■review
6~9月では唯一の日本グランプリ・シリーズ(第6戦)であり、8月の世界選手権最終選考会でもある南部記念陸上。スズキからは安井章泰、松本卓、鈴木亜弓、池田久美子の4選手が出場した。日本選手権の結果で代表に決まっている池田以外の3人は、残り枠が僅かしかない追加代表の座に、最後の挑戦をした。
当確ランプが点ったのが鈴木だった。女子100 mのスタートで出遅れたが慌てず、中盤で北風沙織(浅井学園大)をかわし、代表に決まっている石田智子(長谷川体育施設)に次いで2位に。これで、日本選手権4位に続き、代表3選手以外では2大会連続のトップ。正式発表は12日(火)だが、2年前のパリ大会に続き4×100
mRで代表入りするのは間違いなさそう。
微妙な立場に立たされたのが松本だった。男子400 mは2組タイムレースで行われ、松本が出場したのは強い選手が集まる2組ではなく、先に行われた1組だった。最後の直線に出てきた時点では山口光紀(東海大)に次いで2番手だったが、得意の終盤で僅かに前に出てフィニッシュ。46秒81とタイムはそれほどでもなかったが、バックストレートが向かい風で気温もやや低く、コンディション的にはそれほどよくなかった。
2組めは日本のトップ選手が集まったが、1位は佐藤光浩(富士通)の46秒58と記録が伸びない。2位の堀籠佳宏(日体大)は46秒79で、松本と0.02秒差しかなく、3位の冨樫英雄(山形TFC)は47秒05に終わった。この結果、松本のタイムは全体で3番目。タイムレースという形なので、れっきとした3位である。世界選手権代表は、佐藤を含む日本選手権の1~3位までが決定済み。何人がプラスされるかわからないが、2人の追加があるようだと松本の代表入りの可能性もある。12日の発表を待つしかない。
女子走幅跳は雨中の試合となり、記録は全般に低調。国内のほとんどの試合と同様、今回もライバルの花岡麻帆(Office24)選手と池田が1・2位を占めたが、最後の6回目に6m33(+2.3)を跳んだ池田が逆転で優勝。世界選手権代表の面目を保った。 |
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■athletes'
voice
鈴木亜弓
「スタートで出遅れて“やってしまった”と思いましたが、“負けたくない”という気持ちも強かったし、それほど焦りませんでした。今はホッとしたところもありますが、世界選手権でまた頑張ろうという気持ちになっています。(4位で代表入りできなかった)日本選手権後、会社の理解で合宿も組ませてもらいましたし、トレーナーの方にもお世話になりました。支えてくれた人たちに感謝しています」
松本卓
「300mでは山口君に少し前に出られていました。日本選手権はそこから何もできませんでしたが、同じ失敗はできません。最後は、自信は持てませんでしたが、勝ったかな、と思いました。日本選手権後はやる気の部分でも、初めてというくらいに大きく落ち込みました。1週間前から調子が上がってきて、今日も前半から攻めて行きました」
池田久美子
「今日は全体的に勢いがなく、記録はちょっと厳しかったですね。1本目からよくなくて、川本先生(専任コーチの川本和久福島大監督)のアドバイスを1本1本、どう形にするかを意識して跳びました。プラハへの遠征で風邪を引いてしまい、体力が落ちていています。その状況で世界選手権代表として、やるべきことをやって出場しました。世界選手権まであと1カ月。着地の矯正などの課題に取り組んで、本番では日本人初の入賞を目指します」
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