二輪車トップ > スズキレーシングレポート > 世界耐久選手権 > 鈴鹿8時間耐久ロードレース
スズキレーシングレポート
トップ ロードレース世界選手権 全日本ロードレース選手権 全日本モトクロス選手権
2023 鈴鹿8耐 スペシャルサイト
スズキ株式会社 国内二輪 X(旧Twitter)公式アカウント
2018年7月5・6日、10~12日
世界耐久選手権 鈴鹿8時間耐久ロードレース 合同テスト
会場:三重県・鈴鹿サーキット

好天に恵まれた鈴鹿8耐前最後の合同テスト。
スズキ勢は順調にセットアップをすすめる。
今年で41回目を迎える鈴鹿8時間耐久ロードレースは、例年通り、7月に2回の合同テストを実施。関東では6月に梅雨明けとなったが、鈴鹿サーキットのある三重県では初回テストまでには梅雨は明けず、7月5日の4メーカー合同テスト、6日のタイヤメーカーテストは両日ともに雨にたたられた。

迎えた7月10~12日の合同テストでは、直前に梅雨明けしたこともあり、3日間を通して快晴に恵まれた。鈴鹿8耐当日を思わせるような蒸し暑く厳しい天候のなか、スズキ勢では世界耐久選手権でのスズキ・オフィシャルチーム、SUZUKI ENDURANCE RACING TEAM(以下SERT)からヴァンサン・フィリップ、エティエンヌ・マッソン、グレッグ・ブラックが参加。ヨシムラスズキMOTULレーシング(以下ヨシムラ)からシルバン・ギントーリ、津田拓也、ブラッドリー・レイ。Team KAGAYAMA U.S.A.(以下カガヤマ)からは、初日のみ浦本修充とジョー・ロバーツが、2日目以降は加賀山就臣のみが参加。MotoMap SUPPLY(以下モトマップ)から今野由寛、ジョシュ・ウォーターズ、青木宜篤。S-PULSE DREAM RACING・IAI(以下、エスパルス)から生形秀之、トミー・ブライドウェル、渡辺一樹。浜松チームタイタン(以下、タイタン)から上林隆洸、和田憲史郎が参加。

なお、モトマップは、ほとんど改造が許されないSSTクラスに参戦。様々な制約がある中でのGSX-R1000のポテンシャルに注目が集まった。

3日間好天に恵まれたことにより、各チーム順調にセットアップを進める中で、3日間の総合結果は、ヨシムラが2日目に出した2'07.838で総合7番手(チーム総合では4番手)。これは鈴鹿8耐初参戦となるブラッドリー・レイが出したもので、そのポテンシャルの高さは関係者を驚かせた。しかし、ギントーリ、津田も同様のタイムを出しており、3人のアベレージタイムが非常に高いレベルにあることがわかる。

9番手(チーム総合6番手)には2'07.976でエスパルスの渡辺一樹。渡辺はヨシムラから参戦の可能性もあるが、どのマシンに乗っても速いということを証明することとなった。14番手(チーム総合10番手)には2'08.562で加賀山就臣。39番手には2'10.581でSERT。44番手(SSTクラスチーム総合3位)に2'10.944でモトマップが入った。

猛暑に襲われた今回のテストでは、路面温度が連日50℃を超え、どのチームもタイヤのグリップ不足に悩まされたようであるが、1周のタイムアタックではなく、いかにアベレージタイムをあげるかに焦点をあててセットアップを行っていた。

レーシングライダーは誰よりも速くという欲求に忠実である必要があるが、同時に鈴鹿8耐ではアベレージタイムとチームワークが重要だ。今回のテストで、各チームはそれぞれの課題の克服と再確認、チームワークの再認識を行い有意義なかたちで終了。レースウィークへ向け、調整を進めた。


ヨシムラスズキMOTULレーシング シルバン・ギントーリ
「昨年の8耐以来、ヨシムラのマシンに久々に乗ったけど、しっかり熟成されてきているね。昨年もエンジンはもの凄く速かったけど、さらに速さに磨きがかかったよ。ストレートで速いっていうのは、8耐では特に大きなアドバンテージだからね。昨年の16.5インチタイヤが17インチに変更になったことでフィーリングはちょっと変わったけど、上手くアジャスト出来たから全く問題ない。すべてが順調だよ。」

ヨシムラスズキMOTULレーシング 津田 拓也
「昨年は新型となって、全てが一からのセットアップだったのですが、今年はしっかり熟成が進められていると思います。ただ、転倒で怪我を負ってしまったことなどでなかなかリズムが噛み合わない面がありました。今回のテストでは乗り易く、アベレージタイムが刻めるセットアップを心掛けましたので、ベストタイムに関してはあまり気にしていません。ライダーのセットアップ方向も似ているので、それもプラスの材料ですね。」

ヨシムラスズキMOTULレーシング ブラッドリー・レイ
「鈴鹿サーキットのような流れるような高速コースはイギリスにはないから、とても難しいよ。しかもこの暑さ・・・ でも、走行毎に進歩していっているから、このままステップアップしていきたいね。イギリスで乗っているマシンとは基本的に似ているけれど、タイヤメーカーが違うことに少し慣れが必要だね。でも、ヨシムラのスタッフはプロフェッショナルだし、チームメイトも含めて雰囲気も良いからね。皆で力を合わせて必ずいい結果が残せると思うよ。」

ヨシムラスズキMOTULレーシング 加藤 陽平 監督
「最終日に転倒があり、ちょっとテストの予定が狂ってしまった点もありますが、3日間好天に恵まれたこともあり、おおむねテスト項目を消化することが出来ました。マシンの仕上がり具合は燃費も含めて順調です。ライバル勢をみると、もうちょっとアベレージを上げたい面もありますが、これは決勝に向けての課題ですね。」

SUZUKI ENDURANCE RACING TEAM ヴァンサン・フィリップ
「2000年から鈴鹿8耐は走っているけれど、やっぱり鈴鹿は難しい。新型GSX-R1000で走るのは初めてだけど、試さなければならない項目がいっぱいあって大変な3日間だったよ。そのかいあって、ずいぶんセットアップは進んだけれど、まだまだ時間が足りないのが現状だよ。ラップタイムがトップチームから大きく離されているのが残念だけど、アベレージは高いから、決勝に向けては良いところを見せられると思うよ。」

SUZUKI ENDURANCE RACING TEAM エティエンヌ・マッソン
「とにかく懸命に働いた3日間だったよ。新型GSX-R1000でここを走るのは初めてだったからね。でも、3日間を通してセットアップがまとまって、アベレージが安定してきたんだ。まだまだトップとの1周のタイムには差があるけど、うちはライダーがみんな同じタイムで走れるんだ。決勝に向けてはグッドなフィーリングだよ。」

SUZUKI ENDURANCE RACING TEAM グレッグ・ブラック
「ヨーロッパのサーキットと鈴鹿では、ずいぶん勝手が違うからすんなりはいかないね。でも、3日間たっぷり走らせたおかげでずいぶんと鈴鹿でのセットアップを進めることが出来た。優勝を狙うことは難しいかもしれないけど、決勝の結果は想像以上に良く出来るかもしれない。それが僕らの戦い方だよ。」

Team KAGAYAMA U.S.A. 加賀山 就臣
「初回のテストが雨になったから、ヨーロッパに戻らなければいけなかった浦本とジョーの帰国をギリギリまで遅らせておいて良かったよ。特にジョーは短い間に10秒前半までいれてくれたから、少しホッとした。2日目以降は自分が走ってセットアップを詰めたけれど、今あるパッケージングのなかでは良いところまで持ってこられたかな。あとはちょっとした煮詰めとライダーの頑張りでなんとかしていくよ。」

Team KAGAYAMA U.S.A. 斉藤 雅彦 チーフメカニック
「7月5日、6日のテストでは浦本とジョーを中心に乗ってもらい、2日目には浦本がトップタイム。ジョーもほとんど同様のタイムを出してくれたので、そこは良かったです。今回のテストでは初日のみ、浦本とジョーが走り、2日目以降は加賀山が1人で走りました。昨年から比べると制御系も良くなっているし、トラブルもなくなってきているので、やっと燃費を考えられる段階に来た感じです。決勝に向けて、もう少し燃費を向上させて、タイヤのライフも上げていきたいところですね。」

S-PULSE DREAM RACING・IAI 生形 秀之
「昨年、自分のチームで8耐に初参戦して、今年は2年目の8耐でより良い成績をあげるために全日本のJSB1000クラスに参戦を開始しました。当初はなかなか求めているものと自分の走りが合わなくて苦労しましたが、やっとまとまってきた感触があります。速いライダーにも加入してもらっているので、まだ課題はありますけど、そこをうまく調整して2年目の8耐を迎えたいですね。」

S-PULSE DREAM RACING・IAI トミー・ブライドウェル
「マシンはとにかくファンタスティックだ!文句の付けようがないよ。初めて履いたブリヂストンタイヤに初めはちょっと戸惑ったけど、慣れてくると底なしにプッシュ出来るんだ。本当に驚いているよ。チームメイトも速いから、このままいけば決勝は良いところに行けると思うんだ。」

S-PULSE DREAM RACING・IAI 渡辺 一樹
「普段乗っているヨシムラのマシンとはセットアップの方向性がちょっと違うのですが、基本的には似ているマシンなので、あまり違和感はないです。まだ、どちらのチームに乗るのか決まっていないのですが、自分は与えられた仕事をキッチリこなすだけですし、その準備は整っています。」

S-PULSE DREAM RACING・IAI 吉田 志朗 監督
「先週のテストではウェットでのデータも取れましたし、今回は好天に恵まれてロングランも含めて良いテストが出来ました。全員とても良いアベレージで走ってくれましたし、ここで取れたデータを持ち帰ってしっかり調整して鈴鹿に戻ってきたいですね。」

MotoMap SUPPLY 今野 由寛
「7月5日、6日のシェイクダウンが雨だったのでこの3日間が本格的なスタートという感じです。昨年までの改造範囲の広いEWCに比べると、ほとんどノーマルで改造出来るところも少ないので、ちょっと戸惑っている面もあります。とにかく、スムーズに走らせないといけない難しさもありますが、みんなで力を合わせてセットアップをかなり進めることが出来ました。ベースマシンが速いので、ノーマルとはいえ助かっています。」

MotoMap SUPPLY ジョシュ・ウォーターズ
「昨年まで乗っていたEWCのバイクとは全然違うから難しいけどやりがいも感じるね。誰でも買えるバイクとパーツのマシンで走っているんだから。一番の違いはタイヤかな。SSTクラスはタイヤ交換するのに時間がかかるからね。1セットでロングランしなければならないから、コンスタントにスムーズに走ることが求められる。ただ、このチームでは3年目だし、コンビネーションはバッチリだね。GSX-R1000のポテンシャルをしっかりみせたいね。 」

MotoMap SUPPLY 青木 宣篤
「ゼロからのスタートで、3日間でずいぶんと前進することが出来ました。電子制御のセットアップで面白いようにマシンが変わりましたね。昨年までは燃費の面で結構苦労したのですが、新型はベースが速いので燃料を絞ってもまだまだ速いから、その点は楽ですね。ただ、タイヤ制限等もあって、とにかく丁寧に走ることを求められるので、ライディングも変えていかないといけないのが難しいところです。」

浜松チームタイタン 上林 隆洸
「前回の雨のテストでは良いフィーリングがあったのですが、ドライではなかなか良いところを見つけることが出来ませんでした。3日間好天に恵まれたので、セットアップをいろいろと試すことができ、やっと光明が見えてきた感じです。しっかりマシンのポテンシャルを出せれば、結果は付いてくると思っています。」

浜松チームタイタン 和田 憲史郎
「メインライダーの武田数馬選手が最初の合同テストで転倒・負傷したため、急遽、このテストから参加することになりました。新型のGSX-R1000に初めて乗ったのですが、従来型に比べてとにかく乗り易くて驚きました。まだ、ポテンシャルを引き出せていない状況ですが、この乗り易さを伸ばしてアベレージタイムを上げていきたいと思います。」