SUZUKI RACING REPORT
スズキレーシングレポート
世界耐久選手権 レースレポート
2022年7月5日-7月6日
2022 FIM 世界耐久選手権 第3戦 鈴鹿8時間耐久ロードレース 事前合同テスト
三重県 鈴鹿サーキット
3年ぶりとなる鈴鹿8耐に向けスズキ勢は順調にセットアップを進めた
2022 EWC
2023 鈴鹿8耐 スペシャルサイト
スズキ株式会社 国内二輪 X(旧Twitter)公式アカウント
新型コロナウィルスの影響により、2019年を最後に開催が見送られてきた鈴鹿8時間耐久ロードレースがついに開催されることとなり(8月7日決勝)それに先駆け、7月5日、6日に参加チームによる事前合同テストが開催された。

台風4号の列島上陸により、初日は朝から雨模様。当初は一日中、大雨の予報が出ていたため走行出来ないのではといった不安がチーム関係者によぎったが、大きな影響を受けることはなかった。午前の1本目こそウェット路面での走行となったものの、午後の2本目の走行ではほぼドライになった。完全ドライとなった3本目の途中からまた小雨が降ったりとすべてが順調にはいかなかったものの、夜間走行や2日目の走行はすべてドライに恵まれ、各チーム有意義なテストを行うことが出来たようだ。

スズキからは昨年の世界耐久選手権のチャンピオンで、今シーズンもポイントランキングをトップでリードする #1 ヨシムラ SERT Motul からシルバン・ギントーリ、グレッグ・ブラックとともに、開発ライダーも兼ねる渡辺一樹が走行。2日目はチームメイトを入れ替えながらハイスピードでのランデブー走行を行いセットアップを進めた。なお、ザビエル・シメオンは体調不良のため、今回の走行を見合わせた。

#95 S-PULSE DREAM RACING・ITECからは生形秀之、津田拓也、渥美心が参加。また、改造範囲の狭いSSTクラスには #52 TERAMOTO@J-TRIP RACINGから寺本幸司、青木宣篤、津田一磨が参加。元GPライダーで、スズキのMotoGPマシンの開発ライダーを長年努めたレジェンドの青木宣篤は今回の鈴鹿8耐が引退レースとなる。また、スズキの社内チーム #31 浜松チームタイタンからは武田数馬、屋代原野、村瀬健琉が参加した。

テスト2日目は転倒も多く、赤旗によりセッションが中断されることが少なくなかったが、スズキ勢は全車無転倒で順調にセットアップを進めた。

2日間の総合結果では#1 ヨシムラ SERT Motulが2分7秒355で総合4番手、#95 S-PULSE DREAM RACING・ITECが2分8秒071で総合8番手、#52 TERAMOTO@J-TRIP RACINGが2分13秒069でSSTクラス6番手、#31 浜松チームタイタンが2分14秒689でSSTクラス9番手となった。

決勝は8月7日(日)11時30分がスタートとなる。

ヨシムラ SERT Motul 加藤 陽平 チームディレクター
「あらためて、鈴鹿8耐は難しいと感じさせられました。今回は気温も路面温度も高かったので、マシンのフィーリングを安定させるのにも苦労しました。日本でマシンを作ってヨーロッパに持っていった時は割とスムーズに合わせることが出来たのですが、ヨーロッパから鈴鹿に戻ってきたら、いろいろと問題が出たりで簡単ではありませんでした。この状況に合わせられるようにこれまでの経験を活かしながら決勝に向けていきたいと思います。HRCさんやKRTさんといったワークスチームが参戦してくるのでレベルも高いですが、チャレンジのしがいもあります。ヨシムラとしてのアイデンティティはやっぱり鈴鹿8耐での優勝なのですが、チームとしての最大の目標はチャンピオンの防衛ということになります。ヨシムラ SERT Motulの戦いに期待していてください。」


ヨシムラ SERT Motul 渡辺 一樹 選手
「チームメイトにとっては久々の鈴鹿ですけど、僕にとっては勝手知ったるコースとマシンなので、いつも通りといった印象ですかね。とはいっても鈴鹿8耐は3年ぶりで雰囲気も特別ですし、久々に皆さんの前で走れるのが嬉しいです。今回のマシンは先行開発車といった位置付けでもあって、ここがスタートラインでもありますが、悪くない滑り出しだと思います。このレースでチャンピオンを獲得出来るわけではないのですが、少しでも多くのポイントを獲得して、チャンピオンシップに有利になるようにサポートが出来るように頑張りますので応援宜しくお願いします。」


ヨシムラ SERT Motul ザビエル・シメオン 選手
「鈴鹿8耐には過去に1度だけ、2019年に別のチームから出場しているんだ。でも、今回の鈴鹿8耐はとてもスペシャルなものだね。スズキにとってもヨシムラにとっても地元というだけでなく、3年ぶりの開催となるからとても楽しみだよ。チャンピオンチームから出場するのだから特別な気分といえるね。少なくても表彰台。欲を言えば優勝を獲得してチーム力とGSX-R1000Rのポテンシャルを見せたいね。」


ヨシムラ SERT Motul シルバン・ギントーリ 選手
「いつだって鈴鹿は特別だね。グレイトなトラックというだけでなく、スズキとヨシムラのホームレースでもあるしファンも熱烈に歓迎してくれるんだ。バイクもチームも素晴らしいし、今年はディフェンディングチャンピオンにふさわしい走りを見せたいと思っているよ。皆さんの熱い応援がパワーになるんだ。もちろん今年もチャンピオン獲得のためにチャレンジしていくつもりだよ。」


ヨシムラ SERT Motul グレッグ・ブラック 選手
「3年ぶりの鈴鹿にチャンピオンチームとして戻って来られてとても誇らしいよ。今日も雨とドライとで少しずつ走ったんだけど、フィーリングはとても良いし、タイヤも含めて底知れないパフォーマンスを感じることが出来たよ。残念だけど本戦では僕は走らない予定なんだ。一樹にとっては地元でもあるし、開発も含めて頑張ってくれているから、彼が走るのが相応しいと思っているんだ。もちろん、僕も出来る限りのバックアップをするつもりだ。多くのポイントを獲得してもらって、チャンピオンシップのアドバンテージを広げてくれることを信じているよ。」


S-PULSE DREAM RACING・ITEC 生形 秀之 選手
「うちのチームの最大の目標は常に鈴鹿8耐での表彰台獲得です。全日本のスポット参戦もそのためのものでしたし、そういった意味では準備はしっかりしてきたつもりです。今回、チームメイトにも乗ってもらって、マシンの方向性も間違っていなかったことが確認出来たので良かったです。表彰台獲得が簡単ではないことは分かっていますが、今年こそなんとか実現出来るようにチーム一丸となって戦っていきたいです。」


S-PULSE DREAM RACING・ITEC 津田 拓也 選手
「今回が初乗りでしたが、生形さんがセットアップしたマシンはとてもバランスが良くて、すんなり馴染むことが出来ました。もうほとんど何もしないまま、暑い時間帯でも2分9秒台でラップ出来たのでベースは悪くないと思います。そのなかで課題も見つけることが出来たので、それを克服出来れば決勝も良いところを走れると思います。チームの雰囲気も良くてリラックスして久々の鈴鹿8耐を楽しめています。ワークスチームの参戦もあって、チームの目標でもある表彰台を獲得するのは簡単ではありませんが、それをいつでも狙える位置にいられるような準備は出来ています。」


S-PULSE DREAM RACING・ITEC 渥美 心 選手
「今回初めてスズキGSX-R1000Rに乗ったのですが、とても速くてポテンシャルの高さを感じました。まだまだ自分のほうが合わせきれていないところがあって、そこをレースウィーク中になんとかするのが課題です。世界耐久選手権をレギュラー参戦している身としては、予選での1発のタイムはあまり重視していないところもあるのですが、鈴鹿8耐はトップ10トライアルとか、チームにとってもライダーにとってもアピールの場でもあるので、アベレージタイムも当然ですが、1発タイムでも2分7秒とか8秒が出せるように取り組んでいきたいです。」


TERAMOTO@J-TRIP Racing 寺本 幸司 選手
「前回のテスト走り始めに腰を痛めてしまいまして、ほとんど乗ることが出来なかったので、僕にとっては今回が初テストみたいな感じです。とはいっても、この2年間での全日本参戦やテストでベースとなるセットも、STクラスならではの走り方もずいぶん分かってきました。幸いにもほとんどドライで走れたうえにレインも経験出来たので、準備は整っています。青木選手とのベテランコンビに加え、若い津田一磨選手のパワーももらって力を合わせて頑張っていきます。」


TERAMOTO@J-TRIP Racing 青木 宣篤 選手
「前回のテストで乗ったフィーリングが悪くなくて、今回そこからさらにいろいろなセットアップを進めたのですが、ちょっと迷路にはまってしまったようなところがありました。フィーリングは悪くないのですが、タイムが伸び悩んでいるのが少し気がかりではあります。路面温度が高かったことが影響しているだけならいいのですが。ただ、これで決勝に向けての方向性はある程度絞られてきたのはポジティブなところです。あとはレースウィークに向けて自分自身のコンディションを整えていきたいと思います。」


TERAMOTO@J-TRIP Racing 津田 一磨 選手
「普段乗っているJSB1000のマシンに比べるとSSTクラスのマシンはいろいろと難しいところがあって戸惑うところもありましたが、2日間たくさん乗らせてもらったのでずいぶん慣れることが出来たと思います。3人共に体格も似ていてライディングポジションもセッティングも方向性が同じだったので安心しました。青木宣篤さんの引退レースにもなるので、SSTクラスの表彰台獲得に貢献出来るように全力を尽くして走りますので応援宜しくお願いします。」


浜松チームタイタン 武田 数馬 選手
「SSTクラスは今回初チャレンジですので、いろいろと準備が大変でした。全日本ではST1000クラスにも参戦しているのですが、その車両ともレギュレーションが違うので苦労もありました。今回のテストではベースのセットアップをずいぶん進めることが出来たと思いますし、想定したタイムもクリアしたのは良かったのですが、周りも予想以上に速かったのでもう少し頑張らなければなりません。目標はSSTクラスで6位以内です。チームで力を合わせて目標を達成したいです。」


浜松チームタイタン 屋代 原野 選手
「これまでの600ccに変わって今年の4月から1000ccに乗っているのですが、車重も増えるしパワーもあってなかなか乗りこなすのが難しいです。これまではグリップ重視での走りの組み立てをしていたのですが、鈴鹿8耐はレース距離も長いし、気温も高くてそういった走りが通用しないと思い、ユーズドタイヤでたくさんテストをこなしました。そのなかで、タイヤに依存しすぎない丁寧な操作を心がけるようにして、走りの改善を進めています。鈴鹿8耐で自分自身も一回り成長したいですし、チームの目標に貢献出来るように頑張ります。」


浜松チームタイタン 村瀬 健琉 選手
「6月の全日本菅生で怪我をしてしまい、今回のテストでは6周くらいしか走れませんでしたが、そのなかでマシンのフィーリングや改善点を掴むことが出来ました。足回りに関しては僕が全日本で使っているものを移植したので違和感はなかったのですが、マシン全体のバランスに関してはもう少し詰めていければと考えています。怪我の治りが少し不安ですが、精一杯頑張りたいです。SSTクラスでのダンロップ勢トップが最低限の目標です。」