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2023 FIM 世界耐久選手権 鈴鹿8時間耐久ロードレース 第44回大会
2023年7月5日(水)・6日(木)
合同テストレポート
様々なコンディション下で行われた2日間の合同テスト。
スズキ勢は8月6日の決勝に向けて順調にセットアップを進める。
8月6日に第44回目の決勝を迎える夏の風物詩。鈴鹿8時間耐久ロードレースに向けた合同テストが7月5日、6日に開催された。決勝を見据え各チームが精力的に走行を行った。

GSX-R1000Rを駆るスズキ勢は、FIM 世界耐久選手権にフル参戦する#12 ヨシムラ SERT Motul(以下ヨシムラ)をはじめ、昨年の鈴鹿8耐で4位を獲得し、悲願の表彰台獲得を狙う#95 S-PULSE DREAM RACING・ITEC(以下エスパルス)、スズキMotoGPマシンのテストライダーを長年務めた津田拓也がメインライダーとなる新生チーム#76 オートレース宇部 Racing Team(以下オートレース宇部)などEWCクラスには4チームが参加。また、改造範囲の狭いNSTクラスには#52 TERAMOTO@J-TRIP RACING(以下テラモト)やスズキの社内チーム#31 浜松チームタイタン(以下タイタン)など3チームの合計7チームが参加した。

初日には45分のセッションが2本と75分が1本の他、70分の夜間走行が行われるスケジュール。鈴鹿サーキットは午後から雨に見舞われてしまい、ドライでの走行時間は十分ではなかったものの、ウェット路面でのマシンの確認も出来た有意義なテストとなったようだ。しかし、オートレース宇部のハフィス・シャーリンは1コーナーの進入でウェット路面に足元をすくわれて転倒したため、翌日の走行をキャンセルすることとなった。また、天候がさらに悪化した夜間走行はほとんどのチームが走行を見合わせた。

翌6日は朝から快晴に恵まれ、気温も35度に迫る8耐本番を思わせる厳しい気候のなか、午前中に80分、午後に90分の2本の走行が行われた。60度近くまで路面温度が上がった午後の走行では転倒車両も多く、赤旗中断も複数回あったものの、各チーム燃費調整やロングランを行い、本番に向けたデータ収集に勤しんでいた。

2日間の最終的な総合順位は、ヨシムラが2分8秒166で総合7位、オートレース宇部が2分8秒211で総合8位、エスパルスが2分8秒369で総合11位。またNSTクラスではタイタンが2分11秒665で総合25位(クラス4位)、テラモトが2分12秒900で総合32位(クラス8位)となった。

単純にベストラップタイムだけで判断できないのが鈴鹿8耐の難しさでもある。ライダー3人の平均タイムやアベレージ等、スズキ勢はその順位以上の仕上がりとなっているようで、8月6日に行われる決勝に向けて自信をのぞかせた。

PHOTO GALLERY
#12 ヨシムラ SERT Motul 加藤 陽平 チームディレクター
「いろいろとセットアップを大きく振ったりと試しましたが、ライダーたちに気持ち良く乗ってもらえるマシンに仕上げることは出来ていなくてちょっと苦労しているところもあります。ウェット路面での安定性やラップタイムは満足出来るレベルですが、とくに路面温度が高くなったときのマシン作りにはまだまだ課題があります。データを持ち帰って決勝までには対策したいと思います。MotoGPやEWCのワークス活動撤退でスズキファンの皆さんは寂しい思いをしていると思いますが、鈴鹿8耐には我々ヨシムラをはじめ、エスパルスやオートレース宇部等実力のあるスズキチームが参戦します。スズキファンの皆さんの期待にこたえられるよう、皆で力を合わせて頑張っていきますので応援宜しくお願い致します。」
#12 ヨシムラ SERT Motul グレッグ・ブラック 選手
「昨年は表彰台に登れたけど、2人だけで走らなければならなかったからとても大変なレースだったよ。今回は3人のフルメンバーで戻ってこられて嬉しいね。2日間のテストはとても重要なものとなったね。様々なセットアップやタイヤのチョイスを含めて走り込むことが出来た。問題点も徐々に解決できてペースアップも出来たし最終的には良い方向性が見つかったよ。決勝に向けて準備は整ってきているし良いリザルトを獲得できる自信もある。ヨシムラファンの前でいい走りが出来るようにチーム一丸となって全力を尽くすよ。」
#12 ヨシムラ SERT Motul シルバン・ギントーリ 選手
「前戦のスパと鈴鹿とでは環境が全く違うから、使うタイヤもマシンのセットアップも違うものが要求されるんだ。とにかく鈴鹿は暑いしタフなコンディションだからね。ここに合うよういろいろとセットアップを進めて良い方向性が見えてきたと思うよ。これまでの2戦も良いペースを持っていたし優勝も狙えたと思うんだけど、ちょっとツキに見放されていたかもしれないね。鈴鹿では幸運に恵まれることを祈っているよ。」
#12 ヨシムラ SERT Motul エティエンヌ・マッソン 選手
「このマシンパッケージで鈴鹿を走るのは初めてだったから少しずつ慣れていくことが必要だったね。その中で多くのテストをすることが出来たのがこの2日間の収穫だよ。マシンのセットアップも良い方向に進めることが出来たと感じているし、決勝は良い戦いが出来ると思う。日本のファンの前で走るのが楽しみだよ。」
#95 S-PULSE DREAM RACING・ITEC 渥美 心 選手
「昨年は自分が最後にチームに加入したので乗るだけで良かったのですが、今年はこのマシンに1番乗り込んでいる自分が方向性を決めていかなければならないという心構えでテストに参加しました。割と何でも乗ってしまう方なのですが、皆の意見を聞きながらそれをまとめていくような初めての経験もさせてもらいましたが、良い方向にマシンを持ってくることが出来たと思います。ペアライダーの意見も一致しているので一安心です。ロングランも行いましたが、ラップタイムも良いところで安定して走れていたので自信にもつながりました。チームの目標でもある表彰台獲得を目指して力を合わせて頑張りますので応援宜しくお願いします。」
#95 S-PULSE DREAM RACING・ITEC マーセル・シュロッター 選手
「2日間のとても良いテストになったよ。エスパルスのマシンには乗ったことがあるけれど、それはずいぶんと前の話だから、チームが出来る限り僕に乗れるように時間を作ってくれたんだ。昨日の朝に初めて乗って、午後にはレインでの感触も試すことが出来た。そして今日は暑い中たくさん乗ったよ。僕にとってはとにかくこのマシンをしっかりと理解する必要があったからね。乗れば乗るほどマシンもタイヤも理解することが出来てラップタイムも安定してきたんだ。最後にニュータイヤを入れてくれたチームにも感謝している。さらに1ステップラップタイムを上げることが出来たからね。トップチームに近いペースで走れることがわかったことは大きな自信になった。日本のファンの皆さんの前で素晴らしいチームで走れるのが嬉しいよ。表彰台獲得を目指して頑張るよ。」
#76 オートレース宇部 Racing Team ハフィス・シャーリン 選手
「素晴らしいチームから鈴鹿8耐に参戦することが出来てとても嬉しいです。スズキGSX-R1000Rはコーナーリング性能がとても高くてイージーに走れるところが気に入っています。ブリヂストンタイヤの高いポテンシャルもこれを後押ししてくれています。これまでのテストは順調だったのですが、雨の走行の時に1コーナーでクラッシュしてしまいました。ちょっと身体が痛みますが決勝までには治したいと思います。今から日本のファンの皆さんの前で走れるのを楽しみにしています。」
#76 オートレース宇部 Racing Team 津田 拓也 選手
「2日間のテストを通してマシンは良いフィーリングになってきました。2日目の午後は決勝を見据えてのロングランをおこないましたが、燃費を考慮したセットアップでしたがマシンは想像以上にしっかりと走ってくれました。路面温度60度近い状況で25ラップを走り8秒台を含む9秒台でしっかりラップ出来たのでマシンの仕上がりは悪くないと思います。もちろんワークスチーム等速いチームはたくさんありますので気を引き締めていかなければなりませんが、そのなかでトップグループに近いラップタイムで走れているのでチャンスはあると思っています。ハフィスの転倒は残念でしたが今回来れなかったダンも速いので、力を合わせて表彰台目指して頑張りますので応援宜しくお願いします。」
#52 TERAMOTO@J-TRIP Racing 寺本 幸司 選手
「昨年は自分の体調が良くなかったりで準備段階からバタバタで、マシンのセットも完全に詰め切れていない状況でしたが、そこから比べると今年はレベルが2~3段階アップした感触です。初日こそちょっとしたトラブルや雨によって予定通りにはいきませんでしたが、2日目は3人揃って良いテストが出来ました。NSTクラスはタイヤ交換に時間を取られてしまうので、うちのチームは2スティントに1回のタイヤ交換予定でいます。タイヤが消耗してきたときにいかにラップタイムを落とさず楽に走れるマシンに仕上げられるかというのがポイントだと思うのですが、このあたりのフィーリングが特に向上しました。2人の若いペアライダーも速いし上手いしで、今さらながら僕も勉強になっているし刺激ももらっています。チーム全体がいい雰囲気となっていますし、今年は表彰台に登れる自信もあるので応援宜しくお願い致します。」
#52 TERAMOTO@J-TRIP Racing 佐野 勝人 選手
「今年はレースに出られるチャンスがなくて、この鈴鹿8耐が初レースになります。いろいろと不安もあったのですが、前回のテストですんなりと乗ることが出来てホッとしました。今回は初日にいくつかトラブルが出てあまり乗ることが出来なかったのですが、チームがしっかりと修復してくれて2日目は良いテストが出来ました。ロングランをすることも出来たのですが、そのなかで様々なライン取りや乗り方等試すことが出来ましたし、タイムも悪くなかったので決勝に向けては準備万端です。目標は当然表彰台獲得ですが、兄が昨年SSTクラスで優勝して2連覇を狙っていますので、それを阻止したいです。打倒、兄貴です!」
#52 TERAMOTO@J-TRIP Racing 石塚 健 選手
「今回初めてチームに合流させていただいたのですが、普段世界耐久で乗っているGSX-R1000Rとは全く違うマシンに乗っているような感触でした。GSX-Rと鈴鹿を知り尽くしている寺本さんが作り上げてきたマシンだからこそだと思うのですが、とにかく乗りやすくてびっくりしました。初日はあまり走り込むことが出来ませんでしたが、2日目はロングランも含めてマシンの理解度を高めつつ、想定したタイムやアベレージを刻むことが出来てちょっとホッとしました。昨年は他のチームで走っていて、実は最後の15分でこのチームを抜いて表彰台を獲得した経緯があります。今回はこのチームで表彰台を獲得する力になれるように頑張ります。」
#31 浜松チームタイタン 武田 数馬 選手
「2日間を通してベストタイムはそこそこ良いところまで持ってこられたのですが、アベレージはもうちょっとあげていかないと健琉くんに負担がかかってしまいますね。そんななかでも暑い中でしっかり周回出来たのでタイヤやマシンの方向性等、良いテストになりました。ただフィジカル面では課題も見つかったので、最後までしっかり仕上げていきたいと思います。」
#31 浜松チームタイタン 村瀬 健琉 選手
「初日はちょっとしたトラブルや転倒もあったりでちょっとバタバタしてしまいましたが、2日目は良いテストが出来たと思います。マシンも良いフィーリングですし、暑い中でしっかり走り込み出来たことでマシンの細かい挙動やセットアップの変化もより理解度が高まり、自分自身の成長にも繋がっていると感じています。2人で戦わなければならない面は大変ですが、あと1ヶ月で身体作りも含めて追い込みをかけていきたいと思います。」