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2018年4月7・8日
全日本ロードレース選手権 第1戦 スーパーバイクレース in もてぎ 会場:栃木県・ツインリンクもてぎ
GSX-R1000初レースの渡辺一樹、表彰台にあと一歩と迫る4位で第2レースをゴール
4月7・8日に栃木県ツインリンクもてぎで全日本開幕戦スーパーバイクinもてぎが開催された。今回のレースにスズキ勢からは、ヨシムラスズキMOTULレーシングの津田拓也、渡辺一樹、Team KAGAYAMAの加賀山就臣、エスパルスドリームレーシング・IAIの生形秀之らが参加した。シーズンオフの合同テストは、ツインリンクもてぎでの事前テストを挟み、鈴鹿でも2回行われた。もてぎのテストは二日間が予定されていたが、残念ながら二日目は雨から雪となってしまい、十分なテストができていない状況で、レースウイーク入りとなった。
今回は開幕戦と言うことで、通常よりも一日早い木曜日にも特別スポーツ走行が設けられ、そこから各チームとも、決勝へ向けてスタートとなった。木曜日は朝から晴れ、気温は正午で20度。しかしそこから雲が多くなり、15時過ぎには14度あたりまで下がった。この状況の中、津田が1本目の走行は1'51.211で4番手に付け、まずまずのスタートを切ることができた。加賀山は1'52.173で9番手、渡辺11番手、生形は22番手となった。2本目の走行で津田はさらにタイムを上げ、1'50.094で2番手。まずまずの出だしとなった。 翌金曜日は早朝まで雨が降ったが、その後路面が乾いていく中で午前中のセッションが行われた。朝8時半の時点で気温は14度と肌寒い。そんなコンディションの中、渡辺が 1'50.635のタイムで5番手に付け、徐々にそのポテンシャルを発揮し始める。津田が6番手で続き、加賀山15番手、生形は18番手。2本目も渡辺はタイムを上げ、1'49.441で5番手となり、スズキ勢トップ。津田6番手、加賀山12番手、生形15番手と徐々にポジションを上げていく。 予選、そして第1レース決勝が行われる土曜日は、朝からあいにくの雨となってしまった。しかも気温は9度台と冬に逆戻り。今回の予選は45分間の計時で行われ、ファステストタイムが第1レースの、2番目に速いタイムが第2レースのスターティンググリッドに反映される。第1レースのグリッドは、ウエットから路面が乾いていく中でうまくタイムを出すことに成功した津田が1'58.926をマークしてフロントロー2番手をゲット。渡辺7番手、生形11番手、加賀山19番手となった。セカンドラップで決まる第2レースのグリッドは、津田3番手、渡辺7番手、生形12番手、加賀山20番手となった。 雨は止んだが気温が上がらないことからコース上にはウエットパッチが残る中、第1レースがスタートした。ホールショットを奪ったのは津田。渡辺も7番手で1コーナーに飛び込む。2周目に津田は8番手とライバルに対してペースが上げられない。4周目10番手、5周目にはコースを飛び出してしまい、19番手まで順位を落としてしまう。対照的に渡辺は着実にポジションを上げ、4周目9番手、5周目8番手、6周目7番手とさらに上を狙っていたが、9周目の90度コーナーでマシントラブルが発生してしまい、コースを飛び出し転倒してしまった。加賀山も7周目に他車の転倒に巻き込まれ、大きく順位を落とす厳しいレースとなった。コースアウト後、苦しい状況ながらペースを上げようとトライし続けた津田が10位までポジションを戻してチェッカー。生形14位、加賀山21位となった。 日曜日は晴れたが、コース上を霧が覆う朝のコンディションとなった。その後霧は晴れ、オンタイムで朝のウォームアップ走行は行うことができた。9時10分からスタートしたJSB1000クラスのウォームアップ走行では、津田がマシントラブルから白煙を上げ、ビクトリーコーナーでハイサイド転倒を喫するというアクシデントが起きてしまった。赤旗中断でセッションは中断となり、津田は医務室へ運ばれたが骨折などはなく、なんとか決勝は走ることができた。 気温14度と肌寒い中、第2レースがスタートされた。身体の痛みを抱えながら第2レースを迎えた津田だったが、4番手で1コーナーに飛び込むが他車との接触があって順位を落とし、1周目は8番手で戻ってきた。激しく転倒した直後だけに、なかなかペースを上げることは難しく、1'51秒台で序盤はラップする津田だったが、9周目には1'49.976をマークし、12周目には7番手まで順位を戻してくる。またセッションが進むごとに本来の速さを見せ始めている渡辺は、6周目に1'49.857と49秒台へ入れ、順位も4周目に3番手に上がると、4台での3位争いを展開する。終盤まで3番手の位置を走る渡辺だったが、ラスト2周で抜かれ、惜しくもコンマ4秒差で4位チェッカー。津田6位、加賀山9位、生形13位となった。 J-GP2クラスにミクニ テリー&カリーからエントリーした尾野弘樹は予選4番手からスタートし、4周目まで2番手を走る好走を見せていたが、9周目の1コーナーで転倒。そのままリタイヤとなってしまった。 ヨシムラスズキMOTULレーシング No.12 津田 拓也(JSB1000クラス 第1レース予選2番手・決勝10位/第2レース予選3番手・決勝6位)
「事前テストはもちろん、ウイークに入ってもパーツの選別をしながらという状況で、なかなか決勝へ向けた準備を進めることができない状況でした。その部分でライバルに対して遅れている状況を生んでしまっていると思います。レース1は完全にタイヤチョイスのミスで、上手くマシンの性能を発揮させることができませんでした。決勝日朝のウォームアップ走行ではトラブルから転倒してしまい、レース2はその直後だったので、序盤はなかなかペースを上げられませんでした。中盤以降はペースを上げられたので、そこはポジティブですね。第2戦は鈴鹿なので、そこで巻き返したいと思います。」ヨシムラスズキMOTULレーシング No.26 渡辺 一樹(JSB1000クラス 第1レース予選7番手・決勝DNF/第2レース予選7番手・決勝4位)
「レースウイークの限られた時間の中で、自分が考えることに対し、チームも全力でバップアップしてくれて、良い方向にセットアップを進めることができました。1年間、良いチーム環境の中でレースができるな、ということを実感できたウイークだったので、そこは本当に力強く感じています。コンディションが安定せず、決勝に向けてロングランもできていませんでしたし、レースでブリヂストンの17インチタイヤを使うのも初めてだったので、探りながらのレースでしたが、全体の雰囲気は今回のレースで掴むことができました。レース1はトラブルが出てしまって残念な結果でしたが、レース2では表彰台を狙える位置を走ることができ、そこでも『こんな感じ』というものを掴むことができました。もう少しプッシュすれば3位表彰台を獲得することができたかもしれませんが、今回はまず完走して良いデータを持ち帰ることが大事と、そこは少し慎重に行きました。とても良いレースウイークになりました。今後が楽しみです。」ヨシムラスズキMOTULレーシング 加藤 陽平 監督
「鈴鹿で2回、もてぎの事前テスト一日という状態でレースウイーク入りしたのですが、去年のマシンの評価をこなすので精一杯で、レースウイーク入りしてから決勝へ向けたタイヤの選択をするような状況で、苦労してしまいました。特に予選は急に雨となってしまったのですが、二人のライダーが良い走りをしてくれて、特に渡辺選手はこのマシンで雨の経験がほとんどない状態ながら、タイムを出してくれたのはさすがですね。レース1は難しいコンディションとなってしまい、津田選手はタイヤのチョイスを間違ってしまい、タイムを上げることができませんでした。ライダー、チーフメカニック二人が納得して出した選択だったので、そこに悔いはありませんが、どうしてそうなってしまったのかは改めて検証する必要があるとは考えています。渡辺選手のマシンにはトラブルが出てしまい、チームとして本当に申し訳なく思います。ただ、ライダーが最善の対処をしてくれて、本人も大きなケガをすることなく、また他のライダーに迷惑をかけることもなかったのでそこは不幸中の幸いでした。トラブルが出たことから、本番車の再チェックを土曜夜に集中して行ったにも関わらず、日曜日朝のウォームアップ走行で津田選手のマシンにトラブルが出てしまったのも、ライダーに申し訳なく思います。それでもしっかりと決勝で結果を出してくれたのは、チームとしてありがたいですね。渡辺選手も表彰台に手が届く位置で走ってはくれましたが、今回はリスクを冒してそこを狙う状況ではなかったので、良い判断をしてくれました。貴重なデータが取れたので、次の鈴鹿ではしっかりと結果に繋げたいと思います。」Team KAGAYAMA No.71 加賀山 就臣(JSB1000クラス 第1レース予選19番手・決勝21位/第2レース予選20番手・決勝9位)
「第1レースは得意の雨だったのですが気温が低く、チームとして持っているパッケージングの強みを出すことができず、苦しいレースになってしまいました。第2レースももっと上を目指したかったのですが、現状では一桁フィニッシュで良しとしたいと思います。次は好きな鈴鹿なので、リセットして良いレースをお見せできるよう頑張ります。今年のマシンは熟成が図られ、ポテンシャルが上がっていることを感じられるので、良いレースがお目にかけられると思います。今回もたくさんのスポンサーさんに応援いただき、ありがとうございました。」Team KAGAYAMA 斉藤 雅彦 監督
「エンジンと制御系が進化して、そこをうまく結果に繋げられれば良かったのですが、準備不足の面もあり、結果的には去年のセッティングに戻ってしまいました。ただ、ポジティブな要素もいくつかあるので、そのあたりをうまく引き出せれば、ワンランク上のレベルのレースができるようになると思います。チームとしても、今年はライダー一人にスタッフ全員が集中できるので、動きも速く、そのあたりも良い方向に向かっていると感じています。」エスパルスドリームレーシング・IAI No.25 生形 秀之(JSB1000クラス 第1レース予選11番手・決勝14位/第2レース予選12番手・決勝13位)
「エンジンと制御系はヨシムラにお願いし、車体回り、特にリア回りはオリジナルでマシンを構成しています。今年からフル参戦でデータがない状態から始まり、まだまだバタバタしています。特にこのレースウイークは気温が低く、そうした状況でのデータが特にチームとして持っていないので、とても苦しめられました。まずはなんとか2レースこなすことができて一安心です。ここからしっかりと積み上げ、早くもっと前の方でレースを戦いたいですね。」エスパルスドリームレーシング・IAI 松本 圭司 監督
「エンジンの制御がモダンな方法となっているので、走る、止まるという基本の状態を作ることがまず難しく、チームとしてデータゼロの状態から始まっているので、まだまだ手探り状態です。それでも無事に第1レース、第2レースと終えることができたので、それは評価したいと思います。ライダーが疲れてしまったみたいで、それはマシン的に負担をかけるような状態になっているからだと思うので、そうした点も含め、さらに開発を進めていきたいと思います。」ミクニ テリー&カリー No.392 尾野 弘樹(J-GP2クラス 予選4番手・決勝DNF)
「2月末に初めてこのバイクに乗り、そこから開幕戦に向けて準備を進めてきましたが、乗り始めから自分の好みに合った車体なので、良い流れで来ています。このレースウイークはずっとリア回りのセットアップに苦労していて、フロントに関しては問題が出ていなかったのですが、決勝になって急にフロントが少し弱い感じがするようになり、注意していたのですが1コーナーで切れ込んでしまい、転倒してしまいました。データで見てみると少しコーナリングスピードが高かったようですが、自分としては無理していた状況でもなく、コントロールの範疇だと思っていたので、そこは想定外でした。あのままレース終盤になれば回りはタイヤが厳しくなるだろうし、自分はまだセーブして走っていたので、ちょっと残念です。さらにマシンをセットアップして、今度は良い状態で勝ちを狙いたいと思います。」第1戦 スーパーバイクレース in もてぎ JSB1000 レース1決勝結果
第1戦 スーパーバイクレース in もてぎ JSB1000 レース2決勝結果
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