波乱含みの第1レース、キャミアがトップグループ走行から悔しいDNF。
ドイツのニュルブルクリンクで開催されたeni FIMスーパーバイク世界選手権第10戦、チーム フィクシィ・クレセント・スズキはレオン・キャミアが第1レースを順調に走行していたもののクラッシュを喫してリタイア、病院に搬送され、キャミアは第2レースをキャンセルした。この日10番グリッドスタートのキャミアは、安定したスタートダッシュからオープニングラップを終えて9番手、さらにL・ハスラム(ホンダ)、D・ジュリアーノ(アプリリア)をパスすると6番手に浮上し、ポディウム目指して追い上げ態勢へと入った。そしてS・ギュントーリ(アプリリア)を捉え5番手に上がろうとした時、アクシデントは起きた。クラッシュして間もない他車から路面にオイルが漏れ出し、その上に乗ってしまったキャミアは一瞬にしてコントロールを失い、ハイスピードでの大クラッシュに見舞われてしまう。メディカルスタッフの敏速な判断により、キャミアはヘリで病院へ救急搬送された。頸部損傷が懸念されていたが、検査の結果は異常はなく、大クラッシュだったにもかかわらず幸い他の部位にも深刻なダメージはないと診断された。キャミアはすぐにも病院から戻りたい意思を示しており、次戦に向けて数日間の休養を取る予定。
また、コース上のオイルによりキャミアと同じ場所でクラッシュしたJ・レイ(ホンダ)は搬送先の病院で左大腿骨の骨折が判明、フィクシィ・クレセント・スズキはレイに対し一日も早い復帰を祈るとコメントした。このアクシデントにより第1レースはレッドフラッグとなり、残念ながらクラッシュ後にピットインの叶わなかったキャミアはDNFとなった。
チームメイトのジュエル・クルーゼルは、第1レース8位、続く第2レースも後半までトップ10をキープしていた。しかしながら16ラップ目にマシントラブルによるコースオフを余儀なくされ、再スタートはしたものの最後は14位、かろうじてポイント獲得圏内となったが、少々悔いの残るレース内容となった。
ヨシムラによってチューンされたスズキGSX-R1000と共に、フィクシィ・クレセント・スズキは次戦に向けた準備に入る。WSB第11戦は9月13日~15日、WSB初会場となるトルコ・イスタンブールで開催される。
- ポール・デニング チーム代表
「前回、8月最初のシルバーストーンではフィクシィ・クレセント・スズキらしさを発揮して好成績を出し、そして今回もレオンは確実にポディウムを狙っていけるペースを持っていました。しかしながら第1レースのラスト2ラップであの恐ろしいクラッシュがあり、とにかくレオンの怪我だけが心配でした。こういう場合、常に冷静を保つ事も重要ですが、レースディレクターはコース上にオイルの漏れたバイクがあることをピットやライダーに知らせて、悲惨なクラッシュが起こる前に速やかにレッドフラッグとする対処を考えてほしかったです。今回の状況の説明と今後のための改善策について、我々はレースディレクターと話し合うつもりです。レオンに大きな怪我がなかったのは不幸中の幸いでしたが、レイの怪我については本当に不運なことで心からお大事にと言いたい。ジュエルについては、次のイスタンブール・パーク・サーキットを2007年にGP250で走った経験があり、彼の好きなコースのひとつだということなので、期待できそうです。今回のタフな展開を教訓に、次はぜひトップ争いに食い込んでいってほしい。レオンの方はレースをするに充分な状態まで回復できるかどうか、確認でき次第お知らせしたい。GSX-Rのポテンシャルを知り尽くしているレオンにはぜひとも元気に走る姿を見せてほしいし、ライダーもチームも皆一丸となって取り組んでいる。」
順位 | ライダー | メーカー | Time/gap |
---|---|---|---|
1位 | T・サイクス | カワサキ | 32'38.184 |
2位 | M・メランドリ | BMW | 0.269 |
3位 | C・デイビス | BMW | 0.714 |
4位 | S・ギュントーリ | アプリリア | 6.427 |
8位 | ジュエル・クルーゼル | スズキ | 18.726 |
DNF | レオン・キャミア | スズキ | 6.677 |
順位 | ライダー | メーカー | Time/gap |
---|---|---|---|
1位 | C・デイビス | BMW | 34'36.933 |
2位 | E・ラバティ | アプリリア | 0.132 |
3位 | M・メランドリ | BMW | 0.366 |
4位 | T・サイクス | カワサキ | 1.189 |
5位 | S・ギュントーリ | アプリリア | 1.621 |
14位 | ジュエル・クルーゼル | スズキ | 1'05.331 |
順位 | ライダー | メーカー | ポイント |
---|---|---|---|
1位 | T・サイクス | カワサキ | 287 |
2位 | S・ギュントーリ | アプリリア | 286 |
3位 | M・メランドリ | BMW | 257 |
4位 | E・ラバティ | アプリリア | 247 |
5位 | C・デイビス | BMW | 221 |
9位 | ジュエル・クルーゼル | スズキ | 123 |
11位 | レオン・キャミア | スズキ | 114 |
順位 | マニュファクチャラー | ポイント |
---|---|---|
1位 | アプリリア | 369 |
2位 | カワサキ | 341 |
3位 | BMW | 321 |
4位 | ホンダ | 201 |
5位 | スズキ | 175 |
6位 | ドゥカティ | 144 |
7位 | ヤマハ | 4 |
「苦しく厳しい週末でした。それでも第1レースでは多くの事を学んだので、第2レースで何とかしてそれらを走りに生かそうと思いました。第1レースの最初の4~5ラップはとても良い感触で走れましたが、タイヤが消耗するにつれて攻めることができなくなり、あの状況で8位の結果は上出来です。第2レースも第1レースと同様の状況で、さらにオープニングラップでハイサイドになり、第1レース以上にタイヤグリップには不安を感じましたが、とにかくベストを尽くすしかないと思いました。そんな中でもターン後半の安定性については多少の改善もできて、これが今回のレースの一番の収穫です。第2レースも8位か9位を狙えるところだったのですが、フィニッシュまであともう少しというところで電気系統のトラブルでストップしてしまいました。再スタートはできましたが、14位は不本意な結果です。それに今回はレオンの不運なクラッシュもあり、とても心配でしたが、レオンが一日も早くカムバックして、次の大会でまた一緒に良い成績を出すよう頑張りたいです。」