奇跡のカムバックを遂げたレオン・キャミアが第2レースで6位獲得!
スペインのヘレスで開催されたeni FIMスーパーバイク世界選手権第14戦、チーム フィクシィ・クレセント・スズキのレオン・キャミアが怪我から待望の復帰を果たし第1レース8位、第2レース6位の好成績で今シーズンの最終戦を飾った。
9月半ばの第11戦で足に深刻な骨折を負って以来治療とリハビリに専念していたキャミアだったが、レースウィークの金曜に実に4週間ぶりにマシンに跨った。にもかかわらず、決勝の両レースではそのブランクをまったく感じさせない走りを見せ、特に第2レースは7番グリッドスタートから本来のキャミアらしさを発揮、8ラップ目でD・ジュリアーノ(アプリリア)を捉えて6番手に浮上した。キャミアはさらに前のトップ5とのギャップを縮めようと試みるが、それは叶わないとして着実なペースに切り替える戦法で手堅く6位を獲得、怪我からの完全復帰をアピ-ルした。第1レースでは、オープニングラップで順位をひとつ後退しレース初盤から8番手走行となったが、7番手のC・デイビス(BMW)のすぐ後方について最後まで安定したラップタイムを刻み、そのまま8位フィニッシュした。
一方、チームメイトのジュエル・クルーゼルも最終戦の気迫を見せた。土曜の予選は18位と少々苦戦する様子があったものの、決勝第2レースでは鮮やかなスタートダッシュを決めるとオープニングラップで12番手、その後も前のライダーを1台また1台とパスしながら、見事なスパートで16ラップ目には8番手となり、そのままチェッカーを受けた。第1レースでも、18番グリッドからスタート後5ラップ目で11番手に上がり、レース後半は前を走るM・アイチソン(カワサキ)に接近してトップ10フィニッシュを狙った。しかしながら最終コーナーの2台のバトルでアイチソンがクルーゼルを押し出す形となり、クルーゼルはアウトに膨らみ、僅差での11位となった。さらにクルーゼルは第2レース、ヨシムラによってチューンされたスズキGSX-R1000と共に区間時速279.7km/hという、このレースで1位のE・ラバティ(アプリリア)をも1.5km/h上回る最高時速をマーク。
今季最終戦を終えて、フィクシィ・クレセント・スズキのチームランキング及びスズキのメーカーランキングは共に4位に浮上した。ルーキーシーズンで注目を浴びたクルーゼルはランキング10位となり、ランキング9位との差はわずか1ポイントというトップルーキーの座と共に今シーズンを終了。キャミアも不運な怪我に悩まされたシーズンだったものの、最後はランキング11位まで挽回した。今季タイトルを獲得したのはT・サイクス(カワサキ)で、第1レースを3位でフィニッシュし、第2レースを待たずにチャンピオンを決めた。かつてクレセントスズキのライダーとして活躍したこともあるサイクスに、フィクシィ・クレセント・スズキも賞賛の意を表す。この日の決勝2レースはE・ラバティ(アプリリア)が制し、ランキング2位を獲得した。
フィクシィ・クレセント・スズキは、火曜までヘレスで2014年マシンに向けたプレテストをおこなう。2014年シーズンは2月のフィリップアイランドで開幕を迎える。
- ポール・デニング チーム代表
「両ライダーもチームスタッフも大変よく頑張りました。レオンのレース復帰はまだ早い、治療に専念すべきではという意見もあったのですが、レオンは見事に復帰を果たし、8位と6位という素晴らしい結果を出してくれました。チーム及びすべての協賛各社を代表して、レオンの取り組みと努力を大いに評価し、レオンに心から感謝します。ジュエルについては、18番グリッドスタートという時点でトップを狙うのは難しい状況でした。しかしながら2レースに渡りじつに積極的な攻めの走りで多くのライダーをパスし、特に第2レースでは8位まで追い上げる大変素晴らしい走りを見せてくれました。2013シーズンも終わり、振り返ればチームは度々不運な事態に悩まされながらも、我々は常に前向きに取り組みました。転倒や怪我、リタイアなど色々ありましたが、いかなる試練にも決して諦めず、その結果メーカーランキングではドゥカティとホンダよりもポイントを取ることができました。マシンに関しても、チームの皆の努力によって耐久性と信頼性を併せ持った非常にハイレベルな仕様に達しています。チームの全員に感謝しています。今シーズンに得た多くのデータを存分に活かし、2014シーズンのトップランカーを目指してさらなるマシン作りを進めます。」
順位 | ライダー | メーカー | Time/gap |
---|---|---|---|
1位 | E・ラバティ | アプリリア | 36'00.919 |
2位 | M・メランドリ | BMW | 0.218 |
3位 | T・サイクス | カワサキ | 6.681 |
4位 | S・ギュントーリ | アプリリア | 9.327 |
8位 | レオン・キャミア | スズキ | 29.548 |
11位 | ジュエル・クルーゼル | スズキ | 37.008 |
順位 | ライダー | メーカー | Time/gap |
---|---|---|---|
1位 | E・ラバティ | アプリリア | 36'05.989 |
2位 | T・サイクス | カワサキ | 2.711 |
3位 | S・ギュントーリ | アプリリア | 5.710 |
4位 | T・エリアス | アプリリア | 15.509 |
6位 | レオン・キャミア | スズキ | 26.558 |
8位 | ジュエル・クルーゼル | スズキ | 33.056 |
順位 | ライダー | メーカー | ポイント |
---|---|---|---|
1位 | T・サイクス | カワサキ | 447 |
2位 | E・ラバティ | アプリリア | 424 |
3位 | S・ギュントーリ | アプリリア | 402 |
4位 | M・メランドリ | BMW | 359 |
5位 | C・デイビス | アプリリア | 290 |
10位 | ジュエル・クルーゼル | スズキ | 175 |
11位 | レオン・キャミア | スズキ | 132 |
順位 | マニュファクチャラー | ポイント |
---|---|---|
1位 | アプリリア | 550 |
2位 | カワサキ | 501 |
3位 | BMW | 443 |
4位 | スズキ | 243 |
5位 | ホンダ | 236 |
6位 | ドゥカティ | 185 |
7位 | ヤマハ | 8 |
「これほど良い結果が出せるとは思っていなかったので、今日はとにかく大変嬉しいです。果たして走れるか、レースができるかどうか最初は不安でしたが、一旦走り出してみると意外と快適で、これなら大丈夫という確信に変わりました。そうなると、もっと速く走ろう、もっと順位を上げようと思い、それが自分の仕事でもあり、とにかく頑張って走りました。第1レースではBMWファクトリーチームのすぐ後ろについてマシンをよく観察できたし、我々のマシンの今後の課題を見つけることにも役立ちました。第2レースでは、このところ調子を上げてきているジュリアーノをパスできたのも良かったです。全体的に満足のいくレースになって、これもみなサポートしてくれたチームのおかげです、言葉に尽くせないほど感謝しています。終盤はとても疲れてしまい怪我の足も痛みましたが、シーズンの最後を良い結果で締めくくることができて本当に良かったです。」
「第1レースと第2レースの間にマシンにいくつかの変更を加え、それがプラス方向に作用して第2レースは良い感じで走ることが出来ました。また、ライバル達とのバトルも楽しかったです。スタート後はとにかく1台ずつ確実にパスしていかなければならず、よって思うようなラップタイムは出なかったのですが、結果が出せなかった前回のマニクールのあとで、今日のレース内容には満足しています。セッティングを大幅に変更したのですが予選結果に反映できず、決勝は18番グリッドスタートで決して順調とは言い難い状況でしたが、これもまたレースと言い聞かせ、最後まで頑張って走りました。シ―ズンを振り返ると、思い通りの成績が出せなくて悔いの残ったレースもありますが、自分にとってはWSB1年目とういこともあり、これからもっと色々な経験を積んで速くなりたいです。」