「旅の思い出にプロの味付け」 松村満の「カメラ講座」 料理の上手な撮り方

料理の上手な撮り方
料理の上手な撮り方
賀曽利さんが四国巡礼旅の中で一番美味しかったと言っていた せい麺やのうどんです!

さぁ、第三回目「カメラ講座」の始まりです。
今回は、四国88か所巡りの中で撮影をしたうどんの写真を中心に「料理の上手な撮り方」を紹介していきます。
「センスは磨けば光る!」この言葉を信じ、みなさんも写真撮影をしてみましょう。自分の欠点を見付け出し、見た写真を言葉で分析できるようにしていくと良いですよ。
四国の旅で、私、松村が使用したカメラは、賀曽利氏ご愛用 NIKON D60 の上位機種にあたる NIKON D90です。12.3メガピクセルの有効画素数、約4.5コマ/秒の連写性能とアクティブ D-ライティングの微調整、ライブビュー撮影ができる部分が気に入り NIKON D90 を使用しています。この講座では、D90の機能を生かした撮影方法も紹介します。
74番札所(甲山寺)から75番札所(善通寺)へ向かう途中の曲がり角にある、「讃岐うどん せい麺や」 店主から許可をいただき店内で、料理撮影をしました。

■撮影環境の説明

撮影環境の説明
撮影環境の舞台裏

これといった特別なライティングをしているわけではありませんが撮影場所と外光が入る窓との位置関係に気をつけました。また、料理撮影で使うレンズは、18-55mm標準ズームレンズがおすすめです。標準ズームレンズの魅力は、ピントの合う最短距離が28cmと短く、逆光に強く、ボケ味が良い、そして軽いことです。

ここがポイント:外光が逆光ぎみに入射する場所で撮影をすると、料理が美味しそうに見えます。

■卓上での透過光撮影

卓上での透過光撮影

撮影機材: NIKON D90/AF-S DX Zoom-Nikkor ED 18-55mm
F3.5-5.6GⅡ
撮影データ: 1/25秒 F8 ISO400
露出補正: プラス1.0
カメラ設定: アクティブ D-ライティング 「強め」
ピクチャー 
コントロール設定:
ビビッド

かまたまうどん等にかけるダシ入りしょうゆを、同じ環境で撮影すると、こんな感じに写ります。
明るい背景の撮影では、露出補正をプラス方向へシフトさせます。カメラの内臓露出計は、白いものをグレー濃度にしようとするため、撮影者が露出補正をしなくてはなりません。今回は、プラス1.0に補正しています。
このような写真を撮るときには、容器への写り込みを防止するために黒い洋服を着用することも重要。写真をよーく見たら自分の姿が写り込んでいた、なんていうこと今までにありませんでしたか?写り込みはちょっとした工夫で防止できます。

ここがポイント:ゆがみの少ない18-55mmの55mm付近を使うと良いでしょう。

■露出とアングル(構図)の決め方

露出とアングル(構図)の決め方

露出とアングル(構図)の決め方

撮影機材: NIKON D90/AF-S DX Zoom-Nikkor ED 18-55mm
F3.5-5.6GⅡ
撮影データ: 1/25秒 F8 ISO400
露出補正: プラス1.0
カメラ設定: アクティブ D-ライティング 「強め」
ピクチャー 
コントロール設定:
ビビッド

露出の決め方は、Aモード(絞り優先オート)を選択して、ニコン推奨のマルチパターン測光を使い、露出補正を活用。
まず、テスト撮影後に液晶モニターを見ます。露出補正値ゼロのままでは画像が暗かったので、露出補正をプラス2で再度撮影。一気にプラス2まで数値を補正したため、今度は明るすぎ。次に2/3ほど数値を暗くしたプラス1.3で再度調子を見る。ここから少し暗くしたかったので最終的な露出補正は、プラス1に決めました。このようにして、適正露出を出していきます。アクティブD-ライティング機能をONにしている場合、露出補正を大幅にシフトしていけば、機能のアシスト効果が実感できますよ。
適正露出が出たら次に、器の向きやアングルの修正をしていきます。ほんの少しの角度差で写真の見栄えが変わります。この角度変化の違いにこだわれば、自然とセンスは磨かれていきます。

ここがポイント:撮影画像を明るくしたい時は露出補正をプラス方向へ、暗くしたい時はマイナス補正をします。

アングルの決め方は、撮影画像の四隅を確認することです。どんぶりのフチの丸み、黒いおぼん、白木テーブルをどのような割合で画面に入れていくか・・・。最初はとにかく、パチパチとシャッターを切っていきましょう。

■写真の表現方法

この3つの画像は、似ているようでも、伝えたい事が異なります。何を、どのように表現したいか、どう感じ取れるか、視覚情報を言葉で分析してみましょう。
一見、難しそうですが、表現方法を身につけることで撮影をより楽しめます。また、写真を見るときの視点も変わり、目を鍛えることもできますよ。

  • 写真の表現方法
  • 写真の表現方法
  • 写真の表現方法
  • 写真:右上温かいうどんの、つるんとした、のどごしが伝わってきます。
  • 写真:左下冷たいうどんの、コシの強さが表現されています。麺の切り口を見せることで、歯ごたえの良さが伝わります。
  • 写真:右下実際に、うどんを食べている感じが伝わってきます。フレームぎりぎりに入れた箸先の存在が、うどんを口元へ運んでくれるかのように思わせます。ピントを奥に合わせることで、食べている雰囲気を演出しています。
撮影機材: NIKON D90/AF-S DX Zoom-Nikkor ED 18-55mm
F3.5-5.6GⅡ
撮影データ: 1/25秒 F8 ISO400
露出補正: プラス1.0
カメラ設定: アクティブ D-ライティング 「強め」
ピクチャー 
コントロール設定:
ビビッド

■NIKON ・ アクティブD-ライティングの活用方法

NIKON D90 アクティブD-ライティングの機能を ON にして撮影することで、手前に落ちる影の暗部を明るく起こしつつ、明部が真っ白になって、モノの形が見えなくなる「白トビ」を抑えることができます。
レフ板の代用品としても使えるこのアクティブD-ライティングという機能は、人物、風景撮影はもちろんのこと料理撮影でも役に立ちます。SDカードの書き込み速度に左右されますが、この機能を ON にすると画像記録速度が多少遅くなります。

NIKON ・ アクティブD-ライティングの活用方法

撮影機材: NIKON D90/AF-S DX Zoom-Nikkor ED 18-55mm
F3.5-5.6GⅡ
撮影データ: 1/25秒 F8 ISO400
露出補正: プラス1.0
カメラ設定: アクティブ D-ライティング 「強め」
ピクチャー 
コントロール設定:
ビビッド

■記録メディアの選び方

前述したSDカード(メディア)について、店頭では様々な種類が置かれていますよね。あまりにたくさんありすぎて、どのようなモノを選べばいいか悩むことがあるかと思います。
私は、書き込み速度よりも価格を優先に考え、比較的安価で信頼性の高い Trancend(トランセンド)というブランドを愛用しています。いくら信頼性の高い記録メディアでも、雨の日や海などの悪い条件下で使用すると、記録メディアに不具合が発生するものです。私はそんな時、消耗品と割り切るようにしています。

ここがポイント:信頼性、記憶容量、書き込み速度、価格 の中から自分が優先する項目順位で選びましょう。 連写性能を保ちたい場合は、高価となりますが高信頼性ブランドの書き込み倍速速度が速い記録メディアを使用すれば良いでしょう。

購入時の注意点:カメラと記録メディアの相性が悪いと記録中にエラー表示が出て撮影できなくなることもあります。保障対象外となるカメラと記録メディアとの相性は、事前に調べることが大切です。購入前にウェブ上でメーカーサイトからの適合情報を収集したり、知識豊富な相談できる販売店を選び自分の目で、製品保証内容を確認いたしましょう。

■コンパクト・デジタルカメラの撮影サンプル

コンパクト・デジタルカメラの撮影サンプル

カメラ講座ではデジタル一眼レフの扱い方を中心に進めていますが、今回は、写真の写り方を比較するためにコンパクト・デジタルカメラを使用してうどんを撮影しました。
(撮影場所:第27番札前 ドライブイン27神峯店)

撮影機材:NIKON P60 露出補正: プラス1.3
撮影機材:NIKON P60
露出補正: プラス1.3
撮影機材:NIKON P60 露出補正:プラス1.0
撮影機材:NIKON P60
露出補正:プラス1.0

右奥から入る逆光ぎみの窓明かりで撮影しています。暗めの露出で撮影をすると高級感が出せます。

撮影機材:NIKON P60 露出補正:プラス1.7
撮影機材:NIKON P60
露出補正:プラス1.7

明るめの露出で撮影すると、食材の新鮮味が出せます。 明部の白トビが少し気になります。これ以上は明るく撮影できません。コンパクト・デジタルカメラは、白い部分の素材感を出すのが苦手です。

撮影機材:NIKON P60 露出補正:プラス1.3
撮影機材:NIKON P60
露出補正:プラス1.3

白トビする部分を画面の左奥に集め、適正露出で撮影をすると、こんな感じに仕上がります。露出補正のメモリ1つで露出が大きく変化してしまいます。露出補正を繰り返しながら、適正露出を出しましょう。

コンパクトカメラではピンポイントでのピント合わせが難しく、強い光の当たる部分は質感が再現されにくい点もよくわかりました。操作性と画質の面で、一眼レフとの差が出てしまいますね。
光の微妙なニュアンスを表現したい場合は、一眼レフデジタルカメラの使用をおすすめいたします。
賀曽利さんが、コンパクト・デジタルカメラを卒業したい理由も、これでわかりました。

■まとめ

「料理の上手な撮り方」では、撮影場所の選び方、露出、アングルを中心に展開しました。上達するための手がかりは、1枚1枚露出を確認することと、同じ被写体を様々な角度から撮影すること。プロであっても1つの被写体に対して1回で満足のいく写真が撮れることは少ないものです。時間の許す限り、シャッターを切ってくださいね。