キャミアが負傷から奇跡の復活、9位/7位の大健闘。
オランダのアッセンで開催されたeni FIMスーパーバイク世界選手権第3戦、チーム フィクシィ・クレセント・スズキのレオン・キャミアが第1レース9位、第2レース7位と共にひと桁フィニッシュで、2週間前に負った深刻な膝の怪我と手術からの見事な復活を遂げた。
この日18番グリッドスタートのキャミアは、第2レースのフィニッシュまでペースを落とすことなく力強い用走りを見せた。第2レースでは好調なスタートからオープニングラップを終えて11番手まで浮上、やがて前にいたチームメイトのジュエル・クルーゼルに追いつくと、15ラップまでは2台による抜きつ抜かれつの7番手争いを展開した。その後クルーゼルが電子スロットルシステムのトラブルに見舞われたため16ラップでリタイア、キャミアは最後までペースを落とすことなく、7位フィニッシュを遂げた。
キャミアの復活と好調は、第1レースから存分に発揮されていた。オープニングラップを終えて12番手につけたキャミアはさらにその後の3ラップで2台をパスし10番手へ、さらに前を走る元ワールドチャンピオンのC・チェカ(ドゥカティ)を捉えた。ヨシムラによってチューンされたスズキGSX-R1000と共にキャミアはレース中盤の左コ-ナーで、負傷した膝をアスファルトに擦りながら鮮やかにチェカをパスすると、その後も安定した走りで9位フィニッシュを遂げた。
一方、10番グリッドスタートからのクルーゼルは第1レースでは8位を獲得。若手ながらスピードと安定性を併せ持つクルーゼルは第2レースでもキャミアと7番手争いを展開し、第2戦に続く好成績が期待されたが、マシントラブルによりコース上でストップ、DNFとなった。
この日のアッセンは快晴に恵まれ、前日までの寒さとは打って変わって気温は23度まで上がった。 第1レースはT・サイクス(カワサキ)が2位に9秒近い差をつけ優勝、第2レースはE・ラバティ(アプリリア)が制し、この日3位/6位のS・ギュントーリ(アプリリア)が依然ランキングトップを保っている。
第4戦は5月12日、イタリアのモンツァで開催。フィクシィ・クレセント・スズキはこのあと地元イギリスへ戻り、イタリア大会へ向けて準備をおこなう。
- ポール・デニング チーム代表
「今日はレオンが本当によく頑張ってくれました。もちろん彼本来の実力は7位や9位では終わらない、もっと上位を狙えるライダーですが、膝の手術からまだ2週間しか経っておらず、ベストコンディションにはほど遠い状態の中、レースを走るだけでも驚異的と思います。だから今回の好成績はおおいに評価します。怪我のこともあり予選でタイムを出せずスーパーポールでのセットアップの機会もなく、最後尾グリッドスタートを強いられての決勝レースとなりましたが、レオンが頑張って結果を出してくれて、チームにとっても充実した週末でした。ジュエルもよく頑張りました。確かにここはライダー泣かせの難しいコースで、我々も土曜日はジュエルのマシンのセットアップに時間をかけました。そして今日もセッティング変更を続けた結果、第2レースはDNFとなりましたが、ジュエル自身は何も悪くないです。ジュエル用のマシン作りは順調だし、彼にとって今回が3回目のスーパーバイク挑戦で、実際にはまだまだこれからです。次のモンツァで彼が思う存分実力を発揮できるよう、チーム一丸となってマシンを仕上げていきます。」
順位 | ライダー | メーカー | Time/gap |
---|---|---|---|
1位 | T・サイクス | カワサキ | 35'35.042 |
2位 | J・レイ |
ホンダ | 8.786 |
3位 | S・ギュントーリ | アプリリア | 8.792 |
4位 | E・ラバティ | アプリリア | 9.225 |
8位 | ジュエル・クルーゼル | スズキ | 24.751 |
9位 | レオン・キャミア | スズキ | 30.311 |
順位 | ライダー | メーカー | Time/gap |
---|---|---|---|
1位 | E・ラバティ | アプリリア | 35'36.814 |
2位 | T・サイクス | カワサキ | 0.089 |
3位 | L・バズ | カワサキ | 5.848 |
4位 | J・レイ |
ホンダ | 5.890 |
7位 | レオン・キャミア | スズキ | 21.095 |
DNF | ジュエル・クルーゼル | スズキ | 7Laps |
順位 | ライダー | メーカー | ポイント |
---|---|---|---|
1位 | S・ギュントーリ | アプリリア | 111 |
2位 | E・ラバティ | アプリリア | 83 |
3位 | C・デイビス | BMW | 83 |
4位 | T・サイクス | カワサキ | 83 |
5位 | J・レイ |
ホンダ | 63 |
9位 | ジュエル・クルーゼル | スズキ | 41 |
11位 | レオン・キャミア | スズキ | 30 |
順位 | マニュファクチャラー | ポイント |
---|---|---|
1位 | アプリリア | 131 |
2位 | BMW | 99 |
3位 | カワサキ | 94 |
4位 | ホンダ | 70 |
5位 | スズキ | 52 |
6位 | ドゥカティ | 40 |
「今回はレース内容も結果もすべて満足でき、とても嬉しいです。第1レースは、ウォームアップの時とはセッティングを大幅に変更する賭けに出ました。第2レースでもさらに変更して、マシンは非常に扱いやすくなり、セッティングの成果が出ました。順位を上げる走りのペースをキープでき、実際第2レースでは思いきったパスもできました。ジュエルに追いついて彼をパスしてからも、ジュエルは粘り強い走りをしていました。本当はもっと追い上げて順位を上げたかったのですが、なかなか思い通りにはいかないです。上位グループに入れていたらもっと快適に走れて結果も出たでしょう。膝も体調もまだ本調子ではないのですが、今日は両レースを走りきることができ、満足しています。」
「第1レースはセッティングを変更したことで良い走りができたので、満足です。午後はもっと上位を狙ってさらに変更を加えましたがそれが裏目に出てしまい、なんとか8番手のまま完走しようと思いましたが、電装系トラブルでマシンがストップしました。正直言ってこのコースはあまり得意なほうではなく、第2レースでのDNFは残念でしたが、両レースで8位の可能性も確かにあり、何が起こるかわからないのがレースです。次のレースでまたベストを尽くして頑張ります。」