バイク旅日記【中国大陸編】Vol.1

中国へ向けて、いざ出発!!

12月2日(水)
朝7時に成田空港へ行くため、前夜は空港近くのホテルに泊まった。ゆうべ、『広州~上海ツーリング』の始まりを祝うべく、ひとり高層ホテルの窓から夜景を眺め缶ビールを飲みながら、胸にジーンとくるものがあった。思えば40年——中国を走りたいという強固な想いは、私が20代の頃からの大ビジョンだった。歴史や文化などあらゆる点で、我が祖国日本を知るためにも中国は絶対に外せないと考えていたのだ。以前は行政上でも気軽にツーリングできる土地ではなかったが、時代とともに少しずつ私の夢も叶えられる情勢となった。そして1994年、初めて中国へ渡ったタクラマカン砂漠走破に始まり、ラサ~カイラス往復、瀋陽~中朝国境旅、中国東北地方一周、シルクロード横断、チベット横断と続き、今回が7度目の中国ツーリングとなる。
広州空港
広州空港
広州の街並み。高層ビルが立ち並ぶ。
広州の街並み。高層ビルが立ち並ぶ。

広州空港へと向かう朝のJL603便は、みごとに日本列島の真上を飛んでいった。日本の空は素晴らしく青く澄んで、東京湾、富士山、京都、瀬戸内海、関門海峡、福岡、五島列島とじつによく見えた。やがて長江(揚子江)河口の上空を通過して眼下は中国大陸となるころは厚い雲が垂れ込め、広州へ近づくと空一面が灰色のスモッグで覆われてしまった。そんな風景に感動したり驚いたりの5時間半のフライトに、窓際のシートを選んだのは大正解だった。広東省広州は、温暖な亜熱帯気候に高層ビルの建ち並ぶ中国3番目の大都市だ。広州空港も立派で近代的な国際空港で、ここで現地ガイドさんが移動用のクルマと共に出迎えてくれた。高速道路で200kmほど離れた江門(ジャンメン)の街へと向かう。

広州の高速道路
広州の高速道路
好彩大酒店(レストラン)いかにも中国らしい佇まい。改めて異国を感じる。
好彩大酒店(レストラン)いかにも中国らしい佇まい。改めて異国を感じる。

江門の中心街に到着する頃はすでに夕方ちかく、ホテル「銀晶国際酒店」にチェックインした。中国では「酒店」「飯店」といった文字が付くとホテルの意味になる場合が多い。キングサイズベッドのあるゆったりした部屋に荷物を解き、街の探索を兼ねてぷらぷら歩きながら夕食へと出かけた。この辺りは金専門店が多いようで、ウィンドーにきらめく上質の装飾品がまばゆい。「好彩大酒店」というレストランに入り、さっそく広東料理のディナーだ。ガチョウやスペアリブ、豆腐料理など、意外と薄めの味付けで大変美味しい。旅のあいだ、中国食の食べ歩きも期待することにしよう。

意外とさっぱりとしていた豆腐料理。
意外とさっぱりとしていた豆腐料理。
ホテル部屋内観。くつろげそうである。
ホテル部屋内観。くつろげそうである。
ガチョウ料理は見た目にも食欲が増す。
ガチョウ料理は見た目にも食欲が増す。
12月3日(木)
ホテルの向い側に大きな広場を持った東湖公園があり、朝の散歩にはちょうどいい。辺りがようやく明るくなった朝7時、カメラをぶら下げて歩いていると、あちこちで太極拳をする人々を見かける。さすがは中国だ。一人で黙々とおこなっている人もいるし、小さなラジカセで音楽を流しながらの10数名のグループもいる。さらに、後ろ向き歩行で広場をひたすら行ったり来たりする人、刀剣を手に武術体操をしているおじいさんなど、朝の広場は中国的健康志向の人々にあふれていた。そして中国での朝食のメインとえいば、麺やお粥だ。麺はビーフン(米粉)麺や小麦麺などがあり、青野菜たっぷりの白湯スープ。ホテルではバイキングスタイルだったが、コックさんもいて「コレ」と指を差して頼むとすぐに麺を茹でて熱々のを作ってくれる。お粥も白粥や海鮮粥などがあり、辛いジャンを付け合せると、とても美味しい。
太極拳をする人たち。
太極拳をする人たち。
おいしそうなお粥に朝から食欲が増す。
おいしそうなお粥に朝から食欲が増す。
レストランの様子。
レストランの様子。

そしてこの日は、旅の相棒であるアドレスV125Gを受け取るため、同じ江門市街にある「大長江本社」へと向かった。ここはアドレスV125のエンジンが作られている工場があり、今回の旅のため、だいぶ以前に日本からこちらへ我がアドレスを送っておいたのだ。無事、木枠に梱包されたアドレスと嬉しい対面。ヤッタネ!と思わずつぶやいてしまう。梱包を解いていそいそとテールボックスなどを取り付け、旅仕様に出来上がると、さっそく大長江工場内を試走してみた。アドレスの調子も最高だ! いよいよ明日から広州~上海の旅が始まる。どんな風景があり、どんな人々と会い、どんな旅になるのだろうか、そう思うとワクワクしてきてどんどん気持ちが高ぶり、前途を祝して!ということで、夕食では我ながら驚くほど紹興酒の杯を重ねてしまったのだった。

この木箱の中に相棒がいます。
この木箱の中に相棒がいます。
相棒のアドレスV125Gとの再会を果たし、思わずガッツポーズ。「アドレスよ、これからよろしく頼むぞ!!!」
相棒のアドレスV125Gとの再会を果たし、思わずガッツポーズ。「アドレスよ、これからよろしく頼むぞ!!!」

※中国国内におけるオートバイ走行は各地により制限があり事前の許可が必要です。 賀曽利 隆氏は当企画実現のために期間限定の走行許可を申請し、走行許可証、 ナンバープレートと中国国内で走行できる期間限定の免許証を取得し、それらを携行して走行を行いました。ナンバープレートは携行用のため車体には取り付けておりません。