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2014年11月2日 MFJ全日本ロードレース選手権 JSB1000
鈴鹿サーキット(美恵県)
雨で短縮された第2レースを加賀山就臣が制し今季2勝目
3位には津田拓也が入り、それぞれシリーズランク5位、3位を獲得

 いよいよ全日本ロードレース選手権シリーズも最終戦を迎えた。今回のレースは事前テストがなかったことから、通常よりも一日早く、木曜日から走行が行われた。例年、この最終戦は雨が降る確率が高く、今回も天気予報では土日が雨になっており、空を見上げながらのレースウイークとなった。鈴鹿でのレースはJSB1000クラスのライダーにとって、開幕戦の2&4、さらに8耐と走行時間は比較的多いが、他のクラスのライダーは昨年の最終戦以来となる。JSB1000クラスのチームは、鈴鹿8耐でのデータを基本とし、さらにその後の全日本を戦う中で蓄積したセッテイングをプラスαし、さらに高いレベルでのレースを目指すこととなる。

 レースウイーク中の天気予報では雨も言われていたことから、各チームともにウエットの想定をしながらセッションを進めていくことになった。とは言え、現在ではレイン用タイヤの性能が上がり、ドライの走り出しレベルのラップタイムをウエットコンディションでも出すような状況となっていることから、特別な雨用セッティングというものは存在せず、ドライのセッティングが基本となる。ここ鈴鹿サーキットは低速から中速、さらに高速とバリエーションが豊富で、マシンのバランスがとても重要になる。そうした点からも、いかにドライでのセットアップをしっかりと行っていくかが大きなカギとなる。

 ドライで行われた木曜日の走行は、加賀山が総合6番手でスタート。津田拓也が7番手、今野8番手とまずまずの滑り出しとなった。翌金曜日のART合同テストでは、1回目のセッションで加賀山就臣が2分8秒258で3番手に付け、好調さをアピール。津田拓也は2分8秒911で7番手、今野由寛が2分9秒813で8番手と、スズキ勢全体がこの日も上位の中に入る。2回目のセッションは雨が降ってしまったがそれでも加賀山が4位に入り、津田8番手、今野12番手となった。この結果、総合3番手に加賀山が入り、津田7番手、今野8番手と続き、翌日の予選への期待が高まった。

 土曜日の予選は残念ながら雨となってしまった。最終戦は2レースが行われ、ノックダウン方式のQ1でレース1の、Q2でレース2のそれぞれスターティンググリッドを決める。Q1で加賀山は2番手のタイムを出し、レース1のフロントロー2番手の位置を獲得。津田は9番手とやや下がってしまった。今野は前日までの好調さをあと一歩このセッションで発揮することができず、1000分の7秒差でQ2へ進出できず。10番グリッドとなった。Q2は津田が6番手とやや順位を上げたが、加賀山は9番手と落ちてしまった。

   

 決勝日は早朝まで雨が続き、朝のウォームアップ走行はウエットコンディションだったが、加賀山がトップタイムをマーク。2番手に津田が付け、スズキ勢がこのセッションで1、2位を占めた。

 そのまま雨は降らず、レース1はドライコンディションの中でスタートが切られた。得意のスタートダッシュをここで見せた加賀山はトップで1コーナーに飛び込み、そのままレースを引っ張る。最初の2ラップをトップで走行して見せた加賀山だったが、3周目に一気にパスされ、4位に順位を落としてしまう。上位陣がペースを上げるのに対し、今一つラップタイムが伸びない加賀山。そのため、5周目6位、7周目8位とポジションダウンしてしまう。対して津田は徐々にペースを上げ、5周目4位に上がり、さらに前を走るマシンの背後に大きく迫る。9周目に裏ストレートで山口をパスし3位に上がるも、シケインで山口と接触して弾き出され、6位まで順位を下げてしまい、そのままフィニッシュとなった。加賀山は7位、今野は徐々に順位を上げて12位でチェッカーとなった。

 JSB1000クラスの第2レースはウエットの中で行われることになった。そのためにレース2は、当初予定されていた15周から10周に短縮された。津田はスタートを失敗したが加賀山は3番手でスタート直後の1コーナーに入る。チャンピオン争いをするトップ2台の序盤のペースが速く、3周目終わりで1秒4ほど離された加賀山だったが、徐々にペースアップし、トップを上回るペースで追い上げ、さらに2番手を走るマシンがトラブルで止まったことから、自動的に2位に浮上。トップを走る中須賀克行選手(ヤマハ)の背後にピタリと迫る。10周と短い周回数のレースであることから、8周目の130Rで大胆にもアウトからパス。そのままペースを上げ、最終的には2秒7の大差を付けてトップチェッカーとなった。また津田も7周目終わりに3位に上がると、そのままの位置を維持してゴール。スズキ勢が1、3位と表彰台の二つを獲得した。今野も回りを上回るハイペースで雨の中をラップ。10位まで追い上げたところでチェッカーとなった。

 またランキング2位で最終戦を迎えたJ-GP2クラスを戦う生形秀之は、2番グリッドからスタート。雨の中、トップを走るマシンを最後まで追いかけたがあと一歩及ばす、2位でゴールした。

     
 
 
 
 
 
 
 

 

津田 拓也  ヨシムラスズキシェルアドバンス


「ウイークを通して、ドライ、ウエットと今一つリズムが取れず、苦労してしまいました。それでもチームスタッフが色々と考えてマシンを仕上げてくれて、レース1はトップグループの中で戦えるスピードを取り戻すことができました。でもそれをうまく結果につなげられなかったのは、自分の力不足です。レース1の自分のふがいない戦いということもあり、雨になってしまったレース2でしたが、どんなコンディションでも全開で行こうと決め、毎ラップ、とにかく全開で走りました。浮き沈みの大きいシーズンとなってしまいましたが、後半になってチームも自分もレベルアップを実感できるレースができるようになり、そこは良かったと思います。自分の課題も明確になったので、このシーズンオフでしっかりトレーニングをし、大きく成長した走りを来年は最初から見せたいと思います」

加賀山 就臣  Team KAGAYAMA


「速いライダーが戦う全日本JSB1000クラスで優勝することができたのは、とても嬉しいことですし、うちのチームは応援してくださる方々がいないと成り立たないので、協力いただいている皆さんには心から感謝したいと思います。いつも本当にありがとうございます。レース1はウエットパッチが残る中をスリックタイヤで走るレースとなり、今年ベストとなるスリックタイヤでのレースをしようと意気込んで臨んだのですが、思うような展開に持ち込むことができませんでした。レース2はウエットとなり、自分たちが持っているパッケージングの良さをフルに発揮することができ、最後に勝負して前に出ることができました。シーズンを振り返ってみると、ずいぶん差を詰めてきたとは言え、まだライバルに対して足りていないところがあるので、来年はそこをしっかり上乗せできるようにシーズンオフにテストをして臨みたいと思います。」

今野 由寛  MotoMap SUPPLY


「今年はチーム事情から鈴鹿8耐に出ることができなかったので、ライバルに対してこの鈴鹿でどれくらい走れるか少し不安はありましたが、実際に木曜日に走り出してみると、とても調子が良く、ドライでもウエットでも良いフィーリングで走ることができました。ドライの第1レースはもっと行きたかったのですが、ペースの遅いマシンに引っかかってしまい、なかなかポジションを上げられずにいるうちにレースが終わってしまいました。レース2もスタート位置が良くなかったので順位を上げるのに苦労しましたが、周囲よりもペースが1秒くらい速かったので、10位まで上がることができました。もう少し周回数があればもっと行けたのですが、10周は短すぎました。」

生形秀之


「調子自体は良かったのですが、決勝日朝のウォームアップ走行で、自分のミスから転倒してしまい、鎖骨をかなり痛めてしまいました。痛みを抑えながら決勝は走っていたのですが、チャンピオンを獲るために最後にアタックを掛けたところ、マシンが大きく振られてしまい、マシンを抑えようと力を入れたら鎖骨を激しく痛めてしまいました。コース上に残っていることすら辛い状況になってしまったのですが、最後まで気持ちだけで走りました。表彰台の上でもとにかく痛みがひどくて、今も意識がなくなりそうです。自分のミスがなければもう少し違うレース展開に持ち込めていたのではないかと、悔しさでいっぱいです。」
 

順位

ライダー

メーカー

Time/gap

1位

中須賀克行

ヤマハ

Laps13

2位

高橋巧

ホンダ

+2.784

3位

山口辰也

ホンダ

+5.221

6位

津田拓也

スズキ

+7.027

7位

加賀山就臣

スズキ

+7.933

12位

今野 由寛

スズキ

+36.993

 

順位

ライダー

メーカー

Time/gap

1位

加賀山就臣

スズキ

Laps10

2位

中須賀克行

ヤマハ

+2.739

3位

津田拓也

スズキ

+5.566

4位

山口辰也

ホンダ

+9.017

5位

中富伸一

ヤマハ

+12.751

10位

今野由寛

スズキ

+20.558

     
   

順位

ライダー

メーカー

ポイント

1位

中須賀克行

ヤマハ

187

2位

高橋巧

ホンダ

152

3位

津田拓也

スズキ

135

4位

山口辰也

ホンダ

128

5位

加賀山就臣

スズキ

127

13位

今野 由寛

スズキ

58