エントラント紹介 エントラント紹介 イベント情報 イベント情報

レースレポート

<<前のレポートへ 次のレポートへ>>
【鈴鹿8耐 メーカー合同公開テスト】2014年7月8日 9日

決勝まで3週間を切った7月第2週の8日・9日に、メーカー合同テストが鈴鹿サーキットフルコースで行われた。

 前週に発生した台風8号の影響によるコンディション悪化が懸念されたが、結果的に二日目の最後1時間はウエットとなったものの、そこまではドライでスケジュールを消化することができ、各チームとも、最後の調整を意欲的に行うことができた。

 スズキ勢からは前週に引き続き、Legend of ヨシムラスズキシェルアドバンスレーシングチームのケビン・シュワンツ/辻本 聡/青木宣篤、ヨシムラスズキシェルアドバンスレーシングチームの津田拓也/ジョシュ・ウォーターズ/ランディ・ド・ド・プニエ、Team KAGAYAMAの加賀山就臣/芳賀紀行、そして13回の世界耐久チャンピオンチームであるスズキ・エンデュランス・レーシングチーム(SERT)のアンソニー・デラール/エルワン・ニゴン/ダミアン・カドリンに、全日本選手権J-GP2に参戦中の生形秀之がサポートライダーとして参加した。

 今回が今季の鈴鹿での初テストとなったSERTは、エースライダーで8回の世界チャンピオン経験者であるヴァンサン・フィリップがマシンテスト中に転倒して骨折。今回の8耐への参戦が危ういことから、カドリンと生形を今回のテストに参加させることとなった。また7月第2週の週末にはドイツGPがあることから、Team KAGAYAMAのドミニク・エガーターは当初の予定通り、今回のテストには参加しなかった。

タイヤのレギュレーション変更が及ぼす影響

 今年はレギュレーションが一部改訂され、決勝レース中のタイヤ本数制限がされることになった。これまでの8耐ではほぼ1時間毎に給油、ライダー交代をすることから、同時に前後のタイヤ交換も行っていた。そのため前回のテストで紹介したように、ほとんどのトップチームが7回ピット、8回スティントという構成で8時間を走り切ることから、トータルで16本の前後タイヤを使用していた。しかし今年はレギュレーションによって決勝は15本しかタイヤが使えなくなってしまった。前後のタイヤの消耗度を比較すると、リアよりもフロントの方が痛みは少ない傾向にある。そのため、どこかのスティントは連続で同じタイヤを使用して走らなければならなくなるが、一般的な考え方でいくと、フロントタイヤを交換せずに1回は連続走行をすることになる。

 とは言え、鈴鹿8耐は『耐久という名のスプリントレース』と表現されるように、非常にハイペースで8時間を走り続けるレースだ。できるだけスプリント的ハイペースを維持しながら、しかも2スティント連続走行できるタイヤチョイス、さらにそれを実現するためのマシンセッティングを決勝までに具現化させなければならない。

 スプリントレースでも、レース距離を想定したいわゆるロングランテストというものは、テストで必須というほど、どのチームもトライしている。連続走行することでタイヤが消耗していくわけだが、それはピットイン、ピットアウトを繰り返しながら結果的に到達する周回数、例えば8耐で言えば1回のスティントは27周前後ということを前回のテストレポートで紹介したが、やはり連続して走り続けた27周とピットインを繰り返し、結果的に到達した27周とはタイヤの消耗度、そして起きるマシンの挙動などは異ってくる。

 さて実際の走行だが、一日目最初のセッションでシュワンツが2分9秒452のタイムをマーク。1週間前のテストでは2分11秒395を記録していたが、難なく10秒を切ってきた。このセッションは走行開始と同時にマシンに乗り込んでコースイン。マシンを降りては吉村不二雄監督、メカニックとマシンに関するディスカッションを意欲的に行い、マシンが戻ってくると再びコースインと、いよいよレースモードになってきた姿が印象的だった。

 またもう一台のヨシムラスズキシェルアドバンスレーシングチームも津田、ド・プニエがマシンを交換しながら意欲的にラップ。徐々に仕上がっていくマシンをウォーターズがライディングし、周回数を重ねていく。

 Team KAGAYAMAも今回のテストから芳賀紀行も本格的に走り出し、足回りのセットなど、細部の煮詰めを加賀山就臣とマシンを交換しながら行っていく。

 この日が走り出しとなったSERTは昨年の鈴鹿8耐決勝時のセッティングをベースとし、まだ十分にマシンに乗り込めていない第4ライダーもいることから、マシンへの慣れがこの二日間のテストのメインテーマとなっていた。チームの本拠地であるフランスから必要最小限のスタッフで鈴鹿入りしており、スズキ本社からもスタッフがサポートで入り、彼らからのアドバイスなども受けながらの走行となっていた。

そして、鈴鹿の熱く長い8時間の戦いがいよいよ始まる。

 今回のテストでのタイムと2台のマシントータル周回数は、ヨシムラスズキシェルアドバンスレーシングチームが2分8秒346で215周、Legend of ヨシムラスズキシェルアドバンスレーシングチームが2分9秒452で188周、Team KAGAYAMAが2分9秒088で178周、SERTが2分10秒317で195周となった。

 総てのチームが課題を残しながら、いよいよレースウイーク入りとなる。タイヤ交換など、新たなレギュレーションによってレース戦略的には従来の戦い方ができない。どんな戦略が7月27日の決勝で正解となるのか。総てはレースウイーク初日の7月24日木曜日午後1時半のフリー走行から始まる各セッションのさらなる積み上げで決まる。



 
 
 
     

   

鈴鹿8耐へ向けて、良い準備ができ、良いタイムも刻めていると感じています。サーキットのコンディションもとても良く、鈴鹿は本当に走っていて楽しいコースですね。テストではいつもと違うセッティングへのトライも行い、様々な角度からセットアップのアプローチをしています。タイヤのチョイスも含め、いろんなテストをしました。ゼッケン1を付けるチャンピオンチームですし、スタッフも耐久のスペシャリストばかりですから、きっと良いレースをお見せできると思います。




 

今年、チームを移籍したばかりで、まだ完全にマシンへの対応ができているような状態ではないので、まず周回を重ねて、マシンに慣れることを中心に行っています。このチームは世界耐久のチャンピオンを13回も獲得している素晴らしいチームで、そんな環境でレースが戦えることにとても幸せを感じています。今回のテストはとてもいい感触で走ることができているので、レースが楽しみです。自分もこのチームでもっともっと成長したいと考えています。




 

鈴鹿でテストができて、とても嬉しく感じています。今回のテストは2台のバイクを使って行うことができているので、仕様違いをテストしています。特に鈴鹿のテストは、スズキ本社がある地元なので、本社のスタッフの方も来てくれてアドバイスをもらったり、高いモチベーションで走行できています。テストでは雨も降ってきて、ドライだけではなくウエットのセットアップもできたので、ラッキーです。我々は耐久チームなのでいつも通り、1周の速さよりもコンスタントに高いレベルで走り切ることを重視しています。そのねらいに対して、良いフィーリングでテストはできました。




 

昨年もテストに参加させていただいて、今回も呼んでいただいて感謝しています。決勝に出られるかどうかは分かりませんが、こうした場に呼んでいただけるということは、多少はチームに貢献できているのかな、と感じますし、もっと役にたてるよう、自分のできることを精一杯やりたいと思いながらテストに参加していました。耐久シリーズを戦うマシンなので、総てが穏やかで、すごく乗りやすいマシンです。いつもと違う環境で走ることができたので、とても楽しいテストでした。

 
<<前のレポートへ 次のレポートへ>>