2025年FIM世界耐久選手権シリーズ(EWC)の第1戦となるル･マン24時間耐久レースがフランスのブガッティサーキットで開催された。ディフェンディングチャンピオンのヨシムラ SERT Motulは、ウェットコンディションに幾度もの転倒を喫しながらも24時間を走り抜き、6位でチェッカーを受けた。

第48回目を迎えたル･マン24時間耐久レースは、レースウィークにかけてあいにくの雨天となり、テクニカルなウェット路面に各チーム共に転倒の多い大会となった。

ヨシムラ SERT Motulの第1ライダー、グレッグ・ブラック選手は2番グリッドスタートから鮮やかなホールショットを決めるとオープニングからの5ラップをリードしながら、不安定な路面で転倒に見舞われてピットイン、再スタート時には順位を落とし、51番手からの追い上げとなった。

その後、12番手まで挽回して第2ライダーのエティエンヌ・マッソン選手に交代、マッソン選手はウェットコンディションにもかかわらず、その時点の最速タイムをマークすると、さらに順位を6番手まで上げてゆく。

こうしてレース序盤はブラック選手とマッソン選手の2人で交代する作戦が功を奏して、3時間経過時点ではトップグループも視野に入ってきた。しかしながら強弱に降り続く不安定な雨の中、マッソン選手が転倒。10分間のピットでの修理作業の後、第3ライダーの渥美 心選手に交代した時点で22番手まで後退。追い上げ体制に入った渥美選手だったが、4時間半経過時点に転倒によりピットイン、マシンダメージの修理に数分間を要し、チームには再び厳しい追い上げが強いられる。

その後は、夜間走行序盤にブラック選手の走行で15番手まで挽回するも、変わらずトリッキーなままの路面に再び転倒、長い夜は過酷な様相を呈するも、3人のライダーは諦めることなくチャンピオンシップポイントの獲得を目指して、着実に周回を重ねた。

夜明けを迎えても、3人のライダーによる追い上げは続き、ブラック選手がこのレース中のベストラップを記録する走りで最後は6位まで順位を上げた。数々の転倒とピット修理を経ての6位獲得はチームの実力と結束の結晶であり、スズキGSX-R1000Rの高い性能もまた証明された。

ヨシムラ SERT Motulは、今回のレースで28ポイントを獲得、ランキング6位でシーズンをスタートした。次回のFIM世界耐久選手権 第2戦 スパ8時間耐久レースは6月7日に、ベルギーのスパ・フランコルシャン・サーキットで開催される。