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2017-2018 FIM 世界耐久選手権 第41回 鈴鹿8時間耐久ロードレース
2018.07.29
決勝レポート
#95エスパルスがスズキ勢最上位の4位を獲得。
転倒後に追い上げた#12ヨシムラもトップ10フィニッシュ。
心配された台風12号は日曜朝には中部エリアを抜け、41回目を迎える鈴鹿8時間耐久ロードレースは定刻通り、11時30分に無事スタートを切られることとなった。しかし異例のルートを進む台風12号の影響は残り、鈴鹿サーキット上空は厚い雲に覆われ、時折雨がパラつく。そうかと思うと青空が広がるような、非常に不安定な天候でスタート時間がせまってきて、参加チームはあらゆる状況を想定しながら、慌ただしい時間を過ごした。

いよいよスタート進行がはじまり、選手紹介が行われるなか、空から雨粒が落ちてくる。路面はウェットになるものの、その雨も長くは続かない。タイヤ選択に悩まされるなか、ウォームアップラップスタート直前にさらに強い雨が降り出す。トップチームの殆どがレインタイヤを装着。気温29℃。路面温度33℃のウェットコンディションのなか、いよいよ8時間の戦いの幕が切られた。

オープニングラップは#33高橋(ホンダ)がトップで戻ってくる中、#12ヨシムラスズキMOTULレーシング(以下ヨシムラ)のスタートライダー、シルバン・ギントーリが4番手、#95 S-PULSE DREAM RACING・IAI(以下エスパルス)の渡辺一樹が6番手で通過。数周ののち、#12ギントーリは#21ファンデルマーク(ヤマハ)をパスして3番手にポジションアップする。

その後ろでは#71 Team KAGAYAMA U.S.A.(以下カガヤマ)の加賀山就臣が予選順位から大幅にポジションアップして、5番手にポジションアップした#95渡辺のすぐ後ろで走行を重ね、8周目には渡辺をパスし5番手のポジションを奪う。

また、#2 SUZUKI ENDURANCE RACING TEAM(以下SERT)のヴァンサン・フィリップは10番手前後で周回を重ねる。なお、SSTクラスの#9 MotoMap SUPPLY(以下モトマップ)はスリックタイヤを選択したため、下位での走行を強いられる。

しかし走行開始30分もすると、路面が急速に乾き始める。そしてトップ勢としては真っ先に、#12ギントーリが14周目にスリックタイヤに交換してライダー交代をしないままコースに戻る。その判断は正しかったようで18周目、#33ホンダのタイヤ交換のすきに#12ヨシムラがトップに躍り出るが、その後#11カワサキ、#21ヤマハにパスされ、3番手で走行を重ねる。

26周目、ちょうどスタートから1時間の時点にシケインで周回遅れに押し出されるようなかたちで#12シルバンが転倒。ピットで修復後、ブラッドリー・レイにライダー交代をし、コース復帰するも、マシンに不具合があったため、再度ピットイン。48番手まで大きく順位を落としてしまう。

その間、上位では#95エスパルスと#71カガヤマが順調に走行を重ねていたが、33周目に#71加賀山から交代したジョー・ロバーツがMCシケインで転倒。マシンの修復後、戦列に復帰するがこちらも大きく順位を落としてしまう。

#95エスパルスは39周目に4番手にポジションアップする。途中、ヘアピンにて転倒車両があり、一度セーフティーカーが入ったものの、順調に走行を重ねる。

スタート時に降っていた雨はその後は降っていなかったが、5時間を経過しようとしていたときに、またしても空から雨粒が落ちてくる。一瞬のうちにウェット路面に変わるコース上。しかしすぐに止みそうな気配もある。状況をみつつ周回を重ねる中で、転倒が相次ぎ、2度目のセーフティーカーが入る。ところが、その周回中にさらに雨脚が強まり、いつピットインすれば良いのか、ライダーもチームも非常に難しい判断を強いられる。

その間に、#95エスパルスはレインタイヤに交換。セーフティーカーが解除となったあとも5番手で走行を重ねるなか、コース上にオイルが撒かれてしまったため、3度目のセーフティーカーが入ってしまう。

6時間過ぎの順位は5番手の#95エスパルス。12番手の#2 SERT。14番手、15番手はそれぞれ転倒から追い上げを見せてきた#71カガヤマ、#12ヨシムラと続いた。また、SSTクラスの#9モトマップは総合では22番手ながら、クラス2番手と健闘。#31浜松チームタイタン(以下、タイタン)は転倒もあり47番手となっていた。しかし天気とともに路面状況が今後どのように変化していくか。まだまだ波乱がありそうなまま、レースは終盤に突入していく。

残り2時間。スズキ勢は順調にラップを重ねる。懸念された天候も持ち直し、所々にウェットパッチは残るものの、ドライコンディションで戦いが続けられた。そしていよいよ8時間の戦いがフィナーレを迎えた。

結果は#95エスパルスがスズキ勢最上位の4位。#12ヨシムラ、#71カガヤマはともに転倒後に追い上げて10位、11位。#2 SERTは12位となり、世界ランキングは6位でシーズンを終了した。また#9モトマップは最後のピットイン時にトラブルが発生して修復に時間がかかり、SSTクラス4位となる総合23位。#31タイタンは43位でチェッカーフラッグを受けた。

#95 S-PULSE DREAM RACING・IAI 生形 秀之
「難しいレースでした。そのなかでチームが頑張って、みんなとても良い働きをしてくれました。4位になれたチーム力を誇らしく思いますし、応援してくれた方々には感謝の気持ちでいっぱいです。ただ、自分はライダーとしては良い仕事が出来ませんでしたね。そこはライダーとしてはちょっと悔しかった。全日本の後半戦で良い走りを見せられるように頑張ります。」
#95 S-PULSE DREAM RACING・IAI トミー・ブライドウェル
「アンビリーバブルな結果だ。もう、全てがファンタスティックだったよ。バイクは車体もエンジンも電気もタイヤも全て・・・ ドライでも雨でも中途半端な路面でも・・・ そうそう、夜間走行でも完璧だった。これは僕の母親にも感謝しなきゃならないかもね。小さいころ、ニンジンをいっぱい食べると目に良いって聞いて、よく食べていたんだ。おっと、これは冗談だけど、本当にチームは素晴らしい仕事をしたよ。ピットインのタイミングもピットワークのタイミングも完璧だった。とにかく今日は良い気持ちでぐっすり眠れそうだよ。」
#95 S-PULSE DREAM RACING・IAI 渡辺 一樹
「プライベーターとしてこの4位という成績を残せたことをとても嬉しく思います。逆にこのコンディションだったことが僕らにとっては有利に働いた面もあると思います。とにかく良く働いてくれたチームに感謝です。普段はヨシムラで走っている僕をとても歓迎してくれて居心地も良かったですし、生形さんの作ったマシンのセットアップも素晴らしくてこの成績を出す後押しをしてくれました。この良い感触をもとにスイッチをスプリントモードに切り替えて後半の全日本も頑張っていきたいです。」
#95 S-PULSE DREAM RACING・IAI 吉田 志朗 監督
「このレースウィークはライダーもメカニック、スタッフも本当にハードワークでした。でも、4位という素晴らしい結果を出せて本当にうれしく思います。スポンサーやファンの方のご支援があったからの結果だと思います。またここから新たな目標ということは表彰台ですかね。そこに向かって頑張っていきたいと思います。有難うございました。」
#12 ヨシムラスズキMOTULレーシング シルバン・ギントーリ
「8耐はいつだってタフで難しいレースだよ。ドライでもウェットでもフィーリングが良かっただけに、バックマーカーを避けるために転倒してしまったのは残念だよ。でも8耐は長い。ヨシムラはファイティングスピリットをもっているから、あきらめないで懸命に追い上げたよ。表彰台に上がれるペースはあったはずだし、近い将来必ず上がれるはずさ。また来年戻ってくるよ。」
#12 ヨシムラスズキMOTULレーシング 津田 拓也
「昨日の転倒後にセットも見直してもらって、気合が入っていただけに残念でした。シルバンの転倒後に乗ったら、ちょっとマシンのバランスが崩れてしまっていて、乗りこなすのに苦労しました。8耐なのでいろいろあるので、仕方ないですね。気持ちを切り替えて全日本に全力で挑みたいと思います。」
#12 ヨシムラスズキMOTULレーシング ブラッドリー・レイ
「とても難しかったけど、8耐は僕にとって全てが新しくて素晴らしい経験だったよ。ヨシムラのチームはとにかくプロフェッショナルだから、ここで走れて幸せだったよ。マシンはとても速くて、いつも完璧だったし、その中で自分としては、良い仕事が出来たと思う。この経験をこれからに活かしていきたいね。そしてまたヨシムラで8耐に出場したいよ。」
#12 ヨシムラスズキMOTULレーシング 加藤 陽平 監督
「ガチンコで勝負した場合、まだヤマハさんやカワサキさんにはちょっと劣っている部分がありました。でも、今日のような難しいコンディションでは戦略的なこともあるのでチャンスがあるかもしれないと思っていました。実際、序盤のスリックタイヤへの交換も、トップチームではうちが一番早かったので、やれるかも? という感触があっただけに、シルバンの転倒は残念でした。ただ、すぐに全日本もあるので気持ちを切り替えていきたいと思います。応援してくれた方々、本当に有難うございました。」
#71 Team KAGAYAMA U.S.A. 加賀山 就臣
「最初のスティントでもう少し上の位置で走りたかったんですけど、ちょっと出遅れちゃいました。ルマン式のスタートは得意だから本当はホールショットを狙っていたんです。それでもコンスタントに良いラップタイムで走れていたのですけど、ジョーの転倒後にはみんなちょっと落ち込んでしまっていたんで「そうじゃないよ。まだ先は長いんだから、追い上げるぞ!」って気合を入れ直しました。それから浦本もジョーもしっかり走ってくれて、チームも良いピットワークを見せてくれて、チームカガヤマのパワーは少しは見せられたかなと思います。もちろん11位という順位は残念ですけど、みんなが一生懸命やった結果だから仕方ないですね。うちのチームはいろんな企業や個人の方が応援してくれて成り立っています。感謝の気持ちを結果で出したかったのですが、それは来年。そして全日本の後半戦で見せていきたいです。」
#71 Team KAGAYAMA U.S.A. ジョー・ロバーツ
「今回、チームカガヤマで走ることが出来て本当にハッピーだったよ。自分のホームのようで雰囲気も最高なんだ。マシンも素晴らしくて、走るのが楽しくて仕方なかった。決勝は良いタイムでコンスタントに走れていたから、ウェットパッチに乗って転倒してしまったのは残念だったし、チームにも申し訳なかった。またこのチームに戻ってきて、リベンジしたいよ。」
#71 Team KAGAYAMA U.S.A. 浦本 修充
「金曜日の予選後、自分の遅いところをデータで検証してアベレージタイムを少し改善することが出来ました。まだまだ理想とするところには届いていませんが、このウィークでまた成長することが出来たと思います。就臣さんのところで3年連続8耐に出場させてもらっているのですが、本当に良い経験を積ませてもらっています。素晴らしいチームと環境を用意していただいて感謝しかないです。期待もしてもらっていると思うので、それに応えられるようにスペインでの残りの2戦も全力で戦います。」
#71 Team KAGAYAMA U.S.A. ケビン・シュワンツ 監督
「世界選手権でトップを狙っていくというのは並大抵のことじゃないよね。勝つつもりでいくんだからそれはミスをすることだってあるさ。特にジョーは若いし経験もまだ少ない。でも、そこからまたみんなが協力して頑張ったんだ。ライダーもメカニックもすごい努力をして11位まで追い上げた。僕は彼らを誇らしく思うし、とてもハッピーだよ。もちろん、11位というのは悔しいさ。でも、それはトップの世界では起こってしまうものなんだ。彼らの実力は今回の順位では計り知れないからね。」
#2 Suzuki Endurance Racing Team ヴァンサン・フィリップ
「バイクはコンスタントに良く走っていたからもっと良い結果を出せた可能性はあるけれど、予想出来ないことがあるのが耐久レースさ。ただ、これまでなかなか新型の良いところを引き出せなかったのが、やっとまとまってきて自信をもって攻めることが出来るようになってきた。今年のチャンピオンシップは良い成績が出せなかったけど、来年はトップ争いを常にしたいね。」
#2 Suzuki Endurance Racing Team エティエンヌ・マッソン
「タフなレースだった。ドライではコンスタントに良いラップタイムで走れたんだけど、鈴鹿のウェットでのセットアップはまだ完璧じゃなくて良いフィーリングが得られなかったんだ。それからセーフティーカーの入るタイミングが悪くて、大きくタイムロスをしてしまった。でもこれもレースさ。ただ、新型のパフォーマンスをやっと引き出すことが出来るようになってきたのはポジティブなところだよ。来年は期待できそうだよ。」
#2 Suzuki Endurance Racing Team グレッグ・ブラック
「天候が目まぐるしく変わって難しいレースだったよ。そのなかではコンスタントに良いラップタイムで走れたんだ。でも、セーフティーカーの入るタイミングとピットインが重なってしまって、そこで大きくタイムを落としてしまったのが残念だった。でも、バイクは鈴鹿で大きく進化したんだ。今年のチャンピオンシップは終わってしまったけど、来年に向けて良いフィーリングをつかめたのがポジティブなことさ。」
#9 MotoMap SUPPLY 今野 由寛
「スタート時のスリックタイヤ選択は、賭けに出たのが裏目に出た感じですね。そのあとが3人ともコンスタントに良いラップタイムで走れていたので余計に残念です。それでもクラス2位まで追い上げていたのですが、最後のピットインでちょっとしたトラブルが出てしまって、また順位を落としてしまいました。今回の8耐は、SSTクラスで出場することで新しいチャレンジでした。いろいろと勉強にもなったし、難しいところもありましたが、いろんな方やスポンサーに協力していただいて、なんとか無事に終えることが出来てホッとしています。有難うございました。」
#9 MotoMap SUPPLY ジョシュ・ウォーターズ
「スリックタイヤであの雨の中を走り続けるのはとても難しかったよ。あの判断で大きく順位を失ってしまったのは残念だった。ラップタイムをみれば、もっと上位に行けたと思うんだ。SSTクラスのファーステストラップもうちのチームだったからね。順位という結果には結びつかなかったけど、バイクのポテンシャルを証明することは出来たんじゃないかな。」
#9 MotoMap SUPPLY 青木 宣篤
「スタート時のタイヤ選択ミスが大きかったですね。もちろんこれは結果論で、その時は雨が止むものと予測したんです。2回目の雨の時は真っ先にレインにして、失ったタイムを取り返そうと思ったのですが、セーフティーカーが入ってそれを取り返せませんでした。なかなか予想通りにはいかないのが8耐ですね。ただ、今回SSTクラスで参戦して、新型GSX-R1000を理解することが出来ました。これをキットパーツやユーザーのためのフィードバックに役立てたいですね。」
#31 浜松チームタイタン 上林 隆洸
「今日のようなコンディションでも絶えず安心感があってコンスタントに走れていたので、和田選手の転倒は残念でした。ほとんどスタンダードのマシンでもエンジンは速かったし、バランスも良かったです。それだけに、もっと上を狙えたと思うと、結果は悔しいですね。」
PHOTO GALLERY
RESULT
2018年 鈴鹿8時間耐久ロードレース 決勝結果
順位ゼッケンクラスチーム名ライダーマシン周回数
1#21EWCYAMAHA FACTORY RACING TEAM中須賀 克行
Alex Lowes
Michael van der Mark
YAMAHA199
2#33EWCRed Bull Honda with 日本郵便高橋 巧
中上 貴晶
Patrick Jacobsen
HONDA199
3#11EWCKawasaki Team GREEN渡辺 一馬
Leon Haslam
Jonathan Rea
KAWASAKI198
4#95EWCS-PULSE DREAM RACING・IAI生形 秀之
トミー・ブライドウェル
渡辺 一樹
SUZUKI
GSX-R1000
196
5#5EWCF.C.C.TSR Honda FranceFreddy Foray
Josh Hook
Alan Techer
HONDA196
6#94EWCGMT94 YAMAHAMike Di Meglio
Niccolō Canepa
David Checa
YAMAHA196
7#22EWCHonda Asia-Dream RacingMd. Zaqhwan Zaidi
Troy Herfoss
Andi Farid Izdihar
HONDA195
8#19EWCKYB MORIWAKI MOTUL RACING清成 龍一
高橋 裕紀
Dan Linfoot
HONDA195
9#111EWCHONDA ENDURANCE RACINGYonny Hernandez
Sebastien Gimbert
Erwan Nigon
HONDA194
10#12EWCヨシムラスズキMOTULレーシング津田 拓也
シルバン・ギントーリ
ブラッドリー・レイ
SUZUKI
GSX-R1000
194
11#71EWCTeam KAGAYAMA U.S.A.加賀山 就臣
ジョー・ロバーツ
浦本 修充
SUZUKI
GSX-R1000
194
12#2EWCSUZUKI ENDURANCE RACING TEAMヴァンサン・フィリップ
エティエンヌ・マッソン
グレッグ・ブラック
SUZUKI
GSX-R1000
193
23#9SSTMotoMapSUPPLY今野 由寛
ジョシュ・ウォーターズ
青木 宣篤
SUZUKI
GSX-R1000
188
37#29EWCDOG HOUSE岩谷 圭太
左村 英祐
SUZUKI
GSX-R1000
183
42#27EWCTransMapレーシングwith ACE CAFE大石 正彦
行村 和樹
SUZUKI
GSX-R1000
178
43#31EWC浜松チームタイタン和田 憲史郎
上林 隆洸
SUZUKI
GSX-R1000
177
DNF#02EWCTEAM R2CL MKS PARTELXAClinton Seller
Billy McConnell
Aaron Morris
SUZUKI
GSX-R1000
103