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2023 FIM 世界耐久選手権 鈴鹿8時間耐久ロードレース 第44回大会
2023年8月4日(金)
予選1回目レポート
予選1回目。スズキ勢はヨシムラ SERT Motulの3番手を筆頭に暫定結果トップ10に3台が入る活躍。TERAMOTO@J-TRIP RacingはNSTクラス4番手で存在感を示す。
2023FIM世界耐久選手権(EWC)第3戦で、44回目を迎えるコカ・コーラ鈴鹿8時間耐久ロードレースが開幕した。スズキ勢からは EWCクラスに #12 ヨシムラ SERT Motul(以下ヨシムラ)をはじめ、#95 S-PULSE DREAM RACING・ITEC(以下エスパルス)、#76 オートレース宇部 Racing Team(以下オートレース宇部)等4チームが出場。また、改造範囲の狭いNSTクラスには#52 TERAMOTO@J-TRIP RACING(以下テラモト)、#31 浜松チームタイタン(以下タイタン)等3チーム、合計7チームが出場する。

これまでの8耐では、金曜日にライダーブルー(第1ライダー)、ライダーイエロー(第二ライダー)、ライダーレッド(第三ライダー)の順に2度の計時予選を行い、チーム内上位2名の平均タイムによって暫定グリッドを決定。その中で上位10番手までに残ったチームのみで最終的なグリッドを確定する「トップ10トライアル」を土曜日に行うスケジュールとなっていたが、今回は1回目の予選を金曜日の午後に、2回目を土曜日の午前に実施し、そのタイム結果をもとに土曜午後にトップ10トライアルを行うスケジュールに変更となっている。

迎えた金曜日午後の公式予選1回目。14時50分時点の気温は32℃、路面温度も高い状態が続き、その影響の為か開始早々各コーナーで転倒が相次ぎ、レッドフラッグにより走行が中断し荒れた幕開けとなった。スズキ勢は走行再開直後、先頭に飛び出した昨年のポールシッターで今大会でも飛び抜けた速さを見せる長島哲太(ホンダ)をぴたりとマークしたヨシムラのグレッグ・ブラックが1周を上手くまとめ2分6秒923で3番手。その後方につけたオートレース宇部のダン・リンフットが2分7秒296で7番手、エスパルスの渥美心は2分7秒415で8番手となった。また、NSTクラスではテラモトの寺本幸司が2分11秒800でクラス6位の総合29番手。タイタンの武田数馬は2分15秒207でクラス11位総合43番手となった。

続いて行われたライダーイエローの予選でも開始早々転倒が発生し、赤旗中断となった。残念ながら、そのなかにエスパルスのジョシュ・ウォータースも含まれてしまった。その後も再度赤旗中断があり、タイムをまとめるのが難しいなか、オートレース宇部の津田拓也が2分7秒175で3番手。ヨシムラのシルバン・ギントーリが2分7秒201で5番手。ジョシュも序盤に記録したタイムにより11番手を獲得したものの、転倒による負傷のため決勝は欠場することとなった。また、タイタンの村瀬健琉は2分8秒945とNSTクラスでトップ、総合でも14位とライダー、マシンともに高いポテンシャルを見せつけた。テラモトの佐野勝人は2分11秒014でクラス6位総合26番手となった。

度重なる赤旗中断により、ライダーレッドのコースインは約30分遅れの16時22分からとなり、徐々に気温も路面温度も下がり始める。しかしここでも開始早々に赤旗中断となってしまう。その後走行再開とはなるものの、最後の最後で再度赤旗によってセッションが終了となり、初日の予選は最後まで荒れた展開となった。ライダーレッドの予選結果は、エスパルスのマーセル・シュロッターが2分7秒859で6番手、ヨシムラのエティエンヌ・マッソンが2分8秒402で9番手。NSTクラスではテラモトの石塚健が2分10秒404で総合23番手を獲得した。

なお、オートレース宇部のハフィス・シャーリンは前回テスト時の怪我の影響もあり、決勝を欠場することが発表された。

初日の暫定総合順位は、ヨシムラが3番手、オートレース宇部が5番手、エスパルスが10番手と、スズキ勢3チームがトップ10に位置する結果となった。また、NSTクラスではテラモトがクラス4位総合25番手、タイタンがクラス8位総合33番手となり、土曜日の予選2回目にさらなるポジションアップを狙う。

PHOTO GALLERY
#12 ヨシムラ SERT Motul 加藤 陽平 チームディレクター
「事前テストでは思ったようにマシンが仕上がらなかったです。そのためテスト後にデータを確認して対策を練って、今回は大幅に仕様変更してレースウィークに臨みました。大きな変更だったので正直不安もありましたが、ライダーのコメントはとてもポジティブなものだったので、レースウィークに入ってからは少しのアジャストだけで、あとはタイヤのロングランを行ったりしていたので、さほどラップタイムは気にしていませんでした。とはいえ、予選の走りはそんな心配を払拭してくれるものでしたね。明日の予選2回目、それからトップ10トライアルとどうなるかは分かりませんが、決勝に向けては順調です。引き続きチームにミスがないように気を引き締めて臨んでいきますので応援宜しくお願いします。」
#95 S-PULSE DREAM RACING・ITEC 藤原 克昭 クルーチーフ
「ここまで本当に順調で、3人揃ってアベレージもコンビネーションもすごく良かったです。世界を走っているのだから当たり前かもしれませんが、いつもと違うマシン、タイヤメーカーなのにパッと来てすぐに良いタイムで走れるのは流石だと感じました。3人ともすごく器用なのですよね。それだけに今日のジョシュ選手の転倒と怪我によってレースに出場出来なくなってしまったことはとても残念ですね。レースには付き物のことなので仕方ありませんが・・・とはいえ、渥美選手とマーセル選手の調子は変わらず良いので世界の走りをみせてくれると信じています。」
#76 オートレース宇部 Racing Team 中井 貴之 監督
「先月の事前テストでハフィス選手が転倒してしまったことはすでにご存知かと思いますが、怪我自体はさほど大きくなく、レースにも参戦できるだろうと考えていました。しかし脳震盪を起こしていたことで安静期間が必要ということになりました。残念なのですが、FIMと協議を続けてきた結果、ハフィス選手の安全を考えて走行をしないという決断を致しました。応援してくださったファンの皆さんには大変申し訳ございません。一方で、今日の予選では津田選手とダン選手が素晴らしい走りをみせてくれました。バイクもしっかり仕上がっているみたいなので、明日はトップ10トライアルに進出出来るように気持ちを切り替えていきたいと思います。」
#52 TERAMOTO@J-TRIP Racing 森 賢哉 監督
「うちのチームが鈴鹿8耐に参戦する理由のひとつは寺本自動車とジェイ・トリップの社員研修の場とさせてもらっていることです。それぞれの役割をしっかり責任を持って行うことや安全に対する意識も高めてもらう場にもなっています。そのうえで、皆で楽しくやるのがモットーでもあります。もちろんレースなのでやっていることは真剣です。マシンも体制も雰囲気も、他のチームに負けないものが出来ていると思います。ライダーに気持ち良く走ってもらえるチーム作り。佐野選手も石塚選手も実力のあるライダーですから、しっかりその思いに応えてくれています。このまま順調にいってくれると良いのですが、チームとしてその準備はしっかり出来ています。」
#31 浜松チームタイタン 上林 隆洸 監督
「ウィークを通して転倒もなく、順調に進めることが出来ています。この体制になって2年目となり、チーム力も高まっていますしメカニックも育ってきているのが嬉しいです。今日の予選は赤旗中断が多くて難しいところもありましたが、それでも健琉君は8秒台まで入れてくれてチームの士気も高まっています。武田選手はちょっと調子を崩していたのですが、このウィークでずいぶんと持ち直してくれました。予選はちょっとタイヤを上手く使いきれなかったのですが、決勝に向けてのアベレージは悪くないですし準備は出来ていると思います。明日の予選では引き続き決勝に向けて確認をしてもらう予定です。条件が良さそうでしたら健琉君にはさらにもう一発、プッシュをしてもらおうかと考えています。8耐で大切なのは決勝ですが、ライダーの見せ場も作ってあげられたらチームとしてもなお良いですからね。」