2015年MotoGP参戦車両GSX-RRデモラン レポート

 10月10日から12日の三日間、栃木県ツインリンクもてぎで行われた2014FIM MotoGP世界ロードレース選手権シリーズ第15戦日本グランプリ。例年、このレースは天候に悩まされることが多いが、今年は三日間安定した天気の下、行われた。
 そしてこのレースに今回、2015シーズンから本格復帰を発表したチーム・スズキ・モトGPのマシンがデモランで参加。二人の世界チャンピオンによってサーキットを走る姿が披露されることとなった。
 二人のライダーとは、GP界のレジェンドであり、今年の鈴鹿8時間耐久レースには現役ライダーとして参戦も果たしたケビン・シュワンツと、1982年の世界チャンピオンであるフランコ・ウンチーニ。ウンチーニは現在、FIMの安全委員会に所属し、今回のレースではレースディレクターを務め、その職務を果たしながら、今回のデモランに参加してくれることになった。
 シュワンツはこのレースウイーク中、様々なイベントに出演。それらのイベントの中で、来年から復帰するチーム・スズキのGSX-RRについて「素晴らしいテストライダー、エンジニアによって開発されているので、今回のデモランはとても楽しみにしている。間違いなく良い結果を出してくれるだろう。その手応えを、今回のデモランで感じてみたい」と語っていた。
 MotoGP決勝が12日14時にスタート。このレースの終了後に予定されているデモランに向け、14時15分にGSX-RRのエンジンが始動された。今回のレースに持ち込まれたGSX-RRは最新スペック。ほぼ同時にGSV-Rのエンジンも掛けられ、2015年の本格復帰へ向けた、サーキットでのスズキの咆哮が響き渡った。
 MotoGPはロレンソ選手(ヤマハ)が逃げ、これをロッシ選手(ヤマハ)、マルケス選手(ホンダ)が激しいバトルを展開しながら追いかけるという展開になったが、ロレンソ選手がそのまま逃げて優勝。2位にマルケス選手が入り、これでシリーズタイトル獲得を決めた。
 マルケス選手のチャンピオン獲得の歓喜が一段落したところでいよいよチーム・スズキ・モトGPマシンのデモランがスタート。
 最初に飛び出したのはウンチーニ。これをシュワンツが追いかける形となったが、来年型マシンに乗るシュワンツがすぐにパス。
 GSV-Rに乗る'82年の世界チャンピオンを新型のGSX-RR に乗る'93年の世界チャンピオンが抜き去り、次世代のタイトル獲得を予感させる速さを披露することとなった。
 
 いよいよ、本格復帰へ向けた表舞台での一歩を踏み出したスズキGSX-RR。次は2014年最終戦バレンシアGPで、ワイルドカードによる実戦参戦となる。
 
ケビン・シュワンツ
「MotoGPの表彰台が長引いて、しかも通常のピットからのスタートではなかったから、タイヤウォーマーを掛けられずに待っていたので、スタート直後はすごく慎重に走り出したよ。でも走り出してすぐ、マシンの状態が安定していることが分かったので、ペースアップが楽に出来た。この点だけを見ても、マシンの仕上がりが良いことが分かる。いい手応えを感じたよ」
フランコ・ウンチーニ
「ファンタスティック! グレートなバイクだよ。たくさんの素晴らしいお客さんの前で、こんな素晴らしいバイクに、しかも素晴らしいコンディションのサーキットで走ることができてとても興奮しています。I Love it!テストを重ねれば、どんどんタイムも詰まるだろうし、トップ争いにも必ず加わってくるはず。ケビンはとても速いから、走り出してしばらくは私のペースに合わせてくれたのだろう。私をすごいスピードで抜き去っていったよ。でも私も、抜かれた後、彼の後ろを楽しく走ることができた。本当に楽しかった。こんな機会をくれたスズキのスタッフに感謝したい。ありがとう!」