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2024 FIM世界耐久選手権 "コカ·コーラ" 鈴鹿8時間耐久ロードレース 第45回大会
2024年7月19日(金)
予選レポート
スズキ勢はヨシムラ SERT Motulが4番手、AutoRace Ube Racing Teamが7番手で土曜日のトップ10トライアルに駒を進め、TERAMOTO@J-TRIP RacingはSSTクラスでポールポジションを獲得
2024 FIM世界耐久選手権 "コカ·コーラ" 鈴鹿8時間耐久ロードレース 第45回大会がいよいよ開幕。金曜日は午前中に2時間のフリープラクティスに続き、午後からは決勝に向けての暫定グリッドを決める公式予選が行なわれた。GSX-R1000Rを駆るスズキ勢はFIM世界耐久選手権(EWC)でランキングトップとなるヨシムラ SERT Motul(以下ヨシムラ)を筆頭に、昨年初出場ながら決勝4位を獲得したAutoRace Ube Racing Team(以下オートレース宇部)、改造範囲の狭いSSTクラスからはTERAMOTO@J-TRIP Racing(以下テラモト)が参戦。また、サステナブル燃料やアイテムを使用する実験的クラスとして設定されるエクスペリメンタルクラスにはチームスズキCNチャレンジ(以下CNチャレンジ)が参戦し大きな話題となった。ヨシムラは6月の事前テストで負傷したグレッグ・ブラックに代わり、FIMロードレース世界選手権のMoto2クラスに参戦していて2020年Moto3クラスチャンピオンのアルベルト・アレナスが代役を務めることが先日発表されたが、ビザ発給の遅れにより、この日が初ライドとなった。

12時05分からスタートする公式予選ではライダーブルー、ライダーイエロー、ライダーレッドの順に各20分の計時予選が2回行われる。2回の予選終了後、チーム内で上位2名のベストラップの平均タイム順に暫定グリッドが決まる。1回目の予選では、ライダーブルーの走行開始早々赤旗の出る波乱の幕開け。続くライダーイエローでも赤旗中断が起こるなど荒れた展開に。そのなかでスズキ勢は大きなトラブルもなくヨシムラが総合3番手、オートレース宇部が7番手、CNチャレンジが17番手、テラモトが総合18番手、クラス2番手で1回目を終える。

気温および路面温度が下がりやすい2回目の予選ではタイム更新を狙うチームも少なくないが、今回は全てのセッションで気温が30℃を超え、路面温度も50℃から大きく下がることもなかった。また、予選では使用タイヤの本数制限があり、2回の予選で使えるのは7本(ライダー2名の場合は5本)。前後の本数の割合の制限はないが、どこで誰が新品タイヤを履くかといった作戦やチーム力、それに運も必要となる。結果的に順位の大きな変動は起こらなかったが、テラモトの石塚健のアタックが功を奏し、チームをSSTクラストップに上げることに繋がった。

2回の予選により暫定順位はヨシムラが2'06.207で総合4番手。オートレース宇部が2'06.779で総合7番手。CNチャレンジが2'08.077で総合16番手。テラモトが2'08.272で総合17番手、SSTクラス1番手となった。なお、上位10番手までのチームは土曜日のトップ10トライアルにて選出された2名のライダーが1周のみのタイムアタックを行い最終グリッドが確定。ヨシムラとオートレース宇部はそこでさらなるポジションアップを狙う。

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チームスズキCNチャレンジ 佐原 伸一 チームディレクターのコメント
「今日のフリープラクティスと予選を通して、全体的に少し力み過ぎてしまったところはあります。トップ10圏内を狙っていたのですが、残念ながらトップ10に入ることはできませんでした。ライダーやチームの実力はトップ10以内を十分狙える実力があったと確信していますが、本来の実力を発揮できなかったのは残念でした。今日のトップ10を逃してしまったのは、監督の私の力不足だったと思います。決勝に向けてのセットアップは、順調に進んでいます。決勝レースも頑張りますので、よろしくお願いたします。」
チームスズキCNチャレンジ エティエンヌ・マッソン 選手のコメント
「予選が終了し、5番手のタイムを出すことができ結果に満足しています。2分6秒を狙っていましたが、届きませんでした。チームは素晴らしい仕事をしてくれました。我々のバイクのパーツのいくつかは、ヨシムラのマシンと違った部品を使用しています。例えば、タイヤや再生材を使用したパーツ、バイオ燃料、ブレーキディスクなどのサステナブルアイテムを使用しています。これらのパーツを使うことは、将来に向けて有意義なものとなると思います。素晴らしい経験でしたし、予選も楽しみました。全てのチームは、大きな成果を収めるに値します。決勝レースに向けて全力を尽くします。」
チームスズキCNチャレンジ 濱原 颯道 選手のコメント
「お疲れ様でした。本日予選が2回行われました。1本目はチームの作戦として中古タイヤでタイム出しをし、2本目にニュータイヤを履いてアタックしたのですが、まとめきれず自分の実力不足でした。予選が終わってしまったので、決勝に向けて気持ちを切り替えて耐久レースで一つでも上の順位に行けるような走りをしたいと思いますので、決勝も頑張ります。みなさん応援よろしくお願いします。」
チームスズキCNチャレンジ 生形 秀之 選手のコメント
「僕らにはちょっと厳しいコンディションだったと思います。僕も予選ラップタイムはもっと良いラップを刻みたかったのですが、思い通りに刻めなかった部分はあります。ライディングという部分では前進できています。チームとしても予選はもっと上に行きたかったと思いますが、思うようにいかなかったです。決勝に向けて着実に前進しています。大事なのは決勝なので、みんなで応援よろしくお願いします。」
ヨシムラ SERT Motul 加藤 陽平 チームディレクターのコメント
「もう少しタイムが伸びると考えていましたが、ここまでの流れはとても順調です。アレナスがビザ発給の遅れで水曜日に走行が出来なかったのは想定外でしたが、それでも今日一日だけの限られた時間と周回数のなかで上手く乗りこなしてくれたのはさすがGPライダーですね。決勝は自分たちを入れて4台の戦いになると想定しています。ライバル勢も速いですが耐久レースのプロとしてなんとかそこに食らいつきたいと思っています。明日のトップ10トライアルはチャンピオンシップの直接ライバルであるYARTも出場しますので、決勝だけでなくここもしっかり頑張りたいと思います。」
ヨシムラ SERT Motul 渥美 心 選手のコメント
「今日の予選はこれまでの流れから考えても大きなミスさえしなければ、トップ10トライアルに進むことは出来ると思っていましたので、あまり気負うことなく臨むことが出来ました。しっかりとトップ10に残ることが出来たので順調にウィークは進んでいると思います。決勝に向けても、このままミスなく走り切れば良い結果はついてくると信じています。その前にトップ10トライアルですが、ライダーとしてもとても大事なステージではありますが、そこにこだわり過ぎないようにリラックスして楽しんで走りたいと思います。それから今回参加してくれたアレナスが今日から走れるようになったのも良かったです。短い時間であっという間に素晴らしいタイムまで詰めて、自分も刺激となりました。」
ヨシムラ SERT Motul アルベルト・アレナス 選手のコメント
「ヨシムラのバイクに乗るのも、鈴鹿を走るのも今日の朝が初めてだったから簡単ではなかったよ。大体のコーナーは上手くアジャスト出来たけど、S字区間とデグナーの先からヘアピンに向けて速く走らせるのが凄く難しくて苦労しているよ。2回目の予選では中古タイヤで8秒フラットまでは出せたし、走るたびにタイムを上げていけるとは思う。ヨシムラのようなプロフェッショナルなチームで鈴鹿8耐に参加することが出来て本当に良かったと思っている。」
ヨシムラ SERT Motul ダン・リンフット 選手のコメント
「トップ10に残れてまずは一安心だよ。タイムは悪くないけど、個人的にはいくつかミスをしてしまったからパーフェクトなラップではなかった。少しリアブレーキを踏みすぎて挙動を乱したり、ラインをほんの少し外してしまった。これは明日のトップ10トライアルでなんとかしたいけど、重要なのは決勝だからね。アベレージタイムは悪くなかったし、全ては順調さ。トップ10トライアルの後に良いコメントが話せるように頑張るよ。」
AutoRace Ube Racing Team 中井 貴之 監督のコメント
「これまでのところ作戦通りで、ちょっと怖いくらいです。ライダーとしてはそれぞれ不満だったところもあるかもしれませんが、チームとしてはすべてが予定通りでうまく進んでいます。今年もトップ10トライアルに進むことが出来たのも皆さんの応援があってこそのものでもあります。明日のトップ10トライアルは転倒無く、無事に終えてくれたらそれで良いのですが、そうは言ってもチームもライダーも応援してくれる皆さんも期待しますよね。そのあたりをうまく汲み取って走るのもライダーの能力だと思いますので、どうぞ皆さん応援宜しくお願いします。」
AutoRace Ube Racing Team 津田 拓也 選手のコメント
「アタックに関していえば上手くいかなかった点もあるのですが、とりあえず今回もトップ10に残れたのでホッとしました。マシンはテストも含めてほとんどセッティングを変えていません。とにかく決勝を見据えてのマシン作りをしているのですが、予選は1発タイムですから走らせ方も変えなければなりません。早く決勝モードに気持ちを切り替えたいところもあるのですが、トップ10トライアルはやっぱり特別ですからね。強いチームが多いですが、そこに立ち向かって少しでも上にいけるように精一杯がんばりますので応援宜しくお願いします。」
AutoRace Ube Racing Team バリー・バルトゥス 選手のコメント
「今朝のタイムはそれほど良くなかったんだけど、予選は1回目からフィーリングが良くて、2回目はさらにタイムを上げることが出来たんだ。明日のトップ10トライアルも楽しみだね。チームの仕事ぶりも素晴らしいよ。この調子で続けていきたいね。」
AutoRace Ube Racing Team アンソニー・ウエスト 選手のコメント
「今日の予選は難しかったね。アタックする度にトラフィックにぶつかって1周を上手くまとめることが出来なかったんだ。それから新品タイヤをこれまで1度も使ったことがなかったから、そのポテンシャルを上手く使いこなすことが出来なかった。ラップタイムはもっともっと上げられると思っていただけにそこは残念だけど、とにかく大事なのは決勝だからそこにフォーカスしなければと考えているよ。これまで自分はいつも決勝でより強くなるタイプだからそこは心配していない。決勝を楽しみにしていてほしいね。」
TERAMOTO@J-TRIP Racing 森 賢哉 監督のコメント
「寺本と若手2人なんて親子ほど歳が離れているのに、みんな本当に仲が良いです。それで寺本もしっかりタイム的にもメンタル的にも助けてもらったり、お互いリスペクトしあったりでチーム側から見ても素晴らしい関係性だと思います。もちろんチームのみんなが造りあげてきた団結力とチーム力があったからこそ、今回のSSTクラスのポールポジション獲得があると思います。本当に良い経験、良い思い出を作ってもらいました。もちろん、8耐で大事なのはいつも決勝ですから、しっかりそこに向けて気を引き締めていきたいと思います。このまま皆が自分の仕事をしっかりこなせば勝てると思っています。」
TERAMOTO@J-TRIP Racing 寺本 幸司 選手のコメント
「若い2人が素晴らしいタイムを出してくれて、SSTクラスでポールポジションを獲ることが出来たのがとても嬉しいです。テストから順調で雰囲気も良かったのですが、自分が造ってきたマシンを2人が乗りこなしてくれたのも嬉しかったですね。とはいえまだ予選ですので両手を上げて喜ぶわけにはいきませんが、このままの良い流れに乗って、気を抜かずに頑張りたいと思います。」
TERAMOTO@J-TRIP Racing 村瀬 健琉 選手のコメント
「ポールポジションは嬉しいですが、自分の想定していたタイムには届かなかったので個人的にはちょっと悔しさもあります。とはいえ、望んでいたクラストップですからそこは嬉しいですし、チームの皆さんにも感謝したいです。決勝に向けてはとにかくアベレージをキープすることを考えて皆で力を合わせて頑張ります。」
TERAMOTO@J-TRIP Racing 石塚 健 選手のコメント
「激戦のSSTクラスのポールですからやっぱり嬉しいですね。耐久レースは決勝が大事なので、正直予選のタイムはあまり意識していなかったのですが、ウィークに入っての流れが良かったことで意識も変わりました。1回目はちょっと不完全燃焼だったのですが、村瀬選手が良いタイムを出してくれたこともあってポール獲得の可能性が出たことで2回目は気合が入りました。ちょうど良い位置取りが出来たこともあってポールポジションが獲得できました。この良い流れのまま決勝も走れるように集中していきたいと思います。」
RESULT
2024 FIM 世界耐久選手権 鈴鹿8時間耐久ロードレース 予選結果
順位ゼッケンクラスチーム名ライダーマシン平均タイム
1#1EWCYART - YAMAHAニッコロ・カネパ
マーヴィン・フリッツ
カレル・ハニカ
YAMAHA2'05.222
2#2EWCDUCATI Team KAGAYAMA水野 涼
ジョシュ・ウォータース
ハフィス・シャーリン
DUCATI2'05.776
3#30EWCTeam HRC with Japan Post高橋 巧
ヨハン・ザルコ
名越 哲平
HONDA2'06.032
4#12EWCヨシムラ SERT Motul渥美 心
アルベルト・アレナス
ダン・リンフット
SUZUKI
GSX-R1000R
2'06.207
5#17EWCAstemo Honda Dream SI Racing野左根 航汰
羽田 太河
作本 輝介
HONDA2'06.215
6#73EWCSDG Team HARC-PRO. Honda國井 勇輝
浦本 修充
マリオ・アジ
HONDA2'06.357
7#76EWCAutoRace Ube Racing Team津田 拓也
バリー・バルトゥス
アンソニー・ウエスト
SUZUKI
GSX-R1000R
2'06.779
8#37EWCBMW MOTORRAD WORLD ENDURANCE TEAMマルクス・レイテルベルガー
シルヴァン・ギュントーリ
イリア・ミカルキク
BMW2'06.870
9#5EWCF.C.C. TSR Honda Franceジョシュ・フック
マイク・ディ・メリオ
アラン・テシェ
HONDA2'06.981
10#71EWCHonda Dream RT SAKURAI HONDA伊藤 和輝
日浦 大治朗
HONDA2'07.173
16#0EXPチームスズキCNチャレンジ生形 秀之
濱原 颯道
エティエンヌ・マッソン
SUZUKI
GSX-R1000R
2'08.077
17#52SSTTERAMOTO@J-TRIP Racing寺本 幸司
村瀬 健琉
石塚 健
SUZUKI
GSX-R1000R
2'08.272
45#29SSTDOG HOUSE&TRIPOINT FUCHS Silkolene岩谷 圭太
左村 英祐
大須賀 俊晴
SUZUKI
GSX-R1000R
2'15.335