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Racing Report
2016年7月29日(金)
鈴鹿8時間耐久ロードレース 公式練習/公式予選
場所:三重県・鈴鹿サーキット

テストと異なる路面コンディションへの対応に追われながら
スズキ各チームは決勝へ向けて着実な進歩を遂げる
2016年鈴鹿8耐は、7月28日木曜午後の特別スポーツ走行からスタートした。この日の気温は28℃と夏日としては高温にならず、過ごしやすいコンディションで初日のスケジュールを行うこととなった。スケジューリングされた走行は午後1時半から1時間、午後3時半からさらに1時間というもの。

1回目のセッションで#12 YOSHIMURA SUZUKI Shell ADVANCEは2'09.779を出して5番手に付け、#17チームカガヤマが2'10.349で6番手。#1 SUZUKI ENDURANCE RACING TEAMが2'11.032で13番手、#32 MotoMap SUPPLYは2'11.892で14番手、#31浜松チームタイタンが2'17.898で52番手となった。

2回目のセッションも気温は変わらず安定したコンディションの下で行われ、#12 YOSHIMURA SUZUKI Shell ADVANCEがタイムアップを果たし2'08.933で2番手、#17 チームカガヤマも2'09.537とタイムを上げて6番手、#1 SUZUKI ENDURANCE RACING TEAMが2'11.295で10番手、#32 MotoMap SUPPLYが2'11.337で15番手、#31 浜松チームタイタンは2'16.218で49番手となった。

翌29日はいよいよ計時予選。午前中はそのための最終調整の場として2時間のセッションが設けられた。朝はやや雲が多かったが、時間の経過とともに青空が広がり、気温自体も朝9時の時点で30℃と、真夏日のコンディションで走行スタートとなった。路面温度はまだ34℃とそれほど上がっていない。

フリープラクティス開始早々に最終コーナーで転倒車両が出て、さらには3回ほど赤旗が出て走行が止まる荒れたセッションとなったが、スズキ勢は順調にマシンのセットアップを進め、#17 チームカガヤマが2'08.305で3番手となり、#12 YOSHIMURA SUZUKI Shell ADVANCEが2'08.051で6番手、#32 MotoMap SUPPLYは2'09.909で12番手、#1 SUZUKI ENDURANCE RACING TEAMが2'10.927で19番手、#31 浜松チームタイタンが2'16.394で55番手となった。

午後からは各ライダーによる20分間の計時予選が2回ずつ行われた。今回のレースは、予選・決勝で最大20セットのタイヤ使用が可能とされている。通常で行けば、決勝は7回ピットの8スティントとなり、全スティントを新品タイヤで走ろうとすると16セット必要となる。そのため、この考え方で行けば予選は4セットで6セッションをこなさなければならない。しかしトップ10トライアル入りは上位10チームに入れば良いので、早めにタイムを出せばタイヤ温存も可能で、4セットで十分という考え方もできる。 気温は31℃と朝からそれほど変わりはなかったが、強い日差しによって路面温度は53℃といよいよ8耐らしい厳しさとなっていく。20分間と短い走行時間の中でベストタイムを出さなければならないことから、各ライダーともセッション最初からクリアラップを取ろうとピットロード出口に集結。横に10台が並んでコースインするという、渋滞状態でセッションが始まっていった。この状態はすべてのセッションで展開。しかも、今年はエントリー台数が70台と限定され、そのためのセレクションが事前に行われたことから予選は一組のみ。結局、68台のマシンが一斉にコースを走ることとなり、あちこちで渋滞が起きてしまい、接触もいくつか起きる事態となってしまった。

それに巻き込まれたのが#12 YOSHIMURA SUZUKI Shell ADVANCEの津田拓也で、第1ライダー2回目のセッションで接触され、デグナーコーナー2個目立ち上がりで転倒を喫してしまった。すぐにマシンを起こしてピットに戻ると、別のマシンでコースイン。タイムアタックを継続することができた。

結局、各ライダーが2回のセッションを行い、#12 YOSHIMURA SUZUKI Shell ADVANCEが津田の出した2'08.248のタイムで5番手、#17 チームカガヤマが清成の2'08.474のタイムで8番手、#32 MotoMap SUPPLYがジョシュの2'09.227で9番手となり、スズキ勢3チームがトップ10トライアルに進出。#1 SUZUKI ENDURANCE RACING TEAMがヴァンサンの2'09.928のタイムで17番手、#31浜松チームタイタンは伊賀並が2'14.800を出し、52番手で決勝を迎えることとなった。

また午後6時から90分間の夜間セッションも行われ、各チームとも順調にラップ。決勝へ向けた準備をさらに進めていった。


YOSHIMURA SUZUKI Shell ADVANCE 津田 拓也

「テストの時と路面コンディションがかなり異なっていて、思っていたよりもスローペースになってしまいました。それでも三人のアベレージは高いですし、コンディションと自分たちの状況を考え合わせると、決して悪いポジションではないと思います。決勝が楽しみになってきていますし、明日のトップ10トライアルは気持ち良く走りたいと思います。」

YOSHIMURA SUZUKI Shell ADVANCE 芳賀 紀行

「テストとかなり異なるコンディションで苦労させられています。マシン全体のバランスは良いレベルにきていると思うのですが、路面状況に対してタイヤの性能がうまく出せない状態です。しかし、解決策は分かっているので、それほど大きな問題ではないと思っています。8耐は長丁場のレースでまったく気が抜けず、明日のフリー走行とトップ10トライアル、さらに決勝朝のフリー走行と集中していかなければなりません。それを一つ一つしっかりとこなした先に決勝の結果が付いてくると思うので、未だレースのイメージはまったくありません。」

YOSHIMURA SUZUKI Shell ADVANCE ジョシュ・ブルックス

「レースウイークに入って、テストでは起きていなかったような症状が出てしまい、思うような走りができていません。ただ、チームは解決策を持っているし、決勝では良いパフォーマンスが発揮できると思うので、心配していません。明日のトップ10トライアルは恐らく拓也と芳賀さんが走ると思うので、自分は決勝に向けて集中していきたいと思います。」

Team KAGAYAMA 加賀山 就臣

「昨日は8耐用に組んできたマシンの確認とタイヤ選択を行い、順調にメニューをこなしました。今日の予選はタイヤ制限があるので、そこをチームとしてうまくマネージメントしながら、とにかく清成選手に気持ち良く走ってもらってレベルを上げてもらうことを第一に考えました。そうしたチームのねらいに対して清成選手もしっかりと仕事をしてくれて、良いタイムを出してくれたので感謝しています。使っているのは自分のマシンだし、どんな状況だとどれくらいのタイムが出るか想定できるので、若手の浦本の成長を促そうと、そこに対してもいろいろとアプローチしています。彼なりに成長してくれているし、チーム状況も上向きなので、良い雰囲気でレースウイークを進めることができています。」

Team KAGAYAMA 清成 龍一

「確実にマシンのレベルアップは図れているのですが、ちょっと周りが想像以上のタイムを出してきているので、そこは正直、驚いています。テストから積み重ねてきていることがしっかりとタイムに反映されているので、チームの流れ的には良いと感じています。とにかくできることをしっかりとやっていくしかないので、さらに集中して作業を進めていきたいと思います。」

Team KAGAYAMA 浦本 修充

「最初の乗り始めのフィーリングは良かったのですが、その後に転倒してしまい、そのイメージが悪い方向に引きずってしまっていたのですが、前回のテスト、そしてこのレースウイークに入ってリズムが戻ってきている状況です。今朝のフリー走行も良いリズムで走れるようになって、予選は二回とも中古タイヤだったのでタイムを出すには厳しかったのですが、それでもそこそこのタイムは出せたので、少し成長できているかと思います。加賀山さんも清成さんも速いタイムを出しているので、自分なりにチームに貢献できることをやるだけです。」

MotoMap SUPPLY 今野 由寛

「タイヤの本数制限があったので、ジョシュと自分でアタックするよう作戦を立て、それがうまくいった感じです。青木さんがいろいろアドバイスをしてくれて、それがとても大きな力になっています。コンディションへの変化に対する合わせ込みも早くて、それがうまく結果につながっています。明日のトップ10トライアルは良い走りを見せて、タイヤの開発も進んでいるとアピールしたいと思います。」

MotoMap SUPPLY 青木 宣篤

「このチームはタイヤ開発という仕事をしながらの実戦参戦なので、いろいろと難しい部分があるのですが、でも着実にポテンシャルが上がっていて、それをこのレースウイークで証明するような流れになっていますね。たくさんの方の協力もあり、マシンも良い感じに仕上がっています。まだまだやらないといけないことがあるので、確実にこなしていって、一つでも上を目指したいと思います。」

MotoMap SUPPLY ジョシュ・ウォーターズ

「テストと異なるコンディションだったし予選は遅いマシンがあちこちで渋滞を起こしていて難しかったけど、マシンの仕上がりが良いので、自信を持って攻めることができました。チームメイトも最高だし、チームの雰囲気も良いので、レースを楽しんでいます。明日のトップ10トライアルで皆に良い走りを見てもらいたいと思っています。」

SUZUKI ENDURANCE RACING TEAM ヴァンサン・フィリップ

「今日のセッションには少しガッカリしました。というのも、コース上がとても渋滞していて、クリアラップを思うように取れなかったのです。グリップも今一つで、なかなか思うような走りを予選で出来ませんでした。ですが我々はチャンピオンチームですし、マシンも良い仕上がりです。決勝はいつものようにハイペースで走り、できるだけ多くのポイントを持って帰りたいと思います。もちろん表彰台も狙いますよ。」

SUZUKI ENDURANCE RACING TEAM アンソニー・デラール

「今日は自信を高めることができた日で、ちょっと自信をなくした日となりました。ちょっとしたミスで転倒したので、その点は自信をなくしたのですが、その後のセッションではタイムを上げることもでき、自信を高められました。特に2回目のセッションはレースタイヤで走行したので、決勝に向けていい手応えを感じています。」

SUZUKI ENDURANCE RACING TEAM エティエンヌ・マッソン

「テストの時と路面コンディションが違っていて、それに途惑いました。またコース上にはたくさんのバイクが走っていて、それも私をさらに悩ませました。もう少し走行時間が欲しいので、明日、明後日のフリー走行でもっと走りたいと思います。」