
2019 全日本ロードレース選手権
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2019年4月20・21日
全日本ロードレース選手権 第2戦 鈴鹿2&4レース 会場:三重県・鈴鹿サーキット
ヨシムラスズキ渡辺一樹、第1レースで2位表彰台獲得
4月20日・21日に三重県の鈴鹿サーキットで、全日本ロードレース選手権シリーズ第2戦鈴鹿2&4レースが開催された。今回のレースにスズキ勢からは、ヨシムラスズキMOTULレーシングの加賀山就臣と渡辺一樹、TK SUZUKI BLUE MAXの津田 拓也、エスパルスドリームレーシングの生形秀之、Moto Map SUPPLYの今野由寛らが参加した。
スズキ勢は1週間前に二日間のテストを行い、意欲的に走行を重ねる。またシーズン開幕前に負ったケガのため前戦をキャンセルした生形もこのテストから走行をスタートして順調な回復を見せた。 4月19日の金曜日にART合同テストがスタートし、JSB1000クラスのレースウイークはここから始まった。二輪と四輪が一つのレースウイーク中に行われる2&4スタイルで、二輪は四輪フォーミュラカーのタイヤが路面に擦り付けるラバーの影響を大きく受ける。しかも二輪よりも四輪フォーミュラ3の走行が一日早い木曜日から行われたことから、金曜の朝から走り始めるJSB1000クラスはその影響を大きく受ける。さらに1週間前のテストは肌寒いコンディションだったが、レースウイークは一転して20度前後まで気温が上がり、そうした点でもテストとは大きくコンディションが異なったことから、チーム、ライダーともに気温、さらには路面コンディションへの対応に追われることとなった。 1本目の走行ではA組を走る加賀山が2'06.904で3番手、渡辺は4番手、生形が8番手、今野が11番手となった。B組の津田は8番手。2本目はA組の渡辺が2'05.923で2番手、加賀山4番手、生形8番手、今野13番手。B組の津田は7番手となる。 開幕戦同様、今回も土曜日の午前中に予選を行い、その日の午後に第1レース決勝、日曜日に第2レース決勝が行われる。そうしたことから予選は、ベストタイムが第1レースの、セカンドタイムが第2レースのそれぞれスターティンググリッドを決めるタイムとなる。 A組では渡辺が2'04.980と、GSX-R1000初の4秒台という新たな領域へ入れるラップをマークし2番手に付けた。加賀山も2'06.008の自己ベストをマークして4番手となる。生形は8番手、今野は15番手となった。B組では津田が2'07.846のタイムで6番手。この結果、第1レースは渡辺3番手、加賀山7番手、津田12番手、生形16番手、今野27番手からスタートすることとなった。 土曜日の午後、気温18度、路面温度は40度近くまで上昇する中で第1レースはスタートした。渡辺がうまく飛び出し、1周目を3番手でクリア。3周目には2番手のライダーが転倒したこともあり渡辺はそのまま2番手に浮上。またスタートダッシュを得意とする加賀山だったが、マイナートラブルからスタートで大きくフロントアップすることになり、1周目を8番手でクリアする。テールtoノーズで連なる3台での激しい2番手争いに加わる渡辺だが、他の2台が激しくポジション争いを展開することから、これを冷静に後ろで見る作戦を取り、安定して4番手の位置を走行する。ペースは2分6秒台から7秒台。そうして迎えたラストラップのシケインで、前車2台がレイトブレーキ。ほぼ同じタイミングでブレーキングを開始した渡辺は、前の2台がラインを外すのを確認。渡辺が感じていたとおり、シケインへのアプローチで前車2台が同時に転倒。渡辺はそのままシケインをクリアし、2位でチェッカーを受けた。加賀山は途中、6番手争いを抜け出すのに手間取っている間に前の5番手との差が開いてしまい、6位に上がったところでゴールとなった。生形は13位、津田15位、今野25位でフィニッシュした。 日曜日は朝こそ雲が多かったものの、時間の経過とともに青空が広がり、第2レースは気温20度とほぼ前日と同じコンディションとなった。セカンドタイムで決まる第2レースのスターティンググリッドは、加賀山6番手、渡辺7番手、津田11番手、生形16番手、今野26番手。この第2レースでは加賀山がうまく飛び出し、オープニングラップを4番手で通過。トップは抜け出てしまうが、2番手グループに加わりながら4番手の位置をキープする。また渡辺もまずまずのスタートを切り、加賀山の後ろの5番手を走行して上位進出のタイミングをねらう。加賀山は5周目に5番手へ、10周目に6番手へ順位を下げるが、2分6秒から7秒台のこの集団のペースに問題なく対応し、終盤へのチャンスにかける。14周目には渡辺が加賀山をパスし、チームで6、7位を走行。ともに順位を上げていきたかったがうまく上げられず、そのままの順位でチェッカーとなった。生形は11位、津田20位、今野28位でそれぞれゴールした。 ヨシムラスズキMOTULレーシング No.12 加賀山 就臣
「予選では自己ベストをマークしたものの、実際には遅いマシンに引っかかったりして、セクターベストを足していくと5秒台の走りだったので、そこは着実にマシンの理解が進んでいると思います。チームメイトの渡辺選手が4秒台に入れていますし、マシン的にはもっと高いレベルにあると思うので、そこはまだ自分の課題です。レース1はスタートでマシンのマイナートラブルが出てしまい、うまくダッシュを決められませんでした。コンディションが悪くなった時にうまくグリップを出すことができない状況に第1レースでも陥ってしまい、さらに前車に前を塞がれ、6位でチェッカーとなりました。第2レースもスタートでやはり問題を少し抱え、イメージ通りのダッシュはできませんでした。集団の後ろで様子を見て、終盤に前が苦しくなった時に出て行こうとタイヤを温存する作戦に出たのですが、逆に自分が苦しくなってしまい、考えていたことができず7位で終わってしまいました。まだまだ全体のバランスをうまく取るセットアップができていないのでマシンの持つパフォーマンスを引き出せていませんが、久々にレースをした実感がありますし、頑張ることもできたので、自分としては楽しめました。」(JSB1000クラス 第1レース予選7番手・決勝6位/第2レース予選6番手・決勝7位) ヨシムラスズキMOTULレーシング No.26 渡辺 一樹
「事前テストでは色々な部品の確認が中心で、セットアップはあまり進みませんでした。でもタイム自体はある程度出ていたので、開幕戦からの良い雰囲気で進めることができました。ところがレースウイークに入ったら四輪の影響で路面状況がテストの時とはまったく異なり、しかも気温が上がったことから大きくフィーリングが変わって、そうしたことに戸惑いながら走行することになってしまいました。でも頭を切り替え、これが2&4と自分に言い聞かせ、結果的には予選では1周をうまくまとめることができ、2分4秒台というチームが狙っていたタイムを出すことができたのは良かったです。土曜日は午前中に予選を行って、その午後に第1レースをしたのですが、その間に四輪の走行があったことで路面コンディションがまた大きく変わり、様子を見ながらの展開となりました。2番手争いをする中で、他の2台が絡みそうな雰囲気だったので後ろで展開を見ていたのですが、最後のシケインでやはり前の2台が転倒し、2位表彰台を獲得できました。今季は早くチームに表彰台をプレゼントしたいと思っていたので、それが第2戦で実現できたのは良かったです。第2レースは、第1レースで出た課題をクリアしようと大幅にセットアップを変え、日曜朝のウォームアップ走行で試したところ良い感触だったので、そのままの状態で走りました。決勝では新品タイヤをそのセットアップで走るのは初めてだったことから、序盤はフレッシュなタイヤの良いところをうまく引き出せず、順位を上げていくことができませんでしたが、その中で走りをいろいろ変えたところ、徐々に使い方が分かり、安定してペースを刻めたのは今後の武器になってくると思います。」(JSB1000クラス 第1レース予選3番手・決勝2位/第2レース予選7番手・決勝6位) ヨシムラスズキMOTULレーシング 加藤 陽平 監督
「予選では渡辺選手が2分4秒台へタイムを入れてくれてビックリしました。ライダーの頑張りが大きいと思いますが、頑張れるマシンになってきているという点は評価するのに値すると思いますし、従来のコースレコードに迫るタイムを鈴鹿で出せたのは意味のある結果だと捉えています。レース1はその渡辺選手が2位表彰台というチームにとっても1年半ぶりの結果を出してくれて、一段階ステップを上がることができたかな、と感じました。2レース目は結果的に6位と7位という順位でしたが、彼らが加わったのは2位争いの集団でしたし、昨年まではそこにすら加われない状況でしたので、そうした順位の中でしっかりレースを戦い、さらにマシンを進化させていこうと思います。加賀山選手はタイヤの使い方を学びながらのレースとなりましたが、この短いレースウイークの中でもレース1よりもレース2と走りを進化させてくれているので、良いレースだったと思います。今後の開発を進める上で弾みのつくレースとなりました。」TK SUZUKI BLUE MAX No.71 津田 拓也
「開幕戦の感覚をベースに、自分なりに考えてテストで走ってみたのですが、まだイメージとは大きく異なることから、そこをとにかくアジャストできるよう心がけています。一発タイムもほしいですし、レースディスタンスを高いアベレージで走れることも大事で、その両立ができればベストなのですが、まだどちらもうまくできず、ジレンマですね。もうちょっと自分の走りのイメージを変えていかないといけないのだと思います。なかなか出口が見えず苦しいですが、新たなチャレンジなので頑張ります。」(JSB1000クラス 第1レース予選12番手・決勝15位/第2レース予11番手・決勝20位) TK SUZUKI BLUE MAX 斉藤 雅彦 監督
「事前テストはいつものようにタイヤのテストがメインテーマで、ライダーとのマッチングを図りながら、レースウイークもセットアップを進めました。まだタイヤの理解という点が十分にできていないので、そこをうまくマシン面でサポートできるよう、次のSUGOに向けては部品を作り、テストに持ち込みたいと思います。コース特性が異なるということもありますが、開幕戦で抱えた問題と今回出た問題はまったく異なるものなので、そのあたりはなかなか難しいところです。」エスパルスドリームレーシング No.95 生形 秀之
「ケガからの復帰がレース1週間前のテストで、そこはまだ身体が思うように動かず辛かったのですが、1週間経ったらだいぶ回復し、このレースウイークも最終日となる日曜日がベストコンディションとなりました。レースウイークの中でも前進しながらセットアップを進めることができたので、いろんな収穫がありました。ケガをして開幕戦を欠場し、どん底に突き落とされましたが、ここからしっかり這い上がり、結果的にあのケガがあったから大きく成長できたんだね、という評価をいただけるよう巻き返したいと思います。」(JSB1000クラス 第1レース予選16番手・決勝13位/第2レース予選16番手・決勝11位) エスパルスドリームレーシング 松本 圭司 監督
「去年の課題を一つクリアでき、良いレースウイークとなりました。今年は排気系に新たなトライをすることにしました。200馬力オーバーという現状のJSB1000のパワーユニットをどう発揮させるかという課題へのアプローチで、そこは今後さらにセットアップを進め、武器にしていきたいと思います。当面の目標はトップ10に入ることで、そこは確実に近付いています。」Moto Map SUPPLY No.36 今野 由寛
「開幕戦のもてぎはうまくセットアップが進み、その流れで鈴鹿のレースも運べればと考えていましたが、思った以上に苦戦しました。特に今回は事前テストにも参加できなかったので、時間的にも余裕がなく、タイムを削り取る作業までたどり着けませんでした、鈴鹿のコースはいろんな特性が求められるため、そこへアジャストできず、苦しい戦いになりました。たくさんの宿題をもらった感じです。次のSUGOはテストができるので、しっかりと良いベースセットを作ってレースに臨みたいです。同じストックでもST600は長くレースが行われていることからベースセットができているので、すごく良いタイムが出ていると思います。ST1000もそのようになっていけるように、しっかりセットアップを詰めていきたいです。」(JSB1000クラス 第1レース予選27番手・決勝25位/第2レース予選26番手・決勝28位) Moto Map SUPPLY 愛知 靖史 監督
「事前テストが出来ず、ライダー側も去年の8耐以来の鈴鹿での走行ということもあり、コースにアジャスト仕切れませんでした。チームとしてはもちろん昨年の8耐のデータはありますが、使っているタイヤも違いますし、マシンもストックということで詰め切れずに終わってしまいました。想定としてはSTマシンでも2分10秒は切れるのではないかと考えていましたが、理想と現実は大きく違いました。JSBマシンなら問題が出ればそこの部品を換えていけば良いですが、STではそれができないので、割り切りというか、マシン作りのアプローチも異なってくるので、そういうこともチームとして学んでいく必要があることを痛感しました。次のSUGOはテストができますし、今回学んだことを生かして対応していきたいと思います。」第2戦 鈴鹿2&4レース JSB1000 レース1決勝結果
第2戦 鈴鹿2&4レース JSB1000 レース2決勝結果
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