森千夏 【日本人初!】18mインタビュー
 「静岡の人たちに喜んでもらえたのが嬉しかった」
■浜松で2度目の大台突破
 森千夏による日本人初の18m台がマークされたのは、スズキ勢にとっては地元中の地元、浜松市の四ツ池公園陸上競技場だった。実は、森が同競技場で“大台”を突破したのは、これが2回目。国士大4年時の2002年、11月の浜松中日カーニバルで日本人初の17m台となる17m39をプットした。
「そういえば、そうでしたよね。あとで指摘してもらって“へぇー”っと思いました。偶然なんでしょうけど、縁ってあるんですね。でも、静岡の人たちに喜んでもらえたのは、よかったです。スズキの人が審判員をされていましたし、静岡の試合でいつも一緒になる投てき関係の方も多くて。“頑張れ”って普通に言ってくれるので、私も素直に“頑張ろう”と思えるんです。去年の国体(2位)でお世話になった方たちに、少しはお返しができたでしょうか。18m55(アテネ五輪参加標準記録A。すでにB標準は突破済み)にラインを引いてくれて、それには届きませんでしたが、その気持ちに応えたかったんです」

■喜ばなかった理由
 とはいえ、18m22を出した2回目の投てき直後、落下地点を見つめる森の表情は、いつもと同様に厳しいものだった。
「18mラインを越えたのは、砲丸が着地したのと同時にわかりました。18m55に届いていないのも。自分のなかでは喜びたい気持ちもありましたが、A標準まで33cmに迫って、残りの試技も4本ありましたから、チャンスだと思ったんです。それに集中しないといけませんでした。でも、結局、記録を出したい気持ちが焦りになって、ダメでした。そんなに甘くないということですね。一発でクリアできたら、誰も苦労しません。でも、去年の日本記録のときは“まだまだ”という気持ちが強かったのですが、今回は“やっと18mに行った”という気持ちもありました」

■オリンピックは自然体で
 昨年までの森だったら、今回の記録でオリンピックと19m台への気持ちが一気に高ぶり、さらに力が入っているところだ。だが、今季の森はどこかが、違っている。もちろん、その2つは大目標だが、アプローチの仕方にギラギラした部分がなくなった。
「オリンピックはどの選手も気合いが違いますから、世界選手権よりもレベルが上がるかもしれませんね。でも、私にとってはまず、出場することです。出られたらまた、次のことを考えます。去年の世界選手権も、自分のその時点の力も考えず、出るからには決勝に行くんだって、気負いがあったと思います。18m55も19mも、狙っていないと言ったら変ですけど、本当に投げられるのかと聞かれたら、“さぁ”としか言えないですね。これまで、結果ばかりを見すぎていました。そこに気を奪われると、本当にやらないといけないことがわからなくなってしまうんです。結果を見すぎず、自分のやってきたことを出せばいい、と考えています」

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