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2024 FIM世界耐久選手権 鈴鹿8時間耐久ロードレース 第45回大会 事前テスト
2024年6月19日(水)・20日(木)
鈴鹿サーキット主催テストレポート
天候に恵まれた鈴鹿8耐の事前テスト
スズキ勢は1ヶ月後の決勝レースに向けて着実にセットアップをすすめる
第45回目を迎える真夏の祭典、鈴鹿8時間耐久ロードレースを1ヶ月後に控えた、6月19日・20日の2日間。鈴鹿8耐へ参戦するチームを対象とした事前テストが鈴鹿サーキットで行なわれた。

平年に比べ梅雨入りが遅れるなか、鈴鹿サーキットは高気圧に覆われ気温もグングンと上昇。19日はテスト日和の天候となった。翌20日はやや雲に覆われた天候となったが、2日間を通して天気の大きな崩れはなく、各チームが精力的にテストを行った。

テストは2グループに分かれて19日は45分のセッションが2回、75分のセッションが1回に加え、70分の夜間走行。翌20日は80分と90分の走行がそれぞれ1本ずつと、多くの走行時間が確保された。

GSX-R1000Rを駆るスズキ勢は、FIM世界耐久選手権(EWC)で現在ランキングトップを走るヨシムラ SERT Motul(以下ヨシムラ)がグレッグ・ブラック、ダン・リンフット、渥美 心が本戦に向けて参加。6月初旬の合同テストはEWCのスケジュールと重なったため、グレッグ・ブラックとダン・リンフットの2名は、今回が鈴鹿での初走行となった。

昨年は初参戦ながら4位を獲得したAutoRace Ube Racing Team(以下オートレース宇部)は、スズキのレーサー車両のテストライダーを長年つとめている津田拓也がメインライダーを務め、チームメイトにFIMロードレース世界選手権のMoto2クラスに参戦するバリー・バルトゥスと、元GPライダーのアンソニー・ウエストが参加。

改造範囲の狭いSSTクラスには長年スズキのマシンで参戦するベテラン、寺本幸司率いるTERAMOTO@J-TRIP RACING(以下テラモト)には、昨年もトリオを組んだ石塚健に加え、スズキで全日本のST1000クラスにフル参戦する村瀬健琉がチームメイトに。

また、サステナブル燃料やアイテムを使用する実験的クラスとして設定されるエクスペリメンタルクラスに参戦するチームスズキCNチャレンジ(以下CNチャレンジ)のライダーは、ヨシムラのレギュラーライダーであるエティエンヌ・マッソンのほか、2017年にSERTで鈴鹿を戦った濱原颯道が久々にスズキのマシンを駆る。またこれまでエスパルスドリームレーシングを率いて鈴鹿8耐に参戦してきた生形秀之はライダーに専念して鈴鹿8耐に挑む。

初日は走行開始早々、オートレース宇部のバリーが転倒。またテラモトの村瀬も転倒を喫するが、大きな怪我はなくその後もテストに取り組んだ。

しかし3セッション目の走行でヨシムラのグレッグがS字コーナーで転倒。本戦への影響が心配される。

気温が下がった2日目は多くのチームがタイムアップをした。スズキ勢も順調にセットアップを進めるが、タイムシートの順位にこだわりすぎることなく、本番を見据えたロングランをメインに走行を重ねる。そんななか、CNチャレンジが午前、午後ともにグループ2番手と速さを見せつけた。

2日間の総合結果はヨシムラが2分06秒580で4番手。CNチャレンジは2分07秒557で7番手。オートレース宇部が2分7秒878で13番手。また、SSTクラスのテラモトが2分08秒052でクラス3番手という結果だった。

レースウィークは1ヶ月後となる7月17日に開幕。決勝レースは7月21日19時30分のチェッカーを目指す戦いが始まる。

PHOTO GALLERY
チームスズキCNチャレンジ 佐原 伸一 チームディレクターのコメント
「今回のテストで、3人のレーシングライダーが初めて揃いました。予定していたテスト計画を順調にこなすことができて、今のところはライダーもマシンのセッティングもうまく調整できていると思います。すでに状態としては我々が予定していた以上に良いのですが、バイクもライディングスタイルも含めて調整する部分のマージンはまだたくさん残されていると思うので、本番に向けてさらに煮詰めていけると思っています。また、チームの構成として、ベテランと若手と組み合わさったチームになっているので、それぞれのコンビネーションによるチームワークを見ていただきたいなと思っています。この鈴鹿テストに入る前と鈴鹿テストが終わった後でかなりピットワークが良くなっているので、本番で注目していただきたいです。」
チームスズキCNチャレンジ エティエンヌ・マッソン 選手のコメント
「今回のテストは、本当にいいテストだったよ。タイヤなどのアイテムに合わせてバイクのセッティングをたくさん試すことができたしね。とくに気温が低い状態でのマップの確認など、今回のテストにとても満足しているんだ。そして、チームと一緒に仕事をするのはとても楽しかったし、バイクは良いポテンシャルがあって、ラップタイムも悪くない。もっとプッシュできると思う。自分にとって、今回のテストでいくつかのバイクの課題を発見できたことは本当に重要だった。本番に向けて、もう準備はできているよ。身体の状態も完璧だ。ル・マンで勝って、スパで2位を取った後、たくさんの経験を積んで、いろんな人と仕事をするのはいつも面白い。本当に、とても楽しい2日間のテストだったよ。」
チームスズキCNチャレンジ 濱原 颯道 選手のコメント
「今回の2日間のテストでは、前回のテストよりもGSX-R1000Rともっと仲良くなりたいと思っていて、それができたと思います。テスト2日目は、朝一からベストラップの2分7秒5まで出たので、エクスペリメンタルクラスとは言えEWCクラスに劣らないようなポテンシャルを見せられたかなと思います。0.1秒を削るのは大事なんですけど、トータルで8時間後に何位いるのかというのが耐久の醍醐味だと思うので、より精度の高い走りでラップタイムを安定させていければ、入賞も目指せるものだと思っているので頑張ります。」
チームスズキCNチャレンジ 生形 秀之 選手のコメント
「今回のテストは、ロングランも含めて色々なメニューをこなしながら、8耐に向けての準備を、ライダー個々としてもチームとしても順調に進めていけたと思います。 僕自身のフィジカル的な問題も徐々にクリアできていますし、前進もしています。8耐に向けて課題も見つけられて、非常にポジティブなテストだったと思います。8耐に向けてあと1ヶ月。僕はフィジカルの部分をしっかり上げていくということに集中していきます。8耐をみんなで作り上げていきたいと思っていますので、ぜひ応援よろしくお願いします。 」
ヨシムラ SERT Motul 加藤 陽平 チームディレクターのコメント
「6月初旬のテストはちょうどEWCのレースと重なっていて参加出来ませんでしたので、国内のチームに比べると遅れがあるかと少し心配していたのですが、思ったよりもハンデはありませんでしたね。もちろん試したいことはまだまだありますが、テスト時間に限りがある中で、良い方向性が見いだせたと思います。ライバル勢は速いですし、まだ少し遅れを取っている面もありますが、十分チャンスはあると考えています。ヨシムラにとって鈴鹿8耐は特別なものなので、やはり優勝を目指すという目標はあります。一方で、EWCの年間タイトルを獲得するというもっと大きな目標があるので難しいところなのですが、スズキファンの期待に応えられるようチーム一丸となって戦っていきますので、応援宜しくお願いします。」
ヨシムラ SERT Motul グレッグ・ブラック 選手のコメント
「チームはすごく良い仕事をしてくれて、マシンのフィーリングもどんどん良くなってきていたんだ。ペースアップするにはまだちょっとタイヤが暖まっていなかったのかもしれないね。ハイサイドでクラッシュしてしまったんだ。僕たちのチームは、ダンもココロもいい走りをしてくれると思っている。自分もベストを尽くして頑張るよ。」
ヨシムラ SERT Motul ダン・リンフット 選手のコメント
「バイクのフィーリングは良いし、いろいろとタイヤのテストも出来たのは大きな収穫だったよ。もう少し一発のタイムも出せたら良かったけど、これは次の課題だね。いずれにしても決勝に向けて準備は整っているよ。残念だったのはグレッグが転倒してしまったことだよね。グレッグの体調が心配だけど、どんな状況でもチャンピオン獲得に向けても頑張るよ。」
ヨシムラ SERT Motul 渥美 心 選手のコメント
「普段からヨシムラのEWCチームに帯同しているのですが、今回は自分も走行メンバーに選んでもらっているのでプレッシャーも感じています。今回のテストは、走り始めから順調にテストを進めることが出来ました。マシンのセットアップは良い方向に進んでいるのですが、周りのチームも速いのでまだまだスピードアップしていく必要があると感じています。世界耐久選手権のランキングトップで鈴鹿8耐を迎えるので、自分の仕事をしっかりと行い、チームに貢献したいと思っています。」
AutoRace Ube Racing Team 中井 貴之 監督のコメント
「100%順調ではありませんでしたけど、かなり手応えのあるテストになりました。初日の走行1周目にバリーが転倒したときはどうなるかと思いましたが、それがかえって気を引き締める良いきっかけになったのかもしれません。今回はとにかくバイクに慣れてもらうことと、耐久レースらしいミスのないコンスタントな走りをしてもらうことが目的だったのですが、さすが世界を戦ってきた現役グランプリライダーだと唸らされました。タイムアタックはさせていないので目立ったタイムではありませんが、チーム全体としてのまとまりは良いレベルに達していると思います。昨年は表彰台まであと一歩でしたが、今年はより現実味が増していると思いますので応援宜しくお願いします。」
AutoRace Ube Racing Team 津田 拓也 選手のコメント
「このテストでの一番の目的はチームメイトの2人にしっかりマシンに馴染んでもらうことで、僕の仕事はマシンのチェックとロングランでしたので、その目的はしっかりと達成できたかなと思っています。タイムアタックはしていないのでタイムシートの上位には位置していませんが、仕上がりは順調です。とにかくアベレージタイムを意識してミスなく走るという、本番を想定したテストはしっかり出来ました。2人とも良い仕事をしてくれましたので、決勝に向けてはあまり心配していません。」
AutoRace Ube Racing Team バリー・バルトゥス 選手のコメント
「僕にとっては耐久レースのマシンもスズキのGSX-Rも鈴鹿サーキットを走るのも初めてで、いろいろと難しいこともあったけど、今回たくさん走ることが出来たことで少しホッとしたね。初日にちょっとミスをしてしまったけど、走るたびにバイクにもコースにも慣れてラップタイムも安定してきたんだ。このチームはとてもプロフェッショナルだし、良い感触で走ることができたよ。レースを走るのが待ち遠しいね。」
AutoRace Ube Racing Team アンソニー・ウエスト 選手のコメント
「どうやら風邪をひいてしまったみたいで、この2日間体調が良くなくて大変だったんだ。それでも20ラップのロングランもこなせたし、いろいろとマシンを理解することが出来たのが良かったよ。耐久レースはとにかくミスせず安定したラップタイムを刻むことが重要だけど、そうしたシミュレーションをしっかりこなすことが出来たと思う。チームはプロフェッショナルだし、チームメイトにも恵まれている。前回、鈴鹿8耐に出たのはいつだったかな?そのときは完走することが出来なかったけど、今回はしっかりと結果を残したいね。それが実現出来るチームとライダーだと思っているよ。」
TERAMOTO@J-TRIP Racing 森 賢哉 監督のコメント
「今回、新たに村瀬選手に走ってもらうことになって、多少不安もあったのですが走りをみたら素晴らしくて不安はすぐに吹き飛びましたね。とにかくチームの雰囲気は良いし、ライダーもメカニックもスタッフも目標に向かって一生懸命取り組んでくれていることで、団結力がさらに強まっています。ただ、僕たちはたくさんの方々にサポートしてもらってレースをやらせて頂いています。遊びではなくて仕事でもあるので、そこはしっかりと結果として残したいと思っていますし、そのための準備も整えてきましたので良い手応えを感じています。今年こそはSSTクラスの頂点を狙いたいですね。」
TERAMOTO@J-TRIP Racing 寺本 幸司 選手のコメント
「今回はじめてライダー3人揃ってテストが出来たのですが、いつになく順調ですね。新しく入ってもらった村瀬くんがとにかく速くて、こちらもいろいろと勉強になっています。昨日の転倒も、逆に原因が明確になったのでレースに向けては結果的にポジティブなものだと考えています。決勝に向けて僕はユーズドタイヤでしっかりとアベレージラップを刻み、若い2人に速いラップタイムで走ってもらう作戦です。ダンロップタイヤをずっと使ってきた経験値があるので、そこはうちのチームの強みですね。GSX-Rのマシンの設計の確かさを改めて感じましたし、そのポテンシャルの高さをもっと皆さんに知ってもらいたいですね。目標は当然SSTクラス優勝です。」
TERAMOTO@J-TRIP Racing 村瀬 健琉 選手のコメント
「昨年の鈴鹿8耐では自分の体力のなさを痛感したので、それからしっかりと身体をつくってきました。 マシンが暴れても抑えられるようになりましたし、昨年より余裕をもって走れるようになってきたので不安も少なくなりました。初日に転倒もありましたが、身体は大丈夫です。今回のテストでマシンの改善と同時に自分の走り方もアジャスト出来たので、不安要素を減らせたのも良かったです。マシンはとても乗りやすくて、SSTマシンとしても速いです。1発の良いタイムも出せたのも嬉しいですが、40周も走ったタイヤでも11秒台でラップ出来たのも自信になりました。」
TERAMOTO@J-TRIP Racing 石塚 健 選手のコメント
「今回が今年のレースバイクの初乗りだったのですが、乗り出しからすんなりバイクに馴染むことが出来ました。昨年乗ったマシンも良かったのですが、さらにバイクがレベルアップしていて、アベレージも断然良くなっています。相変わらずチームの雰囲気は良いし、ライダーとして集中出来る環境を作ってくれていることにも感謝したいです。赤旗等のタイミングで一発のアタックが出来なかったことがライダーとしてはちょっと心残りでしたが、それはレースウィークの楽しみにしたいと思います。耐久レースを戦っている経験を活かした走りをしてチームに貢献したいですね。」