
2019 全日本ロードレース選手権
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2019年4月6・7日
全日本ロードレース選手権 第1戦 スーパーバイクレース in もてぎ 会場:栃木県・ツインリンクもてぎ
ヨシムラスズキ渡辺一樹が開幕2レースを連続4位でゴール
J-GP2尾野弘樹は3位表彰台を獲得
4月6日・7日に栃木県のツインリンクもてぎで、全日本ロードレース選手権シリーズ第1戦スーパーバイクレース in もてぎが開催された。今回のレースにスズキ勢からは、ヨシムラスズキMOTULレーシングの加賀山就臣、渡辺一樹、TK SUZUKI BLUE MAXの津田拓也、MotoMap SUPPLYの今野由寛が参加した。またエスパルスドリームレーシング・IAIの生形秀之は、3月のトレーニング中に負傷した影響から、今回のレースはキャンセルとなった。
事前テストが3月27日から三日間行われ、渡辺一樹は初日、二日目とも4番手と安定して上位に食い込み、順調な滑り出しを見せた。今年から新たにヨシムラスズキに加わった加賀山は、マレーシア、鈴鹿でのテストをさらに継続し、マシンの理解と順応を行いながらタイムを詰めた。チームを移籍した津田もマシンの理解を深めながら、今野もST1000用マシン開発というテーマを持ちながら、それぞれセットアップを進めていた。 今回は2019シーズンの開幕戦のため、通常より一日早い木曜日からレースウイークがスタートし、特別走行が設定された。レースウイーク中は雨の心配はなく、朝晩は冷え込み、昼は暖かくなるという寒暖の差が大きいものの、安定したコンディションでスケジュールを消化することができた。 木曜日の1本目で加賀山は1'50.259のタイムをマークして4番手、渡辺が5番手、津田9番手、今野25番手と、それぞれレースウイークをスタートした。午後の2本目では渡辺が1'49.851で4番手、加賀山7番手、津田11番手、今野17番手と続く。翌日のART走行は、1本目で渡辺が1'48.697とタイムを上げ、3番手に上がる。加賀山もタイムアップを果たし6番手。津田が13番手、今野20番手となった。2本目では渡辺が1'49.193で5番手、加賀山8番手、津田11番手、今野17番手となった。 今回の大会でJSB1000クラスは2レースが行われる。予選はファステストタイムが第1レースの、セカンドタイムが第2レースのスターティンググリッドとなることから、一発タイムだけでなく、安定したタイム出しが重要となる。土曜の9時30分から45分間予選が行われ、渡辺は1'48.271のコースレコードで第1レース4番グリッドを獲得。第2レースも1'48.356で4番手となった。加賀山もタイムを上げ、第1レース、第2レースとも6番グリッドを獲得した。津田は第1レース、第2レースとも10番手、今野は第1レース18番手、第2レース16番手からスタートすることとなった。 第1レースは土曜日の13時40分から23周で行われた。渡辺がうまくスタートで飛び出し、2番手で1コーナーに飛び込んでいく。そのまま2番手で1周目をクリアし、トップの背中を見ながら走行する。そのままの位置をキープしたいところだが、1分48秒台へ入れるトップに対して渡辺は1分49秒台とうまくペースアップを図ることができず、そのために4周目3番手、7周目4番手となってしまう。しかし1分49秒台でコンスタントにラップし、8周目には1分48秒台へタイムを上げることができているため、1分47秒から48秒台でラップするトップ3台からは離されてしまうものの後続の追従は許さず、そのまま4位でチェッカーとなった。加賀山は得意のスタートダッシュが決まらなかったがそれでも安定して8番手のポジションを走行し、そのままゴール。津田はまだ慣れないパッケージのマシンと対話しながら11番手から12番手の位置を走行し、12位でゴールした。今野は2周目17番手、4周目16番手とポジションを上げたものの、19位でこのレースを終えた。 日曜日の朝のウォームアップ走行では渡辺4番手、加賀山7番手、津田8番手、今野13番手となった。第2レースも23周と長丁場。高いレベルでのラップタイムキープが上位進出の鍵となる。14時30分から行われた第2レースでは加賀山が本領を発揮し、もう少しでホールショットを奪えた見事なスタートダッシュを決め、オープニングラップを3番手でクリアする。渡辺はやや出遅れ、1周目は5番手。4周目に渡辺は4番手に浮上するが、対して加賀山は6番手となる。タイムは渡辺が1分49秒台に対し、加賀山は1分50秒台。渡辺は5周目に5番手に落ちるが、ハイアベレージを維持できているため落ち着いてラップを重ね、10周目に再び4番手へポジションアップ。16周目には1分48秒台へタイムを入れる速さも見せながら、そのまま第2レースも4位でゴールとなった。加賀山は一時8番手まで順位を落としたが、終盤に7番手へ上げ6番手のマシンに接近したが、今ひとつ抜けきれず、そのまま7位でフィニッシュした。津田は6周目に11番手となるとそのまま安定してラップを重ね、そのままの位置でチェッカーとなった。今野は1分52秒台から53秒台と第1レースよりも速いペースでラップし、18位でフィニッシュ。 J-GP2クラスには、昨年同様ミクニ テリー&カリーから尾野弘樹が参戦。事前テストではトップタイムをマークする速さを見せ、予選も2番手という好位置を獲得。決勝もその勢いのある走りを見せ、初めてとなる3位表彰台獲得を果たした。 ヨシムラスズキMOTULレーシング No.12 加賀山 就臣
「チームのマシンに乗ったのはマレーシアのテストで、そこでは実戦テストというよりはいろんなパーツをテストして、引き出し、アイテムを作るため、良い悪い関係なくとにかく乗ってそのフィーリングを確認することに集中しました。その後、日本に戻って来て、もてぎでもテストをしたのですが、そこではマレーシアでのテスト結果を踏まえて良かった点、悪かった点を洗い出し、そこから本当のバランス取りを始めました。去年まで乗っていたバイクとメーカーは同じですが、目的、コンセプトが違うので、フィーリングは大きく異なります。そこの戸惑いもあってなかなか前に大きく一歩踏み出せない状態でしたが、ベースになるバイクをまずは作らないと先に進まないので、とにかくそこに集中してやってきているところです。幸いなことに去年の流れを知っている渡辺選手がトップ3を追う位置にいてくれているので、そこにいろんなアイデアを持ったライダーが加わり、二人で力を合わせ、チームが求めている『ワークスのトップ3攻略』を早くできるようにしたいと思います。開幕戦は苦しいレースでしたが、きっと次に繋がると思います。」(JSB1000クラス 第1レース予選6番手・決勝8位/第2レース予選6番手・決勝7位) ヨシムラスズキMOTULレーシング No.26 渡辺 一樹
「トップ3のファクトリー勢に2レースとも加わることができず、そこは残念でした。テスト、レースウイークとバイクがどんどん良くなっていって、手応えを感じながらの走行を重ねることができましたし、いろんなデータも取れ、レースの中ではファクトリー勢のお尻も少し見ることができて、比較をすることもできたので、収穫は大きいと思います。ちょっと自分でも驚いたのが、去年の最終戦鈴鹿の仕様でここのテストから走り出したのですが、ほぼ同じ仕様で走ることができました。もてぎと鈴鹿は特性が極端に異なるサーキットで、今までそういう経験をしたことがないのですが、それだけバイクの受け皿が大きくなっているのだと思います。これは今後大きな武器となるはずです。」(JSB1000クラス 第1レース予選4番手・決勝4位/第2レース予選4番手・決勝4位) ヨシムラスズキMOTULレーシング 加藤 陽平 監督
「渡辺一樹選手が去年の流れを生かし、ヤマハ、ホンダのファクトリー勢に次ぐ位置でレースをしてくれたのは良かったと思います。ただ、そこを超えるために我々はレースをしているので、早くそれを実現できるよう、さらに進化していく必要があるのは言うまでもありません。そのためにチームへ新たに加わってもらった加賀山選手は、今まで使っていたパッケージとは大きく異なる仕様なので、そこの理解から始めていて、まだ勝負するところまではいっていませんが、レース2ではそこを一つ乗り越えた走りをしてくれましたので、鈴鹿ではもう一段ステップアップした走りをしてもらえると思います。マシンのセットアップも進み、やっと開発スピードをペースアップできる状態になったと感じています。今後のレースが楽しみです。」TK SUZUKI BLUE MAX No.71 津田 拓也
「バイク的には去年まで乗っていた仕様と大きな違いは感じないのですが、タイヤメーカーが変わっているので、当然バイクに求められる特性も異なりますから、そのあたりのアジャストをずっとやっている感じです。去年まで加賀山さんが使っていたタイヤを選んでいるのですが、自分が求める特性とかなり違うようなので、そこをこれからもっとアジャストしていく必要があると感じています。マシンのセットを第1レースから変えたところ、アベレージでコンマ8秒くらい上がったので、まだまだ詰める要素はたくさんあると思います。」(JSB1000クラス 第1レース予選10番手・決勝12位/第2レース予選10番手・決勝11位) TK SUZUKI BLUE MAX 斉藤 雅彦 監督
「マシンは今までの流れを継承していますし、セッティングに関しても加賀山が乗っていた状態を少しアジャストするくらいで問題ないレベルで走れているようです。ただ、タイヤのレンジがかなり加賀山と津田では異なるので、そこのアジャストをしていく必要があると感じました。ライダーのポテンシャル的には高いものを持っているのは既に証明されていますので、その速さをうまく引き出せるようチームとしてしっかりバックアップしていきたいと思います。」Moto Map SUPPLY No.36 今野 由寛
「ST1000クラスのマシン開発というコンセプトで第1戦にスポット参戦しました。事前テストも参加でき、そこからレースウイークの時間も使ってセットアップを進めましたが、ライバルたちもレベルアップしていて、厳しい戦いとなりました。結果的には第1レース19位、第2レース18位と苦しいものですが、まだ開発の第一歩ですし、伸び代はかなりあると感じています。」(JSB1000クラス 第1レース予選18番手・決勝19位/第2レース予選16番手・決勝18位) Moto Map SUPPLY 愛知 靖史 監督
「来シーズンから始まるST1000クラスへの参戦を見据え、そのためのマシン開発をコンセプトに今シーズンの参戦を決めました。スポット参戦ではありますが、GSX-R1000というマシンの秘める高いポテンシャルをST1000というカテゴリーで発揮できるよう、しっかり開発を進めたいと思い、今回のレースウイークに入りました。事前テストもこなし、着実にセットアップを進めました。第1レース19位、第2レース18位は、限られた時間の中での成績としてはまずまずの結果ではないかと考えています。まだまだマシンのパフォーマンスは上げられると思いますし、さらに開発を進めていきます。」ミクニ テリー&カリー No.392 尾野 弘樹
「テストは順調だったのですが、レースウイークに入ってからマイナートラブルが続いてしまい、それを消しきれずに決勝に臨んだので、3位表彰台は嬉しいですけど、不完全燃焼でもあります。このあと鈴鹿、SUGOとテストもできるようなので、そこでしっかりトラブルの原因を突き止め、対策して第3戦に臨めるよう準備したいと思います。見えてはいたのですがなかなか手に入れられなかった表彰台ですので、そこは一安心という感じですね。でも目標はチャンピオン獲得ですし、今日も優勝した名越選手を追いかけてその前に出ることを考えていたので、それができず悔しいです。次こそは優勝したいです。」(J-GP2クラス 予選2番手・決勝3位) ミクニ テリー&カリー 高橋 淳一郎 監督
「安定した性能を発揮させようという狙いから、去年のマシンにあえて手を加えることはせず、今シーズンに臨むことにしました。それだけに良い状態を維持してライダーには乗ってもらいたかったのですが、朝のウォームアップ走行で駆動系のトラブルが起きてしまい、決勝でもそのトラブルが少し出てしまったことからライダーが全力で戦える状態を作ってあげられませんでした。でも現状でできるベストは尽くせました。今年のJ-GP2クラスは台数も少ないですしレース数も少ないので、今回は大事に行って、チームの狙いはタイトル獲得ですから、そのための一歩はしっかり踏み出せたかな、と感じています。次はしっかりと上を狙っていきます。」第1戦 スーパーバイクレース in もてぎ JSB1000 レース1決勝結果
第1戦 スーパーバイクレース in もてぎ JSB1000 レース2決勝結果
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