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2016年10月23日
全日本モトクロス選手権 第9戦 MFJ-GPモトクロス大会 スポーツランドSUGO(宮城県)
IA1小島庸平が両ヒート表彰台登壇(2-3位)。現役最後のレースとなった熱田孝高は地元で大健闘、総合5位でキャリアを締めくくる。
IA2竹中純矢は表彰台に一歩及ばず、第2ヒートは転倒を喫し4-14位。 IA1クラスディフェンディングチャンピオンの小島庸平とランキング2位の熱田孝高、IA2クラスには竹中純矢の3人体制を敷くTeam SUZUKI。エースの小島は第6戦東北大会で手の甲を骨折しタイトル争いからは脱落してしまったが、シーズン終盤に入って徐々に復調。一方ベテランの熱田は、第8戦終了後に今季限りでの現役引退を発表。地元宮城での今大会が23年間のキャリアのラストランとなる。また前回関東大会で今季初勝利を収めたIA2クラスの竹中は、連勝でシーズンを締めくくるべく、万全の備えで今大会に臨んだ。 IA1クラス第1ヒート。ホールショットこそ逃したものの、小島、熱田共に好スタートを決め、熱田は3番手、小島はオープニングラップの混戦でやや順位を落とし7番手で1周目のコントロールラインを通過。序盤、熱田は招待選手のコール・シーリー(ホンダ)の先行を許し4番手に後退。一方小島は3周目に2台、4周目にも2台をパスし3番手にポジションを上げる。中盤小島は、3シーズンの世界選手権参戦を終えてスポット参戦した山本 鯨(ホンダ)をパスし2番手に浮上。この時点でトップとの差が開いていたため、後半確実に周回を重ねた小島は、3位以下を引き離し単独2位でフィニッシュ。地元の大声援を受けながら12周に渡って5番手を走行していた熱田に対し、終盤、深谷広一(スズキ)が熱田と順位を入れ換え5位、熱田は6位でチェッカーを受けた。 IA1クラス第2ヒート。このヒートも確実にスタートを決めた熱田と小島は、熱田が3番手、小島が4番手で2コーナーを立ち上がりレースが開始する。ここで熱田が意地を見せた。先行する山本、シーリーに襲いかかった熱田は、立て続けに二人をパスしてトップに浮上。2周目、シーリーの先行を許した熱田は6周目には5番手に後退するが、熱田の渾身の走りに会場全体が熱狂に包まれる。熱田と順位を入れ換えて4番手に上がった小島は、山本とのバトルを制して3位でフィニッシュし、6ヒート連続となる表彰台を獲得。一方、終盤14周目に山本を抜き返して4番手に順位を上げた熱田に対し、深谷がラスト2周で順位を入れ換え4位でフィニッシュ。熱田は5位で現役最後のチェッカーを受けた。 IA2クラス第2ヒート。このヒートもスタートを決めることができず、8番手で1周目のコントロールラインに戻ってきた竹中は、混戦のなか激しい走りで追撃を開始する。3周目に1台をパスして7番手に順位を上げた竹中だったが、続く4周目、2コーナーの進入で前のライダーをパスしようとしてクロスラインとなり、アウトに弾かれた竹中は激しく転倒。大きくポジションを下げながらもなんとか再スタートを切った竹中は、25番手のポジションから懸命の追い上げを見せると、残り周回で11台をパスし14位でフィニッシュした。 小島庸平(IA1) 第1ヒート2位/第2ヒート3位 総合3位 「第6戦のアクシデントで手を負傷し、それが原因でタイトルを失うことになったが、そこから6ヒート連続で表彰台を獲得して、いい終わり方ができたと思う。今シーズンもいろいろなことがあったが、自分にできることは最後までやり切ったし、納得している。タイトル奪還はもちろんだが、本当に強いライダーになるために、来シーズンに向けてもう一度気持ちを入れて取り組んでいく。今もうすでに気持ちは高まっており、明日からではなく、今日から来年に向けての準備をスタートさせる。」 熱田孝高(IA1) 第1ヒート6位/第2ヒート5位 総合5位 「モトクロスのことだけ考えてここまでやって来たので、引退に関して正直まるで実感はない。ただ、地元でこんなに大勢の人に集まってもらえて、本当に幸せだし、トップ争いも見せることができたし、精一杯やり切った感はある。まずはスズキとチームスタッフ、メカニック、家族や友人、そしてなによりファンのみなさんに感謝します。モトクロスを通じて日本中、世界に大勢の仲間や知り合いができた。日本のモトクロスを取り巻く状況は決していいとは言えないので、なんとか盛り上げることができるよう、今後も関わって行きたい。モトクロスが世界を広げてくれたし、こんなにも素晴らしいスポーツに出会えたことに感謝します。長い間応援していただいてありがとうございました。」 竹中純矢(IA2) 第1ヒート4位/第2ヒート14位 総合9位 「今日はスタートミスに転倒と悪い面ばかり出てしまって、いい結果で締めくくりたかったのに、それができなくて残念で仕方ありません。開幕から上位とはスピード差があったし、ファステストラップが出せない分、走っても追い上げが効かなくて、結局その状態から抜け出すことができませんでした。そんな状況の中で海外に挑戦するチャンスをいただいて、完全に調子が戻ったわけではないが、あの経験を元にしっかり取り組んでいけば、必ず成長できると確信しています。来年このクラスがどんな戦いになるかわかりませんが、誰が相手でも勝てるように、GPで学んだことをしっかりと自分のものにしていきたいと思っています。」 渡辺 明 監督 「竹中は最後も今シーズンを象徴するような内容になってしまった。常にトップ争いに加われるようなスピードとテクニックを身につけなければならない。小島はタイトルを守ることができなかったが、怪我が治ってきてからいい走りができた。第1ヒートは上位を抜いての2位だし、山本も含めたヒート2のバトルは、かつてのテストのようだった。あれは来シーズンを占うレースだったと思う。熱田はメーカーのみならず、日本のモトクロス界へ大きく貢献したライダー。何より10年間チームに在籍して、タイトルも獲得したし、今回もトップを走ってみんなを喜ばせた。本当に頑張ってくれたし、怪我なく終われたことも素晴らしいと思う。」
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