライダーが1回目の予選から2分6秒台を記録。アベレージも良好で1回目の予選終了時に総合7番手に付ける。2回目ではダンが5秒台にペースアップ。そして渥美も5秒台を記録し、アベレージタイム2分5秒674で総合4番手にジャンプアップ。

エスパルスは濱原が1回目の予選でコースイン1周目のMCシケインで転倒するも大事には至らず。ジョナスは初めてのマシン、初めての鈴鹿サーキットにも関わらず、チームトップの7秒0を記録。濱原も7秒台前半に入れ、アベレージ2分7秒102で総合15番手。

予選を終了して決勝の10番手以降のグリッドが確定したが、ヨシムラは明日のトップ10トライアルでさらなるジャンプアップを狙う。
PHOTO GALLERY
佐原 伸一 チームディレクターのコメント
「レースウィーク水曜日のテストセッションで初めて3人のライダーが初めて揃い、マシンバランスの微調整を進めながら、初めてチームに参加するアルベルトにもマシンに慣れてもらいました。3ライダーともマシンの評価は良く、ロングランのペースはもとより、予選でのトップ10入りも期待できる状況でした。結果的に金曜日の予選は惜しくも12番手となり、正直悔しい思いはありますが、赤旗中断など難しい状況の中でライダーとクルーはとてもよくやってくれたと思います。3ライダーのタイムが高レベルで均衡していることは我々の強みであり、決勝レースでは武器になると予測します。これまで順調に開発とセットアップを進めてこれているので、日曜日の決勝まで気を抜かず力を出し切れるよう頑張ります。」
エティエンヌ・マッソン選手のコメント
「ここまでの進み方はとても順調だと言えると思うよ。全員が6秒台を記録してコンスタントに走れていることから考えれば喜ぶべきことなんだけど、本心を言えば今日の予選でトップ10トライアルに進めなかったのは残念だね。とはいえマシンのベースは良いし、ちょっとしたアジャストだけでさらに良くなると思う。決勝に向けては自信があるし、ペースも悪くない。昨年より着実に進化しているね。ターゲットはトップ5。これは十分可能な順位だと思っている。暑さが心配かって?フランスも暑いし、暑くない鈴鹿8耐なんておかしいだろ?準備は万端だよ。」
アルベルト・アレナス選手のコメント
「鈴鹿サーキットに今年もスズキのバイクで戻ってこられたのが嬉しいよ。今回もテストには来られなくてこのウィーク中に初乗りだったけど、チームがしっかり走行時間を確保してくれて、どんどんバイクに馴染んでいけたよ。昨年乗ったヨシムラのマシンとはパワーの出方もタイヤも違って、もっと丁寧に乗らなければならないんだけど、タイムも悪くないところまで持っていけたし、アベレージも悪くないから決勝が楽しみだよ。もちろんトップ10に残れなかったのは悔しいし、それがあとちょっとだったから余計にそう感じてしまうけど、これは耐久レースなんだからって割り切らないとだめだよね。この暑さについてはよく聞かれるけど、全然問題ないし、むしろ大好きだよ。これまでキャメルバックは使ったことがなかった。いや、去年も試したんだけど上手く使えなかったんだよね。今回はこれも使えるようにしたから準備万端。チームに貢献できるように頑張るよ。」
津田 拓也選手のコメント
「僕達のマシンは環境に配慮した燃料やタイヤを使っているのですが、これまで使ってきたそうではないものに対してタイムアップにアドバンテージがあるかというと、そうではないものもまだ少なくないんですね。そんな中でライダー全員が6秒台というタイムを記録できたということは非常に良いことですし、マシンの進化ということも感じています。実際僕自身、これまでの鈴鹿8耐の予選で記録したベストタイムだったのでそこは嬉しいですね。もちろんトップ10トライアルを逃してしまったことは悔しいですけど、今の段階では大きな収穫があったと感じています。これまでもMotoGPマシンの開発で世界のトップライダーと仕事をしてきましたが、Moto2のトップライダーもやっぱり凄まじくて刺激になっています。こういった環境でレースをさせてもらえるのは本当に貴重ですし、プレッシャーもありますが、やりがいも感じています。決勝に向けては良いアベレージで3人で力を合わせて頑張りますので応援宜しくお願いします。」
RESULT
2025 FIM 世界耐久選手権 鈴鹿8時間耐久ロードレース 予選結果
順位ゼッケンクラスチーム名ライダーマシン平均タイム
1#30EWCHonda HRCTakumi TAKAHASHI
ZARCO Johann
HONDA2'05.187
2#76EWCAutoRace Ube Racing TeamURAMOTO Naomichi
BAZ Loris
TODD Davey
BMW2'05.346
3#21EWCYAMAHA RACING TEAMNAKASUGA Katsuyuki
MILLER Jack
LOCATELLI Andrea
YAMAHA2'05.539
4#1EWCヨシムラ SERT Motulグレッグ・ブラック
ダン・リンフット
渥美 心
SUZUKI
GSX-R1000R
2'05.674
5#7EWCYART - YAMAHAHANIKA Karel
FRITZ Marvin
O'HALLORAN Jason
YAMAHA2'05.963
6#17EWCAstemo Pro Honda SI RacingNOZANE Kohta
ARAKAWA Kohta
YAMANAKA Ryusei
HONDA2'06.066
7#3EWCSDG-DUCATI Team KAGAYAMAMIZUNO Ryo
SCHRÖTTER Marcel
HASLAM Leon
DUCATI2'06.096
8#73EWCSDG Team HARC-PRO. HondaNAGOE Teppei
ABE Keito
KUNII Yuki
HONDA2'06.411
9#37EWCBMW MOTORRAD WORLD ENDURANCE TEAMREITERBERGER Markus
VAN DER MARK Michael
ODENDAAL Steven
BMW2'06.485
10#40EWCTeamATJ with docomo BusinessIWATA Satoru
SUZUKI Koki
KUNIMINE Takuma
HONDA2'06.624
12#0EXPチームスズキCNチャレンジエティエンヌ・マッソン
アルベルト・アレナス
津田 拓也
SUZUKI
GSX-R1000R
2'06.673
15#95EWCS-PULSE DREAM RACING生形 秀之
ジョナス・フォルガー
濱原 颯道
SUZUKI
GSX-R1000R
2'07.102
52#29EWCDOG HOUSE&TRIPOINT FUCHS SilkoleneIWATANI Keita
SAMURA Eisuke
OOSUKA Toshiharu
SUZUKI
GSX-R1000R
2'14.857